社名 | 株式会社ダイエー商事 D's GROUP |
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店舗レンジ | 11店舗〜50店舗 |
業種 | 和食居酒屋 |
導入サービス | トレタ予約管理システム |
- 課題
- グループ内での顧客情報の徹底的な共有
- 顧客情報のおもてなしへの活用
- 効果
- 顧客管理の極み!デジタル活用を最大化して顧客との絆を強化!
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この記事では、顧客との絆の構築に「トレタ」を活用し、震災やコロナ禍などの大きな環境変化を乗り越え、粛々と顧客との関係性を築き上げてきたD’s GROUPさんのデジタル活用事例について紹介します。グループ内で徹底的に顧客情報を共有し、おもてなしに活かしていくその秘密とは?
トレタ予約台帳
東日本大震災、コロナ自粛を乗り越えた、D’s GROUP
第15回居酒屋甲子園東北地区大会で優勝した『石巻狐崎漁港 晴れの日』を経営する、仙台に本拠を構えるD’s GROUP。同グループは、仙台市内の駅前から、有名な飲み屋街である一番町界隈に、同店の他に『ワイン・寿司・天ぷら 魚が肴』『肉男 ミートマン』『ご飯の為のハンバーグ いとう』『とんかつ波平』など、7店舗、9業態を展開している。いずれも、予約しないと入店できないほど盛況だ。
ご存知のように12年前、仙台は東日本大震災で大きな被害を受け、その傷がようやく癒えたかというころに、新型コロナ感染症による営業自粛が長期間続いた。
D’s GROUPは、どうやってそれら苦難の時期を乗り越え、今の活気あふれる状態へと成長したのか、常務執行役員の只野創越さん(左)と、執行役員マネージャーの佐藤康平さん(右)にお話を聞いた。
居酒屋甲子園の東北地区大会優勝店ならではの活気
取材に先んじて、『ワイン・寿司・天ぷら 魚が肴』『石巻狐崎漁港 晴れの日』に行って食事をしてみた。料理の美味しさと、店員の方々の活気ある働きぶりに驚いた。
『魚が肴』ではお寿司と天ぷらのランチを食べたのだが、これがたった2280円とは信じられない美味しさだった。お店の方に聞けば、魚は地元の魚を独自ルートで仕入れ、グループ店で共有することで価格を下げているとのこと。
『晴れの日』では、名物だというお刺し身盛りの『晴れ盛り』や山菜の天ぷらなどをいただいた。オーダーした途端に「『晴れ盛り』いただきました~!」という声が店舗に響き、次々に復唱される。観察していると、他のお客さんもまずは『晴れ盛り』をオーダーしており「『晴れ盛り』いただきました~!」という声が何度もひびく。刺し身に使われている魚の種類や採れた漁港、日本酒などについて、アルバイトらしき若いスタッフの方に聞いても、的確な回答が返ってくる。情報共有が行き届いている感じだ。
常連のお客さんをスタッフの方が名前で呼んでいて、それがお店に居酒屋とは思えない雰囲気を醸し出していた。みなさん、とてもリラックスして盛り上がってらっしゃるのだ。居酒屋甲子園の東北地区大会で優勝しただけはある。では、この雰囲気はいかにしてできているのか?
一番町、国分町の54年間で育まれたビジョン
D’s GROUPの歴史は長い。創業は1969年。以来、54年間ずっと仙台の歓楽街である一番町、国分町で、飲食に携わったビジネスをされている。ルーツは『サパークラブ』というパブ業態のお店なのだという。サパークラブとは男性キャストがカウンター越しにお酒の提供や会話などの接客をする飲食店のこと。
「サパークラブでは、こちらのお客様は濃いめの水割りを好まれる、あちらのお客様はボトルをキープされている……ということを把握するのが大切。お顔やお名前をしっかりと覚えて、お客様のことを大切にするという文化は、今でもD’s GROUP全体に受け継がれています」(只野さん)
その後、パブ、バー業態などを経て、20年ほど前のダイニングブーム、居酒屋業態の増加などの変遷を経て今にいたる。時代に合わせてさまざまな業態を展開してきたが、お客さんとのコミュニケーションを大切にするスピリッツは常に変わらないという。
『地域の方々に愛される特別な存在を目指して』という同社のビジョンは、こうして培われてきたのだ。
度重なる困難に『我々の強みってなんだろう?』と自問を繰り返した
そんなD’s GROUPの54年の歴史は、度重なる厄災との戦いの歴史でもあった。
2011年の東日本大震災では、仙台市内にあるダイエー商事の店はすべて、多くの被害を受けた。店内には割れた食器が散乱し、機材は倒れ、停電にも見舞われ、そもそもスタッフと連絡を取ることさえ困難な状況だった。また、家族の安否が心配なスタッフも多かったし、避難所に滞在している人もいた。
そんな状況下でも同社は「地域の方々のためにも、やれる店舗から再開しよう」として動きだした。
2日後には電気の供給が回復した。しかしガスはまだ来ておらず流通も回復していなかったので、炭火で店舗在庫の食材を調理して、温かい食べ物を地域の人々に提供するところから再開した。「D’s GROUPのためなら」と食材を確保してくれる業者さんもいて、厳しい状況の中、地域の人たちに温かい食事を提供し続けたという。仙台市中心部にはこの状況下でも仕事をしなければならない人がいたので、その方々に少しでも普通の日常を届けられるサードプレイスの居場所としての営業を行った。ライフラインが止まった状況の中、温かい食事は地域の人たちにとって、心の支えになったことだろう。
2020年初頭からのコロナ禍の時は、また違った衝撃があった。政府から休業要請、時短要請が出され、『飲食店が必要とされていない』という状況でスタッフのモチベーションを維持するのはとても困難だった。
『仕事がなくても、まかないを食べに来て!』とアルバイトスタッフに連絡を取り続けた。会社が動いているんだという情報を発信し続けた。店舗が営業していなくても、社員スタッフには8割、9割の給料を支給し続けた。
2020年4月の最初の休業の時、佐藤弘康社長は、全員を屋上に呼んでD’s GROUPとしての方針を打ち出した。先は見えないがコロナ禍はいつかは明ける。その時に選ばれるお店になるために『我々の強みってなんだろう?』ということを徹底的に考えた。
そこで出てきたのは『気軽に自分のポケットマネーで来られる贅沢』というコンセプト。デリバリーや単価の低い食堂、ランチ営業などにもチャレンジした中でそのことを学ぶことができた。D’s GROUPとしては、安売り、低価格だけではダメ。サパークラブの頃から培った、リーズナブルでも親密な、クオリティの高い接客こそが強みだという実感を掴み取れた。
困難を乗り越える武器となったトレタ
大切なのは接客、人との繋がりだった。
大将がいたり、女将さんがいたりする個人店のように「○○さん、毎度ご来店ありがとうございます」「○○さんがお好きそうなお酒入ってますよ!」と、言えるような接客こそがD’s GROUPらしさだった。
コロナ禍の状況下で、その接客の武器となったのが2019年9月に導入したトレタ予約台帳(以下トレタ)だった。
「電話が鳴った時に、過去にご来店いただいていたら、お名前が表示されるので、即座に『○○さん、いつもありがとうございます。晴れの日の佐藤です』とお答えできます。これだけでも『お! 覚えてくれてるんだ』と喜んでいただけます」(佐藤さん)
「ご来店いただいた時の情報を、可能な限りトレタに入力するようにしています。どういうメニューを喜ばれたか? どういうお酒がお好きか? 苦手な食材があったら、それも入力して次回ご来店の時に同じことを言っていただかなくてもいいようにしています」(只野さん)
トレタとD’s GROUPパスポートカードの連動がすごい成果を生む
さらに特徴的なのが、全店で運用しているポイントカードである『D’s GROUPパスポートカード』と、トレタの連動だ。
D’s GROUPパスポートカードは、1000円で1ポイント、40ポイントで2000円のクーポンがもらえるという会員証。4万円で2000円のクーポンがもらえるのだから、飲み会の幹事をしたりすればすぐにクーポンが使えるようになる。このポイントカードを作る時に、名前と電話番号を書いていただき、トレタと連動させている。
『晴れの日』を中心に、多くの店が予約なしでは入店できないような状態が続いているから、多くの人はトレタで予約をする。ランチ営業時などに予約なしで来店された時にもD’s GROUPパスポートカードがあれば、来店履歴が分かる。これにより、いつでも「先日はランチに来ていただいたんですね。ありがとうございます!」という対応が可能だ。
さらに、トレタの情報もD’s GROUPパスポートカードも全店で共有しているから、「『晴れの日』でポイントが貯まったから、今日は『肉男 ミートマン』でさらにポイントを貯めよう」とか、「二次会はレストランバーのZIINO CLASSICに行こう」というような、グループ内での回遊が起こる。また、「ZIINO CLASSICに行っていただいたんですね。ありがとうございます。いかがでした?」というような対応も可能だ。実際に、ランチも飲み会もD’s GROUPの、さまざまなお店をチョイスするという人が増えているという。
『地域の方々に愛される特別な存在を目指して』というビジョンの実現
コロナ禍の間でも、親しいお客様には「お元気ですか? また店がオープンしたら飲みに来て下さいね! 歓迎します」という連絡ができたし、時間を短縮しながらの営業が始まった時も「○○時まで営業しますから、ぜひ来て下さい!」と連絡ができた。そして、そういうお客様たちは「応援するよ!」という心意気で飲みに来たり、食事に来たりしてくれた。
まさに、D’s GROUPの接客と、トレタのシステムが連動した成果である。
成果はそれだけに留まらない。
「まだまだ、業態によってはご来店が100%復活しているわけではないので、お店の営業状況にムラが生じます。つまり、ちょっと余裕のあるお店と、スタッフが足りなくてとても忙しいお店が生じるわけです。トレタのシステムは全店連動していますから、余裕のあるお店は、スタッフが足りなくなっている店があれば、応援に行くことができます」(只野さん)
どのお店も、ウォークインの来店も入力しているからこそ、トレタを見ることで店舗の状況まで分かるレベルに到達しているのだが、全店舗、全スタッフがそこまですぐに使いこなせるものなのだろうか?
「トレタは使いやすいシステムですが、それでも最初はあまり活用されなかったお店もありました。今は、すべてのスタッフが、顧客情報の蓄積がお客様に対するよりよいサービスの提供に繋がるんだということを分かってくれているので、みんながちゃんと入力してくれます」(佐藤さん)
「もちろん新しいスタッフや、アルバイトスタッフに関しては、何度も説明しなければなりません。そこに魔法はありません。何度もくどいほど説明する必要はあります。我々の『地域の方に愛される特別な存在を目指して』というテーマ、そのためにお客様の情報を把握して接客しなければならない、それが業績にも直結する……という社長以下役員の意思をしっかり伝えていく、全社員とディスカッションを続けるということを大切にしています。達成度は、社員の給与はもちろん、アルバイトの時給の評価にも繋がっています。しっかりとしたチーム、組織を作ることも大切です」(只野さん)
お店を訪れた時に感じた、店員の方が顧客を把握している、熱意を持って接客してくれているという雰囲気にはちゃんと理由があったのだ。
デジタルだけでも、人間の力だけでもない。両者を上手に融合して、それぞれの良さを引き出す。予約台帳デジタル化に伴う活用のひとつの完成形、そんな姿を見たようだった。