飲食店を成功させるには、集客力とブランド認知度の向上が欠かせません。
それらの目標を達成するための有効な手段のひとつに「グルメサイトの活用」があります。
自店のターゲットとなる顧客層に合ったグルメサイトを選び、そのグルメサイトが提供するサービスを正しく活用できれば、より多くの顧客を惹きつけることが可能になります。
本記事では飲食店経営者に向けて、グルメサイトの選び方や、それを活用する際の注意点を詳しく解説。おすすめのグルメサイトも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
集客アイデア10選
グルメサイトの種類と現状
インターネット環境の発達やモバイルデバイスの普及に伴い、グルメサイトの多様化が進んでいます。
これにより、ユーザーはより簡単に、幅広い選択肢から自分に合った飲食店を見つけられるようになってきました。
集客強化やお店のブランディングに効果が高いことから、現在では多くの飲食店がグルメサイトを利用しています。
グルメサイトの種類は、「口コミ型」と「ガイド型」の二つの主要なカテゴリに分けられます。
一般的にグルメサイトと言えば口コミ型で、利用者が直接レビューを投稿し、経験を共有することが可能です。
一方、ガイド型では、専門家や編集者が選んだレストランの情報が掲載され、高い信頼性を持つ情報が提供されます。(例:ミシュランガイド)
ただし、ガイド型は掲載を希望しても採用されない可能性が高く、オファーを待つ形となります。
したがって、本記事では、飲食店側で投稿や編集などがおこなえる「口コミ型」をご紹介していきます。
※招待制の「口コミ型」グルメサイトもあります。
グルメサイトの掲載に必要な費用
グルメサイトに自店を掲載することは、多くの飲食店にとって重要なマーケティング施策と言えます。
グルメサイトへの掲載には、サイトごとに規定の費用が発生しますが、主な費用は掲載料と予約手数料(送客手数料)です。
掲載料
掲載料は、飲食店がグルメサイトに自店の情報を掲載するために支払う基本的な費用です。
料金はサイトによって異なり、一律の料金設定のものから、店舗の規模や掲載する内容の詳細度に応じて変動するものまでさまざまです。
また、掲載料には通常、店舗の基本情報の掲載、メニューの紹介、写真の掲載などが含まれますが、他店より上位に表示させたり、広告掲載等を希望する場合は、追加料金が発生することもあります。
予約手数料(送客手数料)
予約手数料、または送客手数料は、グルメサイトを通じて予約がおこなわれた際に飲食店がサイトに支払う費用です。
この手数料は、サイトが顧客を店舗に送客するサービスに対する対価として設定されています。
多くの場合、予約件数や予約人数に応じて定額の手数料がかかるシステムを採用していますが、サイトによっては売上に対して手数料が発生する場合もあります。
飲食店がグルメサイトを利用するメリット・デメリット
グルメサイトの活用は、多くのメリットをもたらす一方で、注意すべきデメリットも存在します。
ここからは、グルメサイトのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
メリット
グルメサイトを利用することで飲食店は多くのメリットを享受できます。
そのなかでも、特に大きなメリットが下記の4点です。
- 認知度がアップする
- さまざまな機能が利用できる
- ノウハウやデータが蓄積される
- 電話対応時間の短縮
それぞれ解説していきます。
認知度がアップする
グルメサイトを利用する最大のメリットと言えるのが、店舗の認知度向上です。
広範囲にわたるユーザー基盤を持つグルメサイトに店舗情報を掲載することで、新しい顧客層にアプローチし、ブランドの認知を高められます。
さまざまな機能が利用できる
多くのグルメサイトではメニュー掲載に加えて、予約システム、顧客管理、メッセージ配信など、多彩な機能が提供されています。
これらの機能を活用することで、店舗はより効果的な顧客獲得とサービス提供が可能になります。
ノウハウやデータが蓄積される
グルメサイトを利用することで、顧客の好みや行動パターンに関する貴重なデータが蓄積されます。
集まったデータは分析することで、マーケティング戦略の最適化やメニューの改善に役立てることができます。
電話対応時間の短縮
グルメサイトのオンライン予約システムを利用することで、電話での予約受付にかかる時間を大幅に削減できるようになり、店舗スタッフは接客等の重要な業務に集中できます。
また、予約受付の時間に制限がなくなるため、予約数の増加が見込めます。
デメリット
グルメサイトの利用には「手間」と「コスト」がかかるのがデメリットです。
運用の手間がかかる
グルメサイトで集客するには、常に最新の情報を掲載することが求められます。
営業時間などの店舗情報や、メニューに変化があればその都度、サイト情報の更新が必要です。
情報を更新せず、古い情報を掲載し続けると顧客の誤解を招いたり、間違った情報が伝わる可能性もあるため注意しましょう。
また、複数のグルメサイトに掲載している場合、グルメサイトごとに情報更新をおこなう必要があるため、さらに手間がかかります。
コストがかかる
グルメサイトの掲載には掲載料や予約手数料などのコストが伴います。
予算が限られている小規模店舗や、利益率の低い店舗にとって、これらの費用は大きな負担となる可能性があります。
例えば、1,000円のランチを提供している洋食店が、1人につき200円の予約手数料が発生するグルメサイトに登録したとしましょう。
このお店のFLコストが60%の場合、600円がFLコストに当たるため、残りは40%の400円です。
そこから予約手数料の200円を引くと、残るのは200円となりますが、グルメサイトの掲載料や水道光熱費などのコストを考慮すると、ほぼ利益がありません。
これでは「忙しいのに儲からない」状態に陥ってしまう可能性があります。
そのようなことのないよう、集客力だけでなく、コストを考慮してグルメサイトを選択することが大切です。
FLコストに関しての詳細は「飲食店の人件費率の最適解とは?FLコストの重要性や計算方法を紹介」を併せてご覧ください。
グルメサイトの選び方を4ステップで解説
飲食店経営において、グルメサイトの選択は顧客獲得とブランド認知、売上向上に関わる重要なポイントです。
下記のステップに従い、進めていくことで自店にとっての適切なグルメサイトが見えてきます。
1. 来て欲しい顧客像を明確にする(ターゲット設計)
2. 集客したい顧客層がグルメサイトに存在するか確認する
3. 情報を収集する
4. 情報を比較する
それぞれ順に解説します。
1. 来て欲しい顧客像を明確にする(ターゲット設計)
最初のステップは、ターゲット顧客の設定です。
理想の顧客の特徴、年齢層、性別、興味関心、支出の傾向などを考えます。
顧客像を明確にすることで、どのグルメサイトが適しているかを判断しやすくなります。
2. 集客したい顧客層がグルメサイトに存在するか確認する
次に、候補のグルメサイトがターゲット顧客層を持っているかを検証します。
サイトごとに異なるユーザー基盤があるため、自店のターゲット顧客と一致しているかを確認しましょう。
3. 情報を収集する
各グルメサイトの特徴、利用料金、提供するサービスや機能に関する情報を集めます。
インターネット上の情報や同業者からの聞き取り、サイト運営者への問い合わせなどを通じて詳細な情報を得ます。
4. 情報を比較する
収集した情報を比較し、自店に最も適したグルメサイトを選択します。
知名度や露出度、コストパフォーマンス、利用者の評判、サービスの質、サポート体制などを多角的に評価して判断することが大切です。
これらのステップに沿ってグルメサイトを選ぶことで、飲食店は効果的に顧客を獲得し、事業拡大につなげられます。
グルメサイトを利用する際の注意点
グルメサイトの活用は、飲食店の集客に大きなメリットをもたらす一方で、いくつかの注意点に留意する必要があります。
注意点を踏まえ、グルメサイトを効果的に活用することで、飲食店は集客とブランド認知の向上が図れます。
グルメサイトに登録しただけでは不十分
グルメサイトに店舗情報を登録するだけでは、十分な効果を得ることは困難です。
定期的な情報の更新、魅力的な写真の掲載、ユーザーからのレビューへの対応など、積極的な管理と運用が必要です。
また、店舗の特色やキャンペーン情報を随時更新することで、ユーザーの関心を引き続ける努力が求められます。
無料プランでは機能が制限される
多くのグルメサイトでは無料プランを提供していますが、通常、機能面の制限があります。
例えば、写真の掲載数に制限がある、予約システムの利用ができない、プロモーション機能が制限されるなどです。
これらの制限は、店舗の露出度や集客効果に影響を及ぼす可能性があるため、どのプランが自店のニーズに最適かを慎重に検討する必要があります。
表示順位を上げるために高額なプラン契約が必要
多くのグルメサイトでは、表示順位を上げるために高額なプランへの契約が求められることがあります。
高い表示順位は、より多くのユーザーの目に触れる機会を増やすため、集客に直接的な影響を与えます。
とはいえ、高額なプラン契約は、飲食店にとって大きな負担となり得るため、コストと効果のバランスを慎重に検討することが重要です。
おすすめグルメサイト比較10選
この章では、さまざまなニーズに応えるグルメサイトを比較し、それぞれの特徴、メリット、デメリット、独自のサービスや機能、そしてどのタイプの飲食店に適しているかを解説します。
おすすめグルメサイト
- 食べログ
- ぐるなび
- Retty
- ホットペッパーグルメ
- ヒトサラ
- 一休.com レストラン
- PayPayグルメ
- Yahoo!ロコ
- トリップアドバイザー
- OZmall
個別に特徴を紹介していきます。
食べログ|幅広いユーザー層と豊富な口コミ情報
画像引用:食べログ
食べログは日本最大級のグルメサイトで、幅広いユーザー層に支持されています。
特に口コミ情報が豊富で、利用者からのリアルな評価を得られるのが大きなメリットと言えます。
ジャンルを問わず、新しい顧客層を開拓したい店舗におすすめのグルメサイトです。
ぐるなび|宴会・団体客向けのサービスが特徴
画像引用:ぐるなび
ぐるなびは宴会や団体客向けのサービスを強化しているグルメサイトです。
大規模な飲食店や宴会が多い店舗にとって、集客効果が高いと言われています。
コース料理や特別プランの掲載にも適しており、団体客をターゲットにしたい店舗に向いています。
Retty|実名登録制で信頼性の高い口コミ情報
画像引用:Retty
Rettyは、実名登録制を導入しているため、信頼性の高い口コミ情報が得られるグルメサイトです。
ユーザーは実名でレビューを投稿するため、客観的で誠実な意見が多い傾向にあります。
新しいお店や独自のコンセプトを持つレストランに適しており、信頼できる評価を求める店舗に最適です。
ホットペッパーグルメ|若い女性ユーザーが多く、関連サービスが充実
画像引用:ホットペッパーグルメ
ホットペッパーグルメは、若い女性ユーザーに人気の高いグルメサイトです。
クーポンや割引サービスが充実しており、お得感を求める顧客にアピールしやすい傾向があります。
カジュアルな飲食店や、女子会向けのレストランに適したグルメサイトです。
ヒトサラ|シェフの紹介に重点を置いたサイト
画像引用:ヒトサラ
ヒトサラは、シェフや料理人を前面に出した、一風変わったグルメサイトです。
料理の質やシェフの個性を重視する高級レストランや、個人経営の飲食店に適しています。
シェフの個性や料理のストーリーを伝えることで、顧客との繋がりを深めることができます。
一休.com レストラン|ハイクラスな店舗へのアピールに適したサイト
画像引用:一休.com レストラン
一休.com レストランは、高級レストランや特別な体験を提供する店舗向けのグルメサイトです。
主に富裕層をターゲットにし、特別なディナーや豪華なメニューを提供する店舗に向いています。
PayPayグルメ|PayPayを利用した販促が特徴
画像引用:PayPayグルメ
PayPayグルメは、人気の決済サービス「PayPay」を利用したプロモーションが魅力です。
顧客がPayPay決済を利用することで、特典やポイント還元が受けられるため、デジタル決済を好む顧客層にアピールできます。
PayPayユーザーが多い地域や、20代〜40代の客層をターゲットとする店舗に適しています。
Yahoo!ロコ|Yahoo!公式のグルメサイト
画像引用:Yahoo!ロコ
Yahoo!ロコは、Yahoo! JAPANが運営する公式のグルメサイトです。
地図や交通、グルメ、クーポンなど、地域情報をまとめた情報サービスで、年齢層や利用シーンに合った店舗を探しやすいのが特徴として挙げられます。
Yahoo! JAPANユーザーに直接リーチできるため、幅広い客層をターゲットにした店舗に最適です。
トリップアドバイザー|インバウンド対策に有効
画像引用:トリップアドバイザー
トリップアドバイザーは、インバウンド(外国人観光客)対策に有効なグルメサイトです。
多言語対応のレビューが豊富で、世界中からの旅行者に利用されています。
国際的な客層を狙う店舗や、観光地周辺の飲食店に適しています。
OZmall|女性向けメディアとしての特徴を持つ
画像引用:OZmall
OZmallは、女性向けのおでかけ情報雑誌として知られている OZmagazine [オズマガジン] のWeb版です。
女性ユーザーが多く、デートや女子会、特別なイベント向けのお店を見つけるのに最適なプラットフォームと言えます。
おしゃれで落ち着いた雰囲気の店舗や、特別な体験を提供するお店にぴったりです。
まとめ|自店に合ったグルメサイトで集客強化を目指そう
本記事ではグルメサイトの概要や選び方について解説してきました。改めて、これまでの内容をまとめてみます。
グルメサイトの種類
グルメサイトは「口コミ型」と「ガイド型」があるが、一般的には口コミ型を指す
グルメサイトの掲載に必要な費用
- 掲載料
- 予約手数料(送客手数料)
グルメサイトを利用するメリット・デメリット
<メリット>
- 認知度がアップする
- さまざまな機能が利用できる
- ノウハウやデータが蓄積される
- 電話対応時間の短縮
<デメリット>
「手間」と「コスト」がかかる
グルメサイトの選び方
- 来て欲しい顧客像を明確にする(ターゲット設計)
- 集客したい顧客層がグルメサイトに存在するか確認する
- 情報を収集する
- 情報を比較する
グルメサイトを利用する際の注意点
- 積極的な管理と運用が必要
- 無料プランでは機能が制限される
- 表示順位を上げるために高額なプラン契約が必要
おすすめグルメサイト10選
- 食べログ
- ぐるなび
- Retty
- ホットペッパーグルメ
- ヒトサラ
- 一休.com レストラン
- PayPayグルメ
- Yahoo!ロコ
- トリップアドバイザー
- OZmall
グルメサイトの利用は飲食店にとって、集客とブランド認知の向上に非常に有効です。
しかし、グルメサイトはそれぞれ独自の特徴を持ち、ユーザー層や提供される機能に違いがあります。
これらの特徴を理解し、自店に合ったサイトを選ぶことが、効果的な集客戦略の鍵となります。
自店の特性やターゲット顧客に合わせたグルメサイトを選び、飲食店経営の成功を目指しましょう。