飲食店経営者のなかには、新型コロナウイルスの影響による売上低下から回復できず、苦境に立たされている方もおられるのではないでしょうか。

予算が限られている状況で集客に取り組むには、効果的な販促をおこなうことが重要です。

本記事では、集客の主要な施策である販促について、基礎から取り組み方の具体的な手順やポイント、注意点について詳しく解説します。
すぐに取り組めるおすすめ販促ツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

資料を無料配布中!
売上アップの集客アイデア集

お店の売上に大きく影響する”集客”は、やみくもにおこなってもコストや時間だけがかかり、期待する効果を得ることが難しい場合があります。

集客で大切なことは「ターゲット顧客を明確にすること」です。

今回は飲食店のオーナー監修の元、売上につながる効果的な集客方法をまとめた資料を用意しました。集客がいまいちうまくいかない、もっと効果を発揮したい、という方はぜひ読んでみてください。

集客のアイデアを見る

飲食店の販促についての基礎知識

販促とは「販売促進」を略したもので、集客施策の一種です。
製品やサービスの売上を増やすためのさまざまな活動を指します。

飲食店が販促に取り組む大きな目的のひとつが、店舗の知名度向上です。
知名度が上がれば、お店のブランド価値も高まり、新規顧客の集客が容易になります。

また、販促への取り組みは、既存顧客へ再来店を促すきっかけとしても効果的です。
既存顧客の来店回数を増やし、リピーターにすることで、安定した売上と長期的な顧客関係が築けるでしょう。

リピーターの獲得方法の具体的な内容は「リピーター獲得のアイディア10選 | 集客のコツや注意点も解説」を併せてご覧ください。

販促を行う際に使用する”販促ツール”についての詳細は、記事後半の「飲食店向けおすすめ販促ツール」で解説します。

飲食店の販促活動手順と実施方法

販促活動を成功させるには、計画的に手順を踏むことが重要です。
この章では、販促活動を効果的に進めるための基本的なステップをご紹介します。

STEP1. 目的とターゲットの明確化

販促活動を始める前に、まずはその活動で何を達成したいのか、具体的な目的を決めていきます。
例えば、新しいメニューの宣伝や特定のイベントの告知、店舗の知名度向上などです。

目的が決まったら、次にその活動を通じて誰に情報を届けたいのかを決め、ターゲット顧客を定めます。
年齢、性別、趣味、居住地など、ターゲット顧客の特性を細かく分析することが成功への鍵となるでしょう。

STEP2. 販促戦略の立案

ターゲットと目的が明確になったら、どのようにしてその目的を達成するか、具体的な販促戦略を立案します。
また、この段階で、販促メッセージの内容や使用する販促ツールの選定、タイミングなどを決定します。

例えば、夏に向けた新メニューのプロモーションなら、爽やかなビジュアルのチラシを夏休み前に配布するなど、季節感を意識した戦略が効果的です。

STEP3. 販促ツールの選定と準備

戦略に基づいて選ばれた販促ツールを準備します。
具体的には、チラシの場合はデザインや内容、印刷会社の選定などです。

SNSやホームページを利用する場合は、投稿する内容や画像、動画などのメディアを準備します。
また、オンライン広告などの有料広告を利用する場合は、キャンペーンの設定や予算の配分をおこないます。

STEP4. 販促活動の実施

販促ツールの準備が整ったら、販促活動を開始します。

キャンペーンの期間や頻度、地域など、活動の規模は戦略によって異なります。
販促の効果を最大化するためには、ターゲット顧客が最も活動的な時間帯や場所で販促活動をおこなうことが重要です。

販促活動の例としては、週末のショッピングモールでの試食イベントや、閲覧者が多い夕方の時間帯を狙ったSNSのプロモーション投稿が挙げられます。

STEP5. 効果測定と分析

販促活動の効果を測定し、ツールごとに成果を分析します。

具体的にはチラシ配布後の来店数の変化、SNSキャンペーンのエンゲージメント数の増減、ウェブサイトのアクセス数の増加などの測定です。

これらのデータをもとに、次回の販促活動で何を改善すべきかを検討します。

STEP6. 収集したデータをもとに改善

効果測定と分析で得られたデータをもとに、販促活動をより効果的なものに改善していきます。

例えば、SNSキャンペーンで反響が大きかった投稿のスタイルを分析し、次回の投稿で活用する、チラシの配布場所やデザインを見直すなど、具体的な改善策を実施しましょう。

このサイクルを繰り返すことで、販促活動の成果が最大化できます。

販促の効果を高めるポイント

販促活動はポイントを押さえて取り組むことで、大幅に効果を高められます。

特に意識しておきたいポイントは下記の3点です。

  • 販促にかける予算を決めておく
  • 複数の販促ツールを併用する
  • 販促を実施するタイミングを見極める

それぞれ詳しく解説していきます。

販促にかける予算を決めておく

販促活動にかける予算は、一般的に売上の3%から5%を販促費用に充てるのが相場とされています。
しかし、販促活動の内容や目的によっては、この比率を調整する必要があります。

重要なのは、販促活動によって期待される成果と、そのために投じる予算のバランスを見極めることです。

例えば、新メニューの導入をPRする際には、SNSを活用した広告や地域密着型のイベントを組み合わせることで、効率良く予算が使えます。

また、予算を決める際には、販促活動の効果測定も考慮に入れ、どの活動のコストパフォーマンスが良いのかを定期的に分析することが大切です。

複数の販促ツールを併用する

オフラインとオンラインのどちらかに限定せず、複数の販促ツールを組み合わせることで、さまざまな顧客層へのアプローチが可能です。

例えば販促を組み合わせる代表的な例のひとつに、店舗の地元で開催されるフェスティバルへの出店が挙げられます。
屋台やキッチンカーなどで出店し、SNSやホームページ等で告知することで、イベント参加者だけでなく、オンライン上で多くの見込み客にもアピールできます。

それぞれのツールが持つ特性とターゲット顧客の傾向を理解し、相乗効果を狙いましょう。

販促を実施するタイミングを見極める

販促活動のタイミングは、販促の成功に大きく影響します。
季節のイベントや祝日、学校の休みなど、顧客がお店に足を運びやすい時期に合わせて販促活動をおこなうことが重要です。

例えば、バレンタインデーに特別なデザートメニューを用意し、それをSNSで告知することで、特別な日に食事を楽しみたいカップルをターゲットにできます。

また、年末年始やゴールデンウィークなど、長期の休暇を利用して家族で外食を楽しむ機会が増える時期には、家族向けのキャンペーンを展開するのも良いでしょう。

タイミングを見極めることで、限られた予算内で最大の効果を引き出すことが可能になります。

飲食店向けおすすめ販促ツール

販促ツールは、飲食店が新しい顧客を獲得し、リピーターを増やすための重要な手段です。

ここでは、特に飲食店におすすめの販促ツールをオフラインとオンラインのカテゴリーに分けて紹介します。

オフライン

オフラインの販促ツールは、直接的に顧客との接点が持てるツールです。
集客施策のオンライン化が進む現在でも、地域密着型の飲食店にとっては非常に有効な手段と言えます。

ビラ配り

ビラ配りは、地元の顧客や通行人に直接お店の情報を届ける効果的な方法です。

特別なオファーやイベント情報の掲載したビラを、店舗周辺や人通りの多い場所で配布します。
ビラのデザインは、お店の雰囲気や特色を反映させることで、印象に残りやすくなります。

ポスティング・折り込みチラシ

ポスティングや折り込みチラシは、地域住民に広くお店を知ってもらうための方法です。

新聞の折り込みチラシや、ポストに直接投函する形で情報を届けます。
地域のイベントや季節のメニューなどを紹介することで、興味を引くことが可能です。

クーポン・スタンプカード

クーポンやスタンプカードは、お店へのリピートを促すための販促ツールです。

特定の条件下で割引やサービスを提供するクーポンや、来店回数に応じて特典が得られるスタンプカードは、顧客にとって魅力的な来店の動機となるでしょう。

ダイレクトメール(郵送)

ダイレクトメールは、顧客データベースを活用して個々の顧客にハガキなどを用いて直接情報を送る方法です。

誕生日や記念日に特別なオファーを郵送することで、一人ひとりに合わせたコミュニケーションを図り、顧客の興味を高める効果が期待できます。

看板・のぼり・貼り紙

店舗の外観に設置する看板やのぼり、貼り紙は、店舗を訪れるきっかけを作り出します。

目を引くデザインやメッセージで、通りがかりの人の注意を引き、店舗に興味を持ってもらうことが大切です。

オンライン

オンラインの販促ツールは、インターネットを介して広範囲の顧客にリーチできるツールを指します。

オフラインの手法と比べ、販促活動の成果や顧客データの取得が容易なため、多くの企業や店舗がオンラインの販促を活用しています。
特に若年層やSNSユーザーへのアプローチに有効な手段です。

ホームページ

ホームページは、お店の「顔」となる重要な販促ツールです。
ホームページで効果的に集客するには、お店のロゴ、メニュー、価格、営業時間、場所、お店の雰囲気を示す写真や動画、そしてお店の特徴やこだわりを伝える文章が必要です。

また、予約フォームを導入し、顧客が直接ホームページから予約を入れられるようにすると、さらに利便性が高まります。

さらに、SEO(検索エンジン最適化)にも注意を払い、検索時にお店が上位に表示されるよう工夫しましょう。

SNS

InstagramやFacebook、X(旧Twitter)、TikTokなどのSNSは、現代の販促戦略において欠かせないツールです。

特に飲食店では、料理の写真や動画を投稿することで、視覚的にお店の魅力を伝えることが可能です。
また、フォロワーと積極的にコミュニケーションを取り、投稿のシェアを促すことで、自然な口コミ効果を得られます。

定期的な投稿やフォロワーとの交流により、お店のファンを増やしましょう。

飲食店のSNS運用に関しての詳細は「飲食店のSNS運用|始め方や成功のコツ、メリットを徹底解説」を併せてご覧ください。

Google ビジネス プロフィール(旧称: Google マイビジネス)

Google ビジネス プロフィールは、お店の基本情報を検索結果に表示させるサービスです。

営業時間、所在地、連絡先、メニュー、写真などの情報を掲載でき、お店への行き方を示すマップも表示されます。
また、顧客からのレビューに返信することで、サービスの質を高め、新規顧客の信頼を得る機会にもなります。

Google ビジネス プロフィールとの関連性が高いMEOについては「飲食店のMEO対策とは?メリットや集客するための3つのコツを解説」を併せてご覧ください。

グルメサイト

「食べログ」や「ぐるなび」といったグルメサイトへの掲載は、お店の知名度を上げる効果的な方法のひとつです。

これらのグルメサイトは多くのユーザーに利用されているため、新規顧客の獲得に役立ちます。
また、口コミや評価を通じて、お店の信頼性を高められる点もメリットです。

期間限定のプロモーションやメニュー、イベントなど、対象期間を絞った集客にも高い効果が見込めます。

LINE公式アカウント

LINE公式アカウントは、通常のLINEのようにメッセージ機能が使えるため、お店から直接顧客に情報を送ることが容易になります。

また、アプリの機能を活用し、限定クーポンの配布や新メニューの紹介、イベントの案内など、顧客にとって魅力的な情報を提供することで、来店を促進できます。

LINE公式アカウントを利用すれば、顧客からの問い合わせに迅速に対応できるため、顧客満足度の向上に貢献できるでしょう。

デジタルスタンプカード

デジタルスタンプカードとは、スマートフォンアプリを利用したデジタルスタンプカードサービスです。
通常、来店回数に応じてポイントが貯まり、特定のポイント数に達すると、クーポンや特典が利用できるようになります。

物理的なカードを持つ必要がなく、顧客はアプリを通じて簡単にポイントを管理することが可能です。
このシステムは、リピーターの獲得に非常に効果的であり、顧客のロイヤルティを高めるのに役立ちます。

飲食店のスタンプカードについて、詳しくは「「飲食店のスタンプカード」にお客さまが感じる不満とは? ~アンケート調査で紙とアプリにおける課題が明らかに~」を併せてご覧ください。

飲食店の販促における注意点と回避方法

飲食店の販促活動を成功させるためには、いくつかの注意点に留意する必要があります。
注意点に対し、適切に対応することで販促活動の効果が最大化し、潜在的なトラブルが未然に防げるためです。

この章では、飲食店の販促活動における主な注意点とその回避方法を詳細に解説します。

一方的なアピールは避ける

販促活動でよくある間違いは、お店の一方的なアピールに終始してしまうことです。
これでは、顧客が情報を受け取るだけの関係になってしまい、顧客の参加や反応を引き出せない状況を招きます。

一方的な情報提供は、顧客の興味や関心を持続させることが難しく、結果的に販促活動の効果を低下させる原因となることも。

販促活動では、顧客の参加を促す双方向のコミュニケーションを取り入れることが重要です。
例えば、SNSでのキャンペーン時には、顧客が自分の体験をシェアするハッシュタグを作成し、積極的に投稿を促すことで、顧客とのエンゲージメントが高められます。

また、アンケートやフィードバックの募集を通じて、顧客の声を直接聞き、サービス改善に活かすことも有効です。

販促に関する法令遵守を徹底する

食品衛生法や景品表示法など、飲食店の販促活動には遵守すべき法律が多数存在します。
これらの法令を無視した販促活動は、罰金や営業停止などのリスクを伴います。

特に、飲食業界では食品の安全性が最優先されることから、法令違反は店舗の信頼性低下に直結するため注意が必要です。
そのような事態を避けるためにも、事前に関連する法令を把握し、適切な申請や届出をおこないましょう。

例えば、特定のイベントでアルコールを提供する場合は、酒類販売業の許可が必要になることもあります。
また、価格表示に関しては、消費者庁のガイドラインに沿って、誤解を招かない明確な表示を心がけることが重要です。

販促物を作成する際にも、法令遵守を第一に考え、必要であれば専門家のアドバイスを求めることも検討してみましょう。

まとめ|販促活動は継続することが重要

本記事では飲食店の販促について詳しく解説してきました。改めて要点をまとめていきます。

飲食店が販促に取り組む主な目的

  • 店舗の知名度向上
  • 新規顧客の獲得
  • リピーターの獲得

飲食店の販促活動手順と実施方法

STEP1. 目的とターゲットの明確化
STEP2. 販促戦略の立案
STEP3. 販促ツールの選定と準備
STEP4. 販促活動の実施
STEP5. 効果測定と分析
STEP6. 収集したデータをもとに改善

販促の効果を高めるポイント

  • 販促にかける予算を決めておく
  • 複数の販促ツールを併用する
  • 販促を実施するタイミングを見極める

飲食店向けおすすめ販促ツール

<オフライン>

  • ビラ配り
  • ポスティング・折り込みチラシ
  • クーポン・スタンプカード
  • ダイレクトメール(郵送)
  • 看板・のぼり・貼り紙

<オンライン>

  • ホームページ
  • SNS
  • Google ビジネス プロフィール(旧称:Google マイビジネス)
  • グルメサイト
  • LINE公式アカウント
  • デジタルスタンプカード

飲食店の販促における注意点と回避方法

  • 一方的なアピールは避ける
  • 販促に関する法令遵守を徹底する

飲食店の販促活動は、一度きりの取り組みではなく、継続しておこなうことが重要です。
計画的に販促活動に取り組み、その効果を定期的に測定・分析することで、店舗の売上向上につながります。

販促活動を集客の大きな柱の一つとして、ぜひ積極的に取り組んでください。