お店のSNSやホームページに掲載するための料理写真を「もっと魅力的に撮りたい」と考える方は多いのではないでしょうか。
写真の出来栄えに不満があるのは、撮影の目的が明確化されていないことが原因として挙げられます。
「人を惹きつける写真」を撮影するには、ただ写真を撮るだけではなく、お店の目的やお客様のニーズに合わせた写真を撮ることが不可欠です。
本記事では、料理写真を撮る基本的な技術から応用テクニック、SNSやホームページ向けの写真の撮り方、プロへの依頼方法まで、目的に合わせた魅力的な写真の撮り方を詳しく解説します。
お店の料理を際立たせ、お客様の食欲を刺激する写真撮影のコツを身に付けましょう。
トレタO/X
基本的な撮影テクニックと構図の理解
料理写真は、料理の美味しさを視覚的に伝えるメッセージのようなものです。
写真撮影の基礎やいくつかのテクニックを身に付けることで、お客様に料理の魅力を存分に伝えることが可能となります。
本記事では本格的なカメラ機材がなくても、スマートフォン(以下、スマホと称する)を使用して魅力的な写真を撮影する方法を中心に解説します。
基本編:道具不要の撮影テクニック
スマホ一台で、本格的な料理写真を撮影するためには「撮影アングル」と「構図」が重要です。
選ぶべき撮影アングルとその効果
撮影アングルは料理の見栄えに大きな影響を与えます。
主に下記のアングルからの撮影を意識してみましょう。
ハイアングル(上から)
料理をテーブルに置いた状態で、上から見下ろすように撮る方法です。
このアングルは料理の全体像を捉えるのに最適で、平面的な料理や色と形が豊富な料理に適しています。
水平(同じ高さから)
料理を目の高さか少し下の高さから撮影します。
このアングルは料理の深みを強調し、より立体的な写真を作るのに適しています。
ローアングル(下から)
あまり一般的ではありませんが、料理をユニークな視点から捉え、強い印象を与える効果が得られます。
ハイアングルや水平で撮影して、しっくりこない場合に試してみても良いでしょう。
見栄えを変える構図の種類
構図は写真のバランスと焦点を決定します。
数ある方法のなかでも、下記の構図はとくに効果的と言われています。
日の丸構図
写真の中心に被写体を配置します。
シンプルでバランスが取れているため、初心者にも扱いやすいです。
3分割構図
写真を縦または横に3等分し、被写体をこれらの線上または交点に配置します。
自然でバランスの取れた写真になります。
対角線構図
被写体を対角線上に配置することで動きと興味を写真に加えます。
とくに動きのある印象を与えたい場合に効果的です。
これらの基本的な撮影テクニックと構図を理解し、実践することで、スマホを使っても料理写真をより魅力的に撮影することが可能になります。
応用編1.被写体別の撮影テクニック
料理写真の質を高めたい場合、撮る対象に応じたテクニックが求められます。
たとえばドリンクやフード、スイーツではそれぞれ異なる特徴を持っており、その魅力を最大限に引き出すための撮影方法を理解することが重要です。
ドリンク・フード・スイーツの撮り方
ドリンク
透明感と液体の色を生かすことがポイントです。
光を透過させることで、飲み物の鮮やかな色や質感を表現できます。
さらに、グラスや氷、飾り付けにも注意を払いましょう。
フード
料理の温かみや食材の質感を捉えることが大切です。
光源を斜め後ろから当てることで、立体感と深みを演出できます。
水平、またはハイアングルから撮ると良いでしょう。
スイーツ
色彩の豊かさと質感を前面に出すことが求められます。
とくに表面の光沢や、クリームの柔らかさなど、細かなディテールを捉えることが鍵となるでしょう。
「飯テロ度」を高めるスマホカメラ機能の活用
スマホカメラのさまざまな機能を活用することで、料理写真の「飯テロ度」を高められます。
たとえば、ポートレートモードを使用して背景をぼかし、料理を際立たせる方法や、露出調整やホワイトバランスの微調整をおこなうことで、写真全体のムードを変える方法などがあります。
応用編2.シチュエーション別撮影テクニック
同じ料理でも、撮影するシチュエーションによって最適な撮影方法は変わります。
この章では、オムライス、和定食、パン、ドリンクなどの具体例を通して、シチュエーション別の撮影テクニックを見ていきましょう。
オムライス
オムライスの滑らかな卵の質感や、中から溢れるケチャップライスを強調するためには、上からのアングルが適しています。
照明を柔らかくして、卵の質感を際立たせましょう。
和定食
和定食は多くの小鉢で構成されているため、ハイアングルから全体を捉えることが重要です。
照明はやや柔らかくして、日本食の素朴さと繊細さを表現します。
パン
パンの場合、クラスト(外皮)のカリカリ感や中のふわふわ感を表現することがポイント。
照明の光を斜めから当てて、質感のコントラストを強調しましょう。
ドリンク
グラスの形状や飲み物の色を活かすために、背景に色のコントラストを持たせると良いでしょう。
透明感を出すために、光を透過させて撮影します。
ライティングの基本とその効果
料理写真におけるライティングは、写真の質を左右する大切な要素です。
適切な光の使い方一つで、料理をより美味しそうに、魅力的に見せることができます。
ライティングは主に自然光、室内ライト、レフ板の3つの光源を効果的に使い分けることが重要です。
ここからは、それぞれの光の使い方について、詳しく解説します。
自然光の活用
自然光は、最も手軽で効果的な光源です。
自然光を活用した撮影は、料理の色を忠実に再現するため、柔らかな影で立体感を出すのに適しています。
とくに、朝や夕方の柔らかな光は料理写真との相性が良く、被写体を自然で美しく見せます。
窓際で撮影する際は、直射日光を避け、光が拡散するようにしましょう。
室内ライトの使い方
室内で撮影する場合、光の方向や強度をコントロールできる室内ライトが有効です。
一眼レフカメラの上に接続して使用するタイプに代表されるオーバーヘッドライトよりも、側面や斜め上からの光を用いると、料理に深みと質感が出ます。
また、柔らかい光を好む場合は、ディフューザーや白い布を使って、光を拡散させると良いでしょう。
レフ板の効果的な使用
レフ板は、光を反射して影を軽減し、料理の質感を引き立てるのに役立ちます。
とくに一方向からの光源を使っている場合、反対側にレフ板を置くことで、料理に均一な明るさを供給できます。
また、白いレフ板は光を柔らかく反射させ、シルバーやゴールドのレフ板は、より強い反射を生み出すなど、レフ版によって特徴が異なるためシーンに合わせて選択するのがベストです。
正しいライティングを用いることで、料理写真はその魅力を最大限に発揮します。
自然光、室内ライト、レフ板を状況に応じて選び、使い分けることが、料理写真を一段上のレベルに引き上げるポイントです。
スマホ撮影に適した機材の選択
スマホ撮影において、追加の機材を用いることで、写真のクオリティを高めることが可能です。
この章では、初心者がはじめに購入する機材として最適な三脚やレンズアタッチメント、リモートシャッターを紹介します。
三脚
スマホを安定させ、ブレを防ぐために三脚を使用します。
三脚はとくに、低照度の環境や長時間露光が必要な場合に役立ちます。
スマホ専用のものは1,000円代で多くの種類が販売されており、気軽に購入できるのも嬉しいポイントです。
レンズアタッチメント
スマホのカメラに取り付けられる追加レンズを使用することで、広角撮影やマクロ撮影が可能になります。
価格は安いもので1,000円以下と非常にリーズナブルです。
使用できる機種が限定されるものや汎用性の高いものなど、さまざまなタイプが販売されています。
リモートシャッター
手ブレを防ぐためには、リモートシャッターを使用して撮影することを推奨します。
リモートシャッターを使用するには、スマートウォッチやリモコンなどが別途必要ですが、先ほど紹介したスマホ用三脚にリモコンが付属しているものもあります。
コストを抑えたい場合はそちらを購入すると良いでしょう。
リモートシャッター以外で手ブレを防ぐには、タイマー撮影機能を利用すれば、利便性は下がるものの、同様の結果が得られます。
料理写真撮影の実践と応用
料理写真の撮影では、基本技術を身に付けた上で「異なるアングルや構図を試してみる」「料理の特徴を強調するために色や質感に焦点を当てる」「ストーリー性を取り入れる」など、さまざまな応用技術を試すことが重要です。
また、撮影した写真に対する編集処理も応用技術のひとつです。
スマホには多くの写真編集アプリがあり、露出やコントラスト、彩度の調整、フィルターの適用などをおこなうことで、写真の雰囲気を大きく変えられます。
料理写真を上手に撮るポイント【実践】
料理写真を撮る際には、その写真がどのように見えるかを事前にイメージすることが重要です。
さらに、光の使い方やカメラの設定、料理のポーズ(配置)も、写真の印象を大きく左右します。
この章では、これらの要素をどのように活用して料理写真を撮るのかについて詳しく解説します。
写真の仕上がりイメージ
まず、撮影する前に写真の仕上がりをイメージしましょう。
料理のどの部分を強調したいか、全体的な色調や雰囲気はどうするのかを考えます。
たとえば、温かい家庭料理を撮る場合は、柔らかく温かみのある雰囲気を出すために、光と色調をソフトにすることが効果的です。
柔らかい光の利用
料理写真において、光は非常に重要な役割を果たします。
とくに、柔らかい光を使うことで、料理の質感や色を自然に美しく見せることが可能です。
自然光を利用する場合は、直射日光を避け、窓から差し込む柔らかい光を活用します。
室内ライトを使う場合は、ダイレクトな光ではなく、拡散した光を使うと良いでしょう。
レフ板や白い布を使用して光を柔らかくすることも有効です。
料理の魅力を引き出すカメラ設定とポーズ
スマホカメラの場合、多くは自動設定で十分な結果を得られますが、よりコントロールしたい場合は、手動設定で露出やホワイトバランスを調整することが可能です。
たとえば、料理が暗すぎる場合は露出を増やし、色温度が合わない場合はホワイトバランスを調整します。
また、料理の「ポーズ」、つまり料理の配置や盛り付け方も重要です。
料理を魅力的に見せるためには、料理の最も美しい部分を前面に出し、必要に応じてアクセサリー(ハーブやスパイスなど)を加えて全体の見た目を引き立てます。
写真をワンランクアップする方法【応用】
料理写真をさらに魅力的に見せるための応用的なテクニックとして、この章では、料理の特徴を強調するための構図とアングルの選び方について解説します。
料理の特徴を強調する構図とアングル
料理写真において構図とアングルは非常に重要です。
料理の魅力を最大限に引き出すためには、下記のポイントを考慮してください。
構図
料理の形状やサイズに合わせて構図を選びます。
丸い形の料理には中心的な構図が適しており、長方形の料理には対角線構図が効果的です。
アングル
料理の特徴に応じてアングルを選びます。
層や断面が特徴的な料理には横からのアングルが適しており、平面的な料理には上からのアングルが適しています。
料理写真の加工と最終チェック
料理写真を撮影した後、その写真を最高の状態に仕上げるためには、適切な加工と最終チェックが欠かせません。
スマホやPCの写真加工アプリを使って、料理写真をより一層引き立たせましょう。
加工とチェックは下記のステップでおこないます。
- 色調整
- 明るさとコントラストの調整
- クロップ(切り抜き)と整形
- シャープネスの調整
色調整
料理写真における色の再現性は非常に重要です。
色調整をおこなうことで、料理の色を実際のものに近づけ、より鮮やかな演出ができます。
スマホやPCの写真編集アプリを使用して、彩度や色温度を調整しましょう。
暖かい料理には少し暖かみのある色温度を、冷たい料理には少し冷たみのある色温度を選ぶと料理の雰囲気が伝わりやすいです。
明るさとコントラストの調整
明るさとコントラストの調整は、料理写真に深みと立体感を与えるために重要です。
明るさを適切に調整することで、料理が暗すぎたり、明るすぎたりすることを避けられます。
また、コントラストを調整することで、料理の質感やディテールが際立ちます。
しかし、過度な調整は自然さを失う原因になるので注意が必要です。
クロップ(切り抜き)と整形
写真をクロップすることで、不要な要素を取り除き、料理に焦点を当てることができます。
また、整形ツールを使って写真の角度を調整したり、歪みを修正することで、よりプロフェッショナルな見た目に仕上げることが可能です。
さらに、クロップや整形は構図の微調整にも役立ちます。
シャープネスの調整
シャープネスの調整は、料理写真のクリアさとディテールを強化します。
とくに、料理の外形や輪郭を際立たせたい場合に有効です。
ただし、過度にシャープネスを上げると不自然な見た目になることがあるので、バランスを取る必要があります。
これらの加工と最終チェックをおこなうことで、料理写真をより魅力的で高品質なものに仕上げられます。
自然な美しさを保ちつつ、写真の魅力を最大限に引き出すことを目指しましょう。
SNSへの効果的な投稿方法
料理写真をSNSに投稿する際は、ただ美しい写真をアップするだけでなく、いくつかの戦略的なアプローチを取ることが重要です。
キャプションの重要性
写真に合わせた魅力的なキャプションを付けることで、フォロワーとのコミュニケーションを深められます。
レシピの簡単な説明、料理のインスピレーションの源、あるいは面白いエピソードなど、写真と共にストーリーを伝えることが効果的です。
ハッシュタグの活用
適切なハッシュタグを使用することで、関心のある顧客へ写真やテキストが届く可能性が高まります。
ハッシュダグは料理の種類、使用材料、または特定の料理スタイルに関連するワードを選ぶことが重要です。
投稿時間の選定
フォロワーが最もアクティブな時間に投稿することで、より多くの視認性とエンゲージメントを得られます。
多くの場合、朝食前や昼食時、夕食前が最も反応の良い時間帯とされています。
高い品質の料理写真をSNSに投稿し、料理の魅力を多くの人に伝えることで、より大きな反響が得られます。
キャプションやハッシュタグ、投稿時間を戦略的に選ぶことで、SNSでの料理写真の影響力を高められるでしょう。
プロへの依頼と料金相場
料理写真のプロフェッショナルな撮影を求める場合、プロのフォトグラファーへの依頼が最善の選択です。
料理写真のプロは、料理の質感、色合い、照明などの細かいディテールに注意を払い、料理を最も魅力的に見せる写真を撮影します。
この章では、プロのフォトグラファーへの依頼時のポイントと料金相場について解説します。
プロフォトグラファーへの依頼時のポイント
プロに料理写真を依頼する際、以下のポイントを考慮することが重要です。
撮影の目的を明確にする
メニュー用、広告用、SNS用など、撮影の目的によって求められる写真のスタイルが異なります。目的を明確に伝えることで、望む結果を得やすくなります。
参考になる写真を提供する
参考にしたい写真やイメージを事前に提供することで、撮影の方向性を具体的に伝えることが可能になります。
料理の特性を伝える
料理の特徴や強調したいポイントをフォトグラファーに伝えましょう。
これにより、料理の魅力を最大限に引き出す撮影をおこなえます。
料金相場
プロの料理写真撮影の料金は、フォトグラファーの経験、撮影の規模、撮影地域などによって異なりますが、一般的には下記のような料金相場が考えられます。
1時間あたりの料金
約10,000円から50,000円。撮影時間や撮影枚数に応じて変動します。
1日あたりの料金
約50,000円から150,000円。長時間の撮影や複数料理の撮影の場合に適用されることが多い印象です。
プロジェクトベースの料金
特定のプロジェクトやキャンペーン用の撮影の場合、プロジェクト全体の規模や要件に基づいて料金が設定されます。
これらの料金はあくまで目安であり、詳細はフォトグラファーに直接相談する必要があります。
また、撮影の内容や要件に応じて追加料金が発生する場合もありますので、事前に見積もりを依頼し、細かい条件を確認しましょう。
プロのフォトグラファーに料理写真の撮影を依頼することで、高品質な写真をほぼ確実に得られます。
料金は初期投資と考え、その写真がもたらす長期的な価値を見極めることが大切です。
まとめ|スマホで魅力的な料理写真を撮り、顧客へアピールしよう
本記事はスマホで料理写真を撮影する方法について解説してきました。
改めて要点をまとめます。
スマホで本格的な料理写真を撮影するためには「撮影アングル」と「構図」が重要
主なアングルは下記の3つ
- ハイアングル(上から)
- 水平(同じ高さから)
- ローアングル(下から)
見栄えを変える構図の種類
- 日の丸構図
- 3分割構図
- 対角線構図
被写体別の撮影テクニック
ドリンク:透明感と液体の色を生かす
フード:料理の温かみや食材の質感を捉える
スイーツ:色彩の豊かさと質感を前面に出す
シチュエーション別撮影テクニック
オムライス:上からのアングルが適している
和定食:ハイアングルから全体を捉える
パン:光を斜めから当てて、質感のコントラストを強調する
ドリンク:背景に色のコントラストを持たせる
ライティングの基本
- 自然光を効果的に活用する
- 室内ライトは光の方向や強度をコントロールできるものがおすすめ
- レフ板の効果的な使用方法を把握する
スマホ撮影に適した機材
- 三脚
- レンズアタッチメント
- リモートシャッター
料理写真を上手に撮るポイント
- 撮影する前に写真の仕上がりをイメージする
- 柔らかい光を利用する
- 料理の魅力を引き出すカメラ設定とポーズ(料理の配置)を調整する
写真をワンランクアップする方法
料理の特徴を強調する構図とアングルを把握する
料理写真を加工するステップ
- 色調整
- 明るさとコントラストの調整
- クロップ(切り抜き)と整形
- シャープネスの調整
SNSへの効果的な投稿方法
- 最適なキャプションを書く
- 関連性の高いハッシュダグを用いる
- フォロワーがアクティブな時間に投稿する
プロへの依頼と料金相場
依頼時のポイント
- 撮影の目的を明確にする
- 参考になる写真を提供する
- 料理の特性を伝える
料金相場
- 1時間あたりの料金は約10,000円から50,000円
- 1日あたりの料金は約50,000円から150,000円
料理写真において最も重要なポイントは、「誰になにを伝えたいか」を明確にして撮影することです。
加えて撮影の技術やポイントを理解することで料理写真は、料理の魅力を視覚的に伝え、人々の食欲をそそる強力なツールとなり得ます。
基本から応用、さらにプロへの依頼に至るまで、各ステップを丁寧に実践することで、料理写真の撮影技術を磨くことができるでしょう。