飲食店が、お店ごとに抱えているさまざまな課題、今置かれている状況を乗り越えていくためには、これまでの常識に捉われず、新しい考え方も取り入れていきたいもの。
そこで、飲食店に関連するあらゆる分野を対象に、第一線で活躍する専門家へのインタビュー企画をスタート。
第1回は、個人店から全国展開する大企業まで180社・2,000名以上が研修を受講した、クックビズ「フードカレッジ」の筆頭講師である荒木寿夫さんに、スタッフ教育の新常識について聞きました。
今回の専門家
今回の専門家 | 荒木 寿夫さん (クックビズ株式会社) |
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何の専門家? | スタッフ教育の専門家 |
専門家のプロフィール | マンションコンシェルジュ会社にて採用や教育など人事業務に従事。また飲食企業で約5年間、採用から教育まで一気通貫で携わる。クックビズ入社後、飲食企業様へ人事ノウハウ、研修サービスを提供するクックビズ「フードカレッジ」筆頭講師として全国各地を飛び回る。 |
トレタ予約台帳
累計19,000店舗以上の飲食店が導入する予約顧客管理システム。シンプルな画面設計でサクサク使いやすく、99.9%以上の安定稼動。業務効率化だけでなく、顧客情報を活用したおもてなしやネット予約の一元管理も可能です。
差別化や口コミ対策など…スタッフ教育が必要な事情とは
クックビズの「フードカレッジ」では、新入社員研修から、集中講座によるSV・マネージャー育成プログラム、店長基礎力アッププログラムなど、多彩なコースを展開しています。まずは、飲食店がどのような理由で研修を依頼されることが多いのか聞いてみました。
荒木「例えばブームに乗った商品を展開しても、お店の規模が小さければ、スケールメリットで原材料費を抑えられる大手には勝ちづらいですよね。どうやって差別化をして勝つかとなると、やはりソフトの部分、人の部分が大切になってきます。研修を依頼される飲食店の経営者は、このソフトの部分の強化に力を入れている方が多いです。
接客のスキルが低いためにリピーターの数が少ない、対応が悪すぎてクレームの件数が多いといった理由から依頼される飲食店もあります。ネット上での悪い評判も最近では影響力が大きいですが、どの時間帯に来て、誰が接客をしたお客さまなのかがわからず、対策のとりようがないことがあります。ですので、全体的に接客レベルを引き上げないといけないというニーズが出てくるわけです」
スタッフ教育の新常識!
今回荒木さんには、スタッフ教育における新常識を3つ挙げてもらいました。
お店ですぐにでも取り組められる内容もたくさん。あなたのお店がスタッフ教育をする場合と比べてどう違うかも確認してみましょう。
その1 否定はNGが常識! ポジティブな言葉に置き換える!
――一つ目の新常識は、否定はNGですね。間違いを正すとき、そうじゃない!と怒ってしまいがちですよね。ミスが続くとより感情的になってしまいそうです。それではいけないと?
荒木「今ではパワハラと呼ばれかねないような厳しい研修も、過去には多くありました。しかし、そうやって育てられた現在40代以降の人たちと、怒られ慣れていない今の若者は違います。それでは全然ついてきてくれないし、すぐに辞めてしまうでしょう。
一方で私たちの研修では、否定をしないようにしています。否定されるとネガティブな感情になって、研修内容も頭に入ってきません。みんなそれぞれ異なるバックグラウンドがあります。これまでや今を否定するのではなく、それらを受け入れつつ、新しい知識や能力を追加させてあげるのです」
――具体的にはどうしたらいいのでしょうか?
荒木「いいところに目を向けてあげて、こんなところが良かったと伝えます。もっといいのは、客観的な視点を入れてほめること。今すごくいい笑顔で接客していたから、お客さまからもすごくいい笑顔が返ってきたねといったことです。ドリンクを右側に出してあげたら、すぐにビールに手が伸びて飲んでたでしょ、ですとか。
注意せざるを得ないことがあるときにも、それはおかしいからやめろ!と、上の立場から強引に指導してしまうと、主観的、一方的になってしまいます。今こうしたから、お客さまにこういった迷惑をかけたでしょ、だからやってはいけないんだよと、第三者を入れることで納得もしてもらいやすくなるんです」
その2 「マニュアルは動画」が常識! 簡単だしうまく伝わる
――新常識の二つ目は、動画ですね。
荒木「はい。紙ベースのマニュアルをお持ちの店はありますが、紙だと細かい手の動きがわからず、包丁の使い方や盛り付けのコツが全然伝わりません。なので動画に撮って、みんなが見られる共有ドライブにでもどんどんアップロードするんです。その動画を見ながらトレーニングをさせるというケースはどんどん増えていますよ。
弊社でもマニュアル作成のコンサルティング、講座を行っていますが、動画もぜひ使ってくださいと伝えています。今はiPhoneなど使えば、クオリティの高い動画が簡単に撮れますしね」
――スマートフォンで撮影する際のコツはありますか?
荒木「慣れていないと、一箇所からの撮影だけで終わってしまうんです。同じ料理を作る同じシーンでも、3つくらいの異なる角度で撮ってもらうと、他の角度からは見えない手の動きがわかったりします。その3パターンの動画を編集して一つにしてもいいですし、全部見てねとしてもいいですし。
動画自体を作ってほしいと頼まれるケースもあるのですが、それはお断りしています。それより、店長が中心になってお店で一緒に動画を作れば、楽しいですし、良いコミュニケーションや教育につながるとも思います」
その3 座学より体験型が常識! 楽しみながら学んでもらう
――フードカレッジでは、グループワークやゲーム形式の研修が多くなっているそうですね。
荒木「はい。頭じゃなくて身体を使って学びましょうという流れがあります。フードカレッジでも、体験型で学んでもらうケースはすごく増えています。いきなり研修で、メソッドがどうなど難しいことを言うと脳がフリーズしてしまうんですよね。
例えば、店長スキルを上げていこうという中で重要な数値管理。その際、原価率はこう計算するんですよとただ教えるのではなく、まず飲食店マネジメントゲームという形で、疑似運営を行ってもらいます。その上で計算の仕方を詳しく教える。この方が理解度は高まります」
――最近の若い人が、特に苦手としているような業務はありますか?
荒木「苦手といいますか、固定電話で電話をした経験がないので、お店の電話対応が嫌だという人はいますね。この電話対応にしても、まずは予約対応のロープレ(役割を決めて疑似体験をする学習方法)をグループでしてもらいます。チームを決めて、代表が電話対応に挑戦する。私がお客さま役になって判定するんです。どこが優勝するか!?と予想したり競い合ったりしてもらうと、みんな本気になってくれますよ。
そして一つ目の新常識ともつながりますが、電話のときの声の出し方が良かったなど、いいところを見つけてほめてあげる。実際は初めてなのでできない部分は多いかもしれませんが、自信を持って電話に出てくれるようになるはずです」
スタッフの成長と業務効率化で、お客様満足度もアップ!
――トレタでは、トレタのサービスを使って業務効率化、そしてお客さま対応の質も高めてほしいと考えています。スタッフ教育の方法を見直せば、対応の質は随分良くなりそうですね。
荒木「そうですね。それに業務効率化という面でも、ムダな動きを省いて、その分お客さまに対しての時間を使っていきましょうというのはクックビズでも伝えていることです。
実際、料理の出し方から何からムダなところはないかチェックして見直し、そしてお客さまへの笑顔など接客面でのスキルを伸ばしてもらうことで、お客さまアンケートの満足度平均値が、3.8点から4.3点に3ヵ月で上がったという事例もあります」
――それはすごいですね。本日はスタッフ教育の新常識について教えていただき、ありがとうございました。
最後にトレタから
荒木さんのお話からは、接客の質を高める大切さ、スタッフ教育の大切さを、これまでよりも強く多くの飲食店が感じている様子が伝わってきました。
トレタのサービスを上手に活用すれば、業務効率化した上で、接客レベルの向上にもっと力を入れることも可能です。トレタのデータでお客さまの来店回数が増えたとわかったら、対応したスタッフに「すごいね!」とほめてみてあげましょう。
教育にかける人手や時間が足りない、研修のシステム、マニュアルが整備されていないなど、スタッフ教育をお店の中だけで完結させるのが難しい場合は、クックビズの「フードカレッジ」の利用も検討してみてくださいね。
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