「RIDE」が「トレタO/X」導入で時間創出とコミュニケーション強化　限定メニューの口頭案内など一人ひとりに合わせた質の高い接客を実現

外食DXで飲食店の課題解決に貢献するトレタの普及促進担当の松浦です。店内での注文をスマートフォンで簡単に行えるモバイルオーダーシステム「トレタO/X」の事例をご紹介します。

株式会社バルニバービウィルワークスが運営する「RIDE」では、広大なテラス席を活かした店舗運営において天候によるスタッフ数の大きな変動が課題でした。「トレタO/X」の導入により少人数でも効率的な運営を実現。約9割9分のお客さまに「トレタO/X」を利用いただく一方で、お客さま一人ひとりに合わせた接客スタイルを大切にしています。デジタル化によって生まれた時間を、どのように質の高いおもてなしに活かしているのか。今回は取締役・店長の山口翼さんにお話を伺いました。

独自の世界観で魅せる、柔軟な店舗運営

ーー「RIDE」はどのようなお店なのでしょうか？

当店は、平日と週末で自然と来店されるお客さまの層が異なります。平日はオフィスワーカーが中心で、20代から40代まで幅広い年齢層のお客さまが多く、週末は近隣にお住まいの方やファミリー、ペット連れのお客さまなどより多様な層のお客さまにご利用いただいています。

お客さまの男女比は7対3で女性のお客さまが多いのも特徴です。内装は本部のデザインチームと共に作り上げ、店舗独自の空間を演出しています。

ーー特別なこだわりはありますか？

実は、独立型バーカウンターは当社の店舗では初めての試みでした。お酒好きなスタッフが働きやすい環境を作りたいという思いがありました。

当社の店舗展開の特徴は、まずスタッフの「やりたいこと」を起点にしている点です。スタッフの働き方に関する考え方を大切にしており、スタッフが望む環境づくりを重視しています。ただ単に出店の案件があるからやるというのではなく、基本的にはスタッフの希望や適性を見て、それに合わせた店づくりを考えていく。そのような企業理念がこのバーカウンターの設置にも表れています。

ーー広大なテラス席も「RIDE」の魅力ですよね。

「RIDE」のこだわりのひとつです。しかし広大なテラス席の活用は大きな挑戦でした。天候によって大きく稼働が変わるため「トレタO/X」含め、モバイルオーダーの導入前はスタッフ数も天候に応じて8人から3〜4人まで変動させていました。このスタッフ数の大きな変動は運営面での課題の一つでしたが、導入後はより少ない人数でも効率的な運営が可能になっています。

「RIDE」は完全にオープンなテラス席を採用していますが、日本の気候を考えると実際に心地よく外で食事ができる時期は年間で数ヶ月と限られています。そのため、より多くのお客さまにテラス席を活用していただけるようテラス席限定でランチドリンクを無料にしたり、価格を調整したりと様々な施策も行っています。

「トレタO/X」導入の背景と理由

ーー「トレタO/X」を導入したきっかけをお聞かせください。

全店舗のシステム統一という経営方針でした。株式会社バルニバービウィルワークスでは店舗ごとに運営スタイルにこだわっています。そのため手書きのオーダーにこだわり、ハンディターミナルを使わない店もあり、特にモバイルオーダーに関しては当初かなり否定的な見方もありました。

「非接触だからいい」とか「人件費が削減できる」という話になりがちですが、私たちが目指したのはそれだけではありません。お客さまとスタッフがより良いコミュニケーションを取れる時間を作り出し、その時間を本当の意味でのおもてなしに活かしたいと考えたんです。

それは業務改善以上の意味もあり、スタッフにとっても自分たちがやりたいことができる時間が増えやりがいにつながります。アルバイトスタッフも社員も長く続けられる環境を作ることで、飲食の楽しさを再発見できるのです。

ーー「トレタO/X」を実際に使ってみていかがでしたか？

最初は動画が流れたり、写真を入れられたり、しかも複数の動画も入れられるということで重たくて動かないんじゃないかという不安が頭の中にずっとあったんです。しかし実際に触ってみると予想以上に全体的にスムーズでした。

また「トレタO/X」は開発を重ねて機能がどんどん増えていくツールなので、お店側の要望も柔軟に取り入れていただけます。トレタ担当者の堀江さんとは定期的に意見交換をしながら、一緒によりよい運用方法を見つけていけるのがありがたいですね。困ったときにはすぐに相談に乗ってくれるので、安心して運用を進められています。

お客さま一人ひとりに合わせた接客スタイルを

ーー「トレタO/X」導入後のお客さまとのコミュニケーションに変化はありましたか？

現在、約9割9分のお客さまに「トレタO/X」をご利用いただいています。来店されたお客さまには「QRコードからご注文をお願いします」と案内するのですが、その際に必ず「操作がわからない時は声をかけてください」と一言添えるようにしています。

ただ100%のデジタル化は考えておらず、お客さまに選択していただければと思っています。例えば、デジタル世代ではない方には私たちから「お伺いしましょうか？」とお声がけをしています。常連さまの中には、あえて声をかけてオーダーしてくださる方もいらっしゃいます。

ーーモバイルオーダーならではの工夫はありますか？

写真付きのメニューはお料理の内容が一目でわかる反面、実際に出てきた時の驚きや期待感が少なくなってしまう面もあるんです。そこで、あえて「トレタO/X」には載せないメニューも用意しています。例えば数量限定メニューは口頭でご案内することで、お客さまとのコミュニケーションのきっかけにもなります。

これはモバイルオーダーだからこそより意識している部分です。お客さまにとってはメニューが見やすくなる一方でスタッフとのコミュニケーションの機会は確実に減ります。だからこそメニュー構成や提案の仕方を工夫してより質の高い接客を心がけています。

デジタル化によって失われると思われていたコミュニケーションですが、むしろ私たちはこれを機会と捉え、人にしかできないおもてなしを大切にしているんです。

ーーメニュー展開にも変化があったそうですね。

これまでは平日のランチタイムには7種類ほどのメニューだけを出していて、アルコールを飲みたいというお客さまがいらっしゃった時は声をかけていただき別でメニューをお持ちするというオペレーションだったんです。「トレタO/X」導入後はお酒やデザートを自然とおすすめできるようになりました。特にデザートの出数は桁違いに増えました。

ーーメニュー写真の更新はどのように行っていますか？

スタッフの中でも写真撮影に長けたアルバイトスタッフが担当しています。基本的な撮影は10分程度で完了し、すぐに反映させています。プロが撮影した写真の色味や雰囲気を参考に、クオリティの維持を心がけています。

人材育成への新しいアプローチ

ーー人材育成についての考えをお聞かせください

飲食店って実は営業の場なんです。今の新入社員は入社時からモバイルオーダーが当たり前の環境ですが、従来の接客の基本を知らないという課題もあります。

以前のように忙しく走り回る必要はなくなりましたが、その分接客の質を高める必要があります。例えば、写真だけでは伝わらない料理の魅力をどう伝えるか。「トレタO/X」を活用しながら次の引き出しを増やしていくことが重要です。

お客さまが来店してくださる、食べたいと思って来てくださる。その恵まれた環境の中で、より良い提案をしていきたいと考えています。

ーー山口さん、ありがとうございました！

「トレタO/X」の導入は単なる業務効率化ではなく飲食業界の未来を見据えた挑戦でした。写真や動画による視覚的な訴求、柔軟な接客スタイル、そして何より「お客さまに還元できる時間を作る」という理念は新しい飲食店のあり方を示しています。

最後におすすめメニューの紹介です。旬の野菜をグリルで焼き上げ、2種のソースで味わう「薪火 旬野菜のグリルサラダ」は特に人気のメニュー。温かいサラダという形で、通年多くのお客さまに親しまれています。

メニュー展開の特徴は、時期に合わせておすすめを変えながらお客さま一人ひとりの要望にも柔軟に対応していきたいという姿勢です。大規模店舗でありながら例えば「こういうパスタが食べたい」といったお客さまの要望にも、その日の混雑状況や食材の有無に応じて可能な範囲で対応しています。また、お客さまのご要望に応じてメニューをアレンジすることも。チェーン店の規模を持ちながらもできる限り個店のような柔軟な対応を心がけていることが「RIDE」の魅力の1つとなっています。

取材日：2025年1月31日

店舗情報
RIDE
東京都品川区東品川２丁目２−２４ 天王洲セントラルタワー 1F キャナルガーデン
050-3184-2730

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