「自社でも、ECサイトは運営できるだろうか」
「ECサイトの運営を始めたいものの、どのような業務が必要になるのかがわからない」

ECサイトの運営について、このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。知識がない状態からECサイトを運営する場合、本当にできるのかと不安に感じてしまうでしょう。

ECサイトは商品を用意してサイトを立ち上げれば始められますが、それだけでは売上を得ることはできません。

サイトを知ってもらい買い物をしてもらうには、マーケティングも必要です。そのため、正しい知識を身に付けて、何をすべきなのかをしっかりと把握しておきましょう。

本記事では、ECサイトの業務内容・構築や運営にかかる費用・運営に必要なスキルについて解説します。ECサイトを成功させる秘訣についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

ECサイト運営の業務内容と流れ

まず、ECサイトを運営する際の基本的な業務内容とその流れについて確認していきましょう。

業務は大きく分けて、以下の2つに分けられます。

  • フロントエンド業務:集客を目的としたマーケティングに関連する業務
  • バックエンド業務:ECサイトの運営をサポートする業務

フロントエンド業務とバックエンド業務は、それぞれ以下のような流れでおこないます。

では、個々の業務内容について見ていきましょう。

4つのフロントエンド業務

フロントエンド業務では、

  • 商品企画
  • 仕入/製造
  • ECサイト制作
  • マーケティング/サイト改善

といった業務をおこないます。ECサイトを始めたいと思ったら、まずフロントエンド業務に取り組みましょう。

ECサイトを立ち上げても、サイト自体が認知されておらず、なにもしなければ訪れてくれる人は少ないはずです。そのため、魅力的な商品の企画・仕入れや、プロモーション活動をおこなうことで、ECサイトに集客する必要があります。

また、競合との差別化を図る場合にも、欠かせない業務と言えるでしょう。
では、業務内容を解説します。

商品企画

まず、ECサイトで扱う商品を企画します。売れなければ意味がないため、扱う商品にニーズはありそうかを確認しなければなりません。

また、季節やトレンドに関連するような商品を扱う場合、企画後の製造や仕入れなどにかかる時間も考慮する必要があります。

例えば、冬に合わせてお店の味を再現できるミールキットを販売したいと考えたものの、実際の販売が春になってしまえば売上が落ちることは予想できるでしょう。また、冬にぎりぎり間に合ったとしても、ECサイトが認知されるようになるころには、季節外れになってしまうかもしれません。

市場調査や情報収集をおこない、先を見据えた企画を立てましょう。

自社で企画から販売までをおこなう「D2C」と、外部に商品製造を委託する「OEM」がある

商品企画の前に決めることは、自社ですべてをおこなうのか、商品の企画や製造は外部に委託するのかです。

D2Cは商品企画・製造から販売まで、すべての工程を自社でおこないます。対して、OEMは商品企画・製造の部分を他社に委託することが可能です。

OEMでも、商品企画は自社でおこない、製造のみを委託することも可能です。

仕入れ・製造

販売予測などから販売計画を立て、それに基づいた商品の仕入れや製造をおこないます。

ただし、販売予測はあくまでも予測でしかないので、想定以上に売れて在庫がない状態が続いてしまうと、機会損失に繋がります。そのような場合に備えて、臨機応変に対応できる体制を作っておくことが大切です。

例えば、

  • 複数の仕入先を確保する
  • レスポンスの速い業者を選定する

といったことが重要になります。

ECサイト制作

これからECサイトを始めるのであれば、サイトを制作しなくてはなりません。

後ほど「構築費用は構築方法によって大きく異なる」で詳しく解説しますが、ECサイトの構築方法には以下の4つがあります。

  • ASP型
  • オープンソース型
  • パッケージ型
  • フルスクラッチ型

予算や売上規模によって、上記の中から構築方法を選びます。

ECサイトの制作で重要となるのが、「デザイン」です。自社の商品に合うデザインであるだけでなく、ユーザーが使いやすいデザインであることも大切です。

いくらおしゃれだったり、目を引かれるギミックが施されていても、商品を探しにくい、商品カートがどこにあるのかわかりにくいといった使いにくいサイトであれば、ユーザーは離脱してしまうからです。

ECサイトに訪れたユーザーが、ストレスなく購入まで進めるかを十分に確認しましょう。

マーケティング・サイト改善

自社のECサイトや商品を知ってもらわなければ、いくらいい商品を揃えても意味がありません。実店舗であれば、店の前を通った人が立ち寄ってくれることもあるかもしれませんが、ECサイトはこちらから宣伝しなければ認知してもらえないからです。

自社のサイトや商品を知ってもらうためには、マーケティングをおこないます。

基本的には、以下のような方法でプロモーションを実施します。

  • Web広告(リスティング広告/ディスプレイ広告/アフィリエイト広告など)
  • コンテンツマーケティング
  • SNSマーケティング

Web広告はWeb上のターゲットに対して広告を表示する手法で、即効性が期待できます。しかし、広告費がかかるため予算をしっかりと確保しなければなりません。

自社の商品に関連する内容の記事コンテンツや動画コンテンツなどを通して、自社のECサイトに誘導するコンテンツマーケティングは、広告費はかからないものの、制作にスキルやリソースが必要となります。

SNSマーケティングは気軽に始めやすいものの、SNSプラットフォームの特徴を理解し、どのように拡散させるかなどを考える必要があります。

5つのバックエンド業務

バックエンド業務では、

  • 商品情報登録
  • 在庫管理
  • 受注管理
  • 出荷作業
  • アフターサポート

といった業務をおこないます。ECサイトでの販売に関連する業務で、顧客の満足度を高める業務でもあります。バックエンド業務のミスは顧客満足度の低下を招くため、対応力や集中力が重要です。

では、業務内容を解説します。

商品情報登録

ECサイトを制作したら、商品情報を登録するために「ささげ作業」をおこないます。ささげ作業とは、「撮影」「採寸」「原稿」の頭文字を取ったもので、商品をいかに魅力的にアピールできるかが決まるポイントです。

商品写真を撮影し、サイズを測り、商品説明文と共に商品ページに掲載していきます。

ユーザーは写真や商品説明などから、購入するかどうかを判断するため、この作業が売上に直結するといっても過言ではありません。商品ページが完成したら、「このページを見て買いたくなるか」までしっかりとチェックしましょう。

在庫管理

在庫に過不足がないか管理します。

販売予測に基づく発注をおこなうだけでなく、品切れや余剰在庫が発生しないように調整しながら在庫管理をおこないます。

ECサイトを立ち上げたばかりの頃は、調整が難しく感じるかもしれませんが、経験を積むことで適切に在庫をコントロールできるようになるでしょう。

受注管理

受注管理は、顧客が商品を購入した後おこなう、商品の在庫確認やメールの送信です。注文を受けた商品の在庫を確認し、受注を確認したことを知らせるメールを送信します。

在庫がないのに確認メールを送信してしまう、メールを送信し忘れるなどのミスが発生すると、顧客に不信感を与えてしまいます。

顧客にとって、「購入したら発送までスムーズに進む」のは当たり前のことであるため、満足度を下げないようにミスがないように最大限気を配りましょう。

出荷作業

購入された商品の梱包・発送作業をおこないます。梱包は商品に傷がつかないようにするほか、自社ならではの個性を出した外装や同梱物にこだわるなどすることで、競合との差別化も図れます。

商品は必ずクッションとなる緩衝材を入れて、丁寧に梱包しましょう。

同梱物として、納品書のほかに自社の他の商品のチラシを入れるケースもあります。また、手書きのお礼状などを入れることで、顧客から愛着を持ってもらえる可能性もあります。

顧客のことを考えていることが伝わるような梱包を検討してみましょう。

アフターサポート

商品が届かない、届いた商品に不具合があったなど、クレームや問い合わせに対応するアフターサポートも重要な業務です。問い合わせがあった場合に、どのように対応するかで満足度を大きく左右します。

例えば、商品不良があったとの問い合わせがあったとします。問い合わせから何日も返信がないまま放置されれば、多くの顧客は「二度とこのサイトでは買い物しない」と考えるでしょう。

しかし、問い合わせに対して迅速に対応し、すぐに商品を新しいものに交換したとしたら、誠実に対応する姿勢がむしろ好印象を与える可能性もあります

想定されるクレームや問い合わせに対し、どのように対応するかもマニュアル化しておくとスムーズに対応できるでしょう。

ECサイト運営にかかる費用の相場

ECサイトを運営するうえで重要になるのが、どの程度の費用がかかるかでしょう。そこで、ECサイトの費用相場について「構築費用」と「ランニングコスト」に分けて解説していきます。

構築費用は構築方法によって大きく異なる

ECサイトの構築にかかる費用は、構築方法によって大きく異なります。

  • ASP型
  • オープンソース型
  • パッケージ型
  • フルスクラッチ型

これらの構築方法別に、構築費用や導入の目安となる年商を解説していきます。

ASP型

ASP(Application Service Provider)とは、アプリケーションを提供するサービス事業者のECプラットフォームを利用し、ECサイトを構築するサービスです。ECサイトで必要となるシステムや機能が備わっており、手間をかけずにECサイトを構築できます。

無料サービスと有料サービスがあり、構築費用を抑えられるため、小規模でECサイトを始めたい場合などはASP型がおすすめです。

ただし、無料で利用できるASPサービスの場合、使用できる機能が限定されたり、カスタマイズ性が低かったりするため、売上拡大や業務効率化を目指す場合は、有料サービスを選びましょう。

年商目安1億円未満
構築費用無料~10万円

オープンソース型

オープンソース型は、一般公開されているプログラムをインストールし、ECサイトを構築する方法です。構築費用を抑えつつ、カスタマイズもしやすいという特徴があります。

プログラムのインストールには費用がかかりませんが、プログラミングの技術は不可欠です。また、セキュリティ対策などの保守管理も自社ですべておこなう必要があるため、それらの知識や技術がない場合は、外部に構築を委託する必要があります。

年商目安1億円前後
構築費用無料~300万円

パッケージ型

パッケージ型とは、ECサイトの運営に必要なシステムや機能を備えたショッピングカートシステムのことです。ECサイトの基本機能だけでなく、在庫管理・CMS機能・外部システム連携といった機能を備えており、必要に応じてカスタマイズも可能です。

サポートやカスタマイズをベンダーに依頼できるため、サイト構築に関する知識がなくても、ECサイトを立ち上げられます。

年商目安1億円以上
構築費用300万円~

フルスクラッチ型

フルスクラッチ型は、ゼロから自社でECサイトを立ち上げる方法です。オリジナルのサイトを構築するため、デザイン・機能・カスタマイズもすべて自由におこなえます。

しかし、何もない状態から作り上げるため、多くの費用と時間が必要です。リソースが潤沢に用意できなければ、フルスクラッチ型は選択できません。

年商目安50億円以上
構築費用1,000万円~

ECサイト運営のランニングコスト相場

ECサイトは構築方法ごとにランニングコストも異なります。

構築方法毎月の運用費用
ASP型無料~10万円
オープンソース型数千円~10万円
パッケージ型30万~100万円
フルスクラッチ型無料~50万円

ASP型は初期費用自体は無料のものであっても、月額料金が発生する場合があります。ASP型以外の構築方法では、保守点検などにコストがかかるため、上記のような運用費用が必要です。

また、その他にも以下のような費用が必要です。

  • サーバー費用
  • 独自ドメイン/SSLの維持費用
  • 決済代行会社の契約料 など

構築費用やランニングコストを把握し、自社に適した方法でECサイトを構築しましょう。

ECサイトの構築で申請できる補助金一覧

ECサイトの構築費用やランニングコストが高いと感じた場合は、補助金を活用してみましょう。

補助金は、一定の条件を満たしている場合に、国や自治体から支給されるものです。条件を満たしていれば申請が可能なため、使える補助金がないか調べてみましょう。

例えば、ECサイトに関連する補助金として、以下のようなものがあります。

IT導入補助金中小企業・小規模事業者が、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助
小規模事業者持続化補助金小規模事業者等が販路開拓等に取り組む費用の一部を補助
事業再構築補助金コロナ禍の影響で売上が減少した中小企業を対象とし、事業再構築に意欲を有する中小企業等を支援

これらの補助金が活用できれば、数万~数百万円の補助が受けられます。それぞれ対象となる企業や条件が異なるため、概要をしっかりと読んで理解してから申請しましょう。

補助金・給付金等に関する詳細はこちらの記事でご案内しております。飲食店が使える給付金 2023年版|補助金や助成金との違いや事例も紹介」併せてご確認ください。

ECサイトの運営に必須のスキル

ECサイトの運営に必要なスキルは以下の通りです。

  • マーケティングスキル
  • 商品企画スキル
  • クリエイティブスキル
  • カスタマーサポートスキル

ECサイトを運用するための人員を揃えたり、知識がないことに関して勉強したりする場合、上記に関する内容を重視しましょう。

これらが揃っていることで、魅力的な商品の企画・適切なプロモーション・買いたくなる商品ページ・満足度を高めるサポートができるようになります。

では、それぞれのスキルごとに詳しく解説していきます。

Webマーケティングスキル

前述したように、ECサイトの知名度を上げ、訪れてもらうにはWebマーケティングが欠かせません。

Webマーケティングスキルとして、以下のような知識が必要です。

  • SEO
  • 広告運用
  • SNSマーケティング

では、これらが何に必要な知識なのかについて解説していきます。

SEO

SEO(Search Engine Optimization)とは、日本語では「検索エンジン最適化」といい、Google などの検索エンジンで検索された際に、上位に表示されるようにする施策です。

ECサイトとは別にブログやコラムなどのメディアを立ち上げ、自社の商品に関連する記事を制作し、その中でECサイトへと誘導する手法が一般的です。

例えば、ミールキットを扱っている場合、料理の悩みや疑問を解決できるオウンドメディアを立ち上げ、その記事の中で自社の商品を紹介します。

「時短料理」というキーワードで記事でアイデアやレシピを掲載したのち、自社のミールキットを紹介すれば「ご飯を作るのが楽になりそう」とECサイトを訪れてくれるユーザーもいるでしょう。

上記はあくまでも例ですが、自社の商品が悩みの解決になることを記事内で自然とアピールできれば、自社のECサイトへと誘導できるということです。

ただし、オウンドメディアを運用しても、検索結果で上位表示されなければ記事自体を見てくれる人が増えないため、SEOが必要になります。

SEOをおこなううえでもっとも大切なのが、「そのキーワードで検索したユーザーが何を求めているのか」を把握したうえで記事を執筆し、そのニーズを満たすことです。Google はユーザーにとって有益なサイトであるかを重視する傾向があるため、自社の商品ばかりを主張する記事では、上位表示は難しくなるでしょう

あくまでもユーザーの悩みを解決できる内容であることが大切です。

また、SEOは記事の内容だけでなくサイトの構造なども影響するため、分析力や執筆力以外にもサイト構造に関する知識も必要となります。

広告運用

広告運用とは、Web広告をリアルタイムで管理し、運用することです。

代表的なWeb広告には以下のようなものがあります。

  • リスティング広告
  • ショッピング広告
  • ディスプレイ広告
  • SNS広告
  • 動画広告

例えば、リスティング広告はGoogle などで検索した際に、そのキーワードに関連する広告が検索結果よりも上に表示されます。また、ショッピング広告は検索されたキーワードに応じて、自社の商品を検索結果やショッピングタブに表示する広告です。

これらはそのキーワードに強い興味を持つユーザーに対して表示されるため、費用対効果が高いという特徴があります。

他にも、ディスプレイ広告はWebサイトやアプリ上の広告枠に動画や画像を用いた広告を表示させ、SNS広告はSNSのタイムラインなどに一般的な投稿と共に広告を挟みこみます。

Web広告の種類によって、どのようなターゲットに効果的かは異なるため、広告についての知識を身に付けてから取り組みましょう。

SNSマーケティング

SNSでアカウントを運用したり、インフルエンサーにPRしてもらったりすることで、ECサイトの認知度を高める「SNSマーケティング」という方法もあります。

自社のイメージやターゲットに適したSNSプラットフォームを選定し、魅力的な情報を発信することで、自社のファンを増やしていきます

SNSで情報が拡散されれば、多くの人にサイトを認知してもらうことができ、さらに自社のタグなどを付けた投稿は口コミにもなります。

最近では、SNSで口コミを確認する人も多いため、自社に関する投稿を増やすことも重要です。

ファッションを扱うECサイトを例に挙げると、Instagram広告で認知を広め、さらにそのサイトで購入した人がInstagramにタグ付きでコーディネートを投稿すると、次回使えるクーポン券をプレゼントするといった取り組みをおこなっているところもあります。

もちろん定期的な新作や季節のおすすめ商品なども紹介しており、掲載されている写真もそのブランドのイメージを高めるおしゃれなものです。

また、X(旧Twitter)では「いいね!&リポストをするとプレゼントが抽選であたる」といったキャンペーンも頻繁に行われています。

これは、リポストされた投稿がフォロワーに表示されるというXの特徴を利用したもので、通常の投稿よりも拡散性を高められるため、効果的にフォロワーと認知を獲得できます。

ひとことでSNS運用といっても、このようにさまざまな手法があります。自社に適したSNSはどれか、画像や動画は自社のイメージ通りか、興味を惹かれる投稿かといったことが重要になるため、戦略なしにSNSアカウントで投稿をおこなうだけでは意味がないことを理解しておきましょう。

商品企画スキル

ECサイトの大前提として、魅力的な商品がなければ、いくらECサイトが認知されても意味がありません。そのため、商品の企画力は非常に大切です。

ターゲットとなるユーザーはどのような悩みを抱えているのか、どのような商品があると便利だと感じるのかといったことを把握する能力や、予算を管理しながら商品企画をおこなうスキルが必要になります。

先を見据える力と、発想力も重要となるスキルであるため、非常に重要なポイントと言えるでしょう。

クリエイティブスキル

クリエイティブスキルとは、商品写真・ECサイトのデザイン・サイトの使いやすさなどを向上させるスキルです。

ECサイトはおしゃれだったりきれいなだけでは足りず、欲しい商品をいかに見つけやすく設計されているかが重要なポイントとなります。

そのためには、商品を検索できるか・明確にカテゴリー分けされているか・トップページにすぐに戻れるようになっているかといったことに気を付ける必要があります。

また、商品ページに掲載されている商品写真はどのような商品かを十分に理解できるかが、購買に大きく影響します。

ユーザーが買い物をしやすいサイトになっており、購入したくなるような商品ページになっているか、といったユーザー目線でのサイト作りが重要です。

カスタマーサポートスキル

カスタマーサポートスキルは、ECサイトを利用する顧客の問い合わせやクレームに対応するスキルです。迅速かつ柔軟に対応できることが求められます

サポートの対応はECサイトの満足度にも直結するため、顧客視点に立った対応ができるようにしなければなりません。

前述したように、問い合わせやクレームを想定した対応マニュアルを整備しておくと、対応する人によってサポートの品質にバラつきが出にくくなります。

ECサイトを成功させる4つの秘訣

ECサイトの業務や必要なスキルについて解説してきましたが、最後に成功させるための秘訣について解説します。

  • ターゲットとサイトの方向性を明確にする
  • KGI・KPIを適切に設定する
  • 顧客情報をもとにしたメール・LINE配信
  • 自社ならではのこだわりが伝わる工夫をする

では、詳しく見ていきましょう。

ターゲットとサイトの方向性を明確にする

商品企画をおこなう際に、誰がどのようなときに購入する商品を揃えたECサイトにするのかを明確にしましょう。つまり、ターゲットとコンセプトを決めておくということです。

「どのような年代の人にも、男女関係なく利用できるECサイト」を目指そうとすると、一見商品を購入する人の幅が広く、売上も高くなりそうな印象があるかもしれません。

しかし、実際にはターゲットの幅が広いことで、どの年代にもいまいち刺さらないプロモーション・ECサイトデザイン・品揃えになってしまう可能性があります。

そのため、ターゲットを明確にしてサイトの方向性を決める必要があるのです。

例えば、高級路線のレストランが、お店の味を楽しめるミールキットを販売するとします。お店に来店するような富裕層の中高年を対象にしたものの、そのような層はミールキットを購入せず、お店で料理を楽しむことを選ぶかもしれません。

しかし、事前に市場調査をおこなったところ、金銭的にお店に来店するのが難しい30代の主婦層にニーズがありそうなことがわかったとします。ミールキットとしては高めなものの、自宅での記念日のお祝いやパーティーなど、特別な日なら購入してもらえそうなことも把握できました。

この例の場合、「記念日」や「パーティー」に関連するオウンドメディアを運用したり、「特別な日に食べたい料理」を前面に出した広告を出稿したりできるでしょう。また、サイトデザインもそれに合わせて設計できます。

また、自宅用・贈答用・日常使いといったように、ターゲットが購入した商品をどうするかまで想像し、商品企画・サイト設計・プロモーションをおこないましょう。

KGI・KPIを適切に設定する

ECサイトの運営をおこなうにあたり、マーケティングを実施するのであれば、必ずKGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。

これらを考えずにマーケティングを進めても、何に問題があるのか、どこを改善すべきかが見えてこず、ECサイトをより良くするための適切な施策を講じることができません

KGIとは、いわば事業の「ゴール」であり、ECサイトでは「売上」が当てはまります。

また、KPIはKGIを達成するための要素です。ECサイトの場合は、「アクセス数」「購入率」「平均客単価」が当てはまります。

以下のように、KPIツリーを作成することで、KPIを適切に管理しやすくなり、それぞれのKPIを達成するには何をすべきかも把握しやすくなるため、必ずKPIツリーで可視化しましょう。

例えば、アクセス数は「広告流入」「自然検索流入」「SNS流入」に分解できます。それぞれの流入を増やす場合、どのような施策を実行するのかをその下層に追加していきます。

KGI・KPIは「〇月までに〇〇を〇%アップ」といったように測定可能な数値と期限を設定します。そうすることで、期限内に目標が達成できなかったKPIを優先して改善することができ、「どこに問題があるのか」が明確にわかるようになります。

顧客情報をもとにしたメール・LINE配信

ECサイトを成功させるには、新規顧客の獲得ばかりに目を向けるのではなく、リピーターを増やす、定期購入なら長く継続してもらうことも大切です。

そのために有効な施策として、メルマガやLINEの配信があります。それらを活用し、定期的に顧客に情報を発信することで、自社のECサイトの存在を思い出してもらえたり、新商品やキャンペーン情報などからリピートに繋げられたりします。

メールやLINEでは、以下のような配信を行います。

  • 初回購入後のステップメール
  • クーポン配布
  • 新商品のお知らせ
  • キャンペーンのお知らせ
  • 買い物傾向に合わせたおすすめ商品の紹介

これらはあくまでも一例ですが、主にこのような顧客の興味を引く内容を配信しましょう。

しばらく購入がない、いわゆる「休眠顧客」には、割引率の高いクーポンを配布することで、復活してもらえる可能性もあります。メールやLINEをうまく活用して、リピーターやファンを増やしましょう。

自社ならではのこだわりが伝わる工夫をする

プロモーションやECサイトでは、自社ならではのこだわりが伝わる工夫をしましょう。

例えば、

  • バイヤーが自ら厳選して買い付けしていることを紹介
  • どのようなコンセプトにこだわりを持ってデザインしているかを紹介
  • 自社の商品を使うことで、ユーザーにどうなってもらいたいと考えているかを紹介
  • お店の味を自宅で再現できる調理法や盛り付け例を紹介、もしくは商品に同梱

など、自社ならではのこだわりを知ってもらうことで、より商品を魅力的にみせたり、ECサイトのファンになってもらえる可能性があります。

こだわりを持つことで、競合との差別化にも繋がります。ぜひ、自社のECサイトならではのポイントをアピールしてみましょう。

まとめ|自社に適したECサイトを構築し、改善しながら売上を向上させよう

本記事では、ECサイトの運営について解説してきました。最後にまとめをご紹介します。

■ECサイトの業務内容と流れ

■ECサイトの構築にかかる費用

構築方法構築費用年商目安
ASP型無料~10万円1億円未満
オープンソース型無料~30万円1億円前後
パッケージ型300万円~1億円以上
フルスクラッチ型1,000万円~50億円以上

■ECサイト運営のランニングコスト

構築方法毎月の運用費用
ASP型無料~10万円
オープンソース型数千円~10万円
パッケージ型30万~100万円
フルスクラッチ型無料~50万円

■ECサイト運営に必要なスキル

  • マーケティングスキル
  • 商品企画スキル
  • クリエイティブスキル
  • カスタマーサポートスキル

■ECサイトを成功させる秘訣

  • ターゲットとサイトの方向性を明確にする
  • KGI・KPIを適切に設定する
  • 顧客情報をもとにしたメール・LINE配信
  • 自社ならではのこだわりが伝わる工夫をする

ECサイトの方向性を明確にし、適切にプロモーションをおこないながら運営を成功させましょう。