各業界でさまざまなデジタル化が進む中、QRコードを設置してスマートフォンで注文できる店舗が増えています。

QRコードでの注文は、顧客の利便性向上や注文や会計業務が効率化できるなどさまざまなメリットがありますが、「なんかめんどくさい…」「やり方がよくわからない。もうここには来ない!」と来店動機の低下に繋がる可能性もあります。

店舗、顧客の満足度を向上するためにQRコードを設置したのに不満に繋がってしまっては本末転倒です。

今回は、QRコードでの注文に抵抗感のある人やそもそもできない人に対して、どのように対応していけばよいかを解説します。具体的な対策だけでなく、社会全体がQRコードに対してどのように感じているのか、またQRコードのメリットやデメリットなども併せて解説しますのでぜひご参考ください。

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QRコードの導入に対する社会の反応

まずは社会にQRコードがどの程度普及しているのか、そしてどのように思われているのかを確認していきましょう。

リクルートの統計によると、QRコードなどのセルフオーダーを利用したことがある人は全体の26%に留まり、7割以上の人が利用したことがないと回答しています。しかし、今後セルフオーダーを利用したいという人は約4割と半数に近づいており、セルフオーダーシステムへのニーズは高まっていることがわかります。

▼外食店でセルフオーダーを利用した経験の有無

▼今後、外食店でセルフオーダーを利用したいと思うか

(引用:「テーブルトップオーダー・セルフオーダーの利用実態・意向調査(2021年12月実施)」ホットペッパーグルメ外食総研より)

さらに回答の詳細を見てみると実は年齢層によって傾向が異なります。セルフオーダーを経験したことのある年代は、20代男女が4割〜5割弱に対して50〜60代男女は約1〜2割弱程度しかいません。今後利用したいという層も20代男女が6割〜7割近くいるのに対して60代は約2割に留まります。

・セルフオーダーを利用したことがある人は3割弱

・20代を中心に若年層はニーズが高い反面50代以上は抵抗感を持つ人が多い

今後は、QRコードなどのセルフオーダーを導入する場合は、高齢者層など抵抗感を抱える人たちに対してどれだけ丁寧な対応ができるかが重要になってきます。

セルフオーダーとテーブルオーダーの違い

さて、QRコードの代名詞でもあるセルフオーダーですが、似た用語としてテーブルオーダーと混同されがちです。これらは一体何が違うのでしょうか?

実は正式な定義があるわけではありません。さまざまなサービスやメディアによって表現方法は異なります。ここではそれらを独自でまとめた見解をお伝えします。

スマートフォンかタブレットなど専用端末のタブレットか

セルフオーダーとは、一般的には顧客が自らオーダーする仕組み・システムの総称を指します。モバイルオーダーと呼ばれることもあります。

セルフオーダーは、QR・アプリ型とタブレット型があります。QR・アプリ型は顧客自身のスマートフォンからQRコードを読み取ったり店舗のアプリなどから注文するシステムを指します。テーブル型は、卓上に設置されたタブレットや専用の端末から注文する仕組みです。これがまさにテーブルオーダーです。

モバイル型は顧客が使い慣れているスマートフォンから気軽に注文できますが画面が大きくありません。一方でテーブル型は画面が大きく、写真を大きく綺麗に映し出すことができたり、メニューの説明も豊富に掲載可能です。ただ、サービスや店舗によって操作方法が異なり、初めて使う顧客が戸惑う可能性もあります。

導入費用もそれぞれで大きく異なります。店舗にとってどちらのサービスが合っているのか、目的や予算、メリットやデメリットを考慮しながら判断するようにしましょう。

セルフオーダーやモバイルオーダーについてより詳しく知りたい方は「セルフオーダーシステムとは|飲食店で導入するメリットや効果【成功事例あり】」「モバイルオーダーのメリットと始め方を徹底解説|成功事例やおすすめシステムも紹介」をご覧ください。

QRコードのメリット6選

次に、QRコードの導入にはどのようなメリットがあるのかをまとめます。主にメリットとして考えられるのは、以下の6つです。

  • 注文・会計業務を効率化できる
  • 顧客満足度の向上に繋がる
  • インバウンド対策として有効
  • 初期費用が安い
  • 非接触による衛生面向上
  • 売上をデータ管理できる

それぞれ解説します。

注文・会計業務を効率化できる

顧客がQRコードで注文する場合、店舗側は席まで伺って注文を受ける必要がありません。会計の金額も自動で集計されるため、入力の手間を省くことができます。

クレジットカードや電子マネーなどキャッシュレス決済と連動できるシステムもあります。その場合はレジでの会計対応も大幅に効率化され、業務負担が軽減でき、人件費の削減に繋がります。また、現金を多く管理する必要がなくなるため、違算金の発生リスクを抑えられたり、防犯効果も高まります。

顧客満足度の向上に繋がる

QRコードの活用は店舗側だけでなく、顧客にとっても注文や会計が簡単に済ませられるようになるため、利便性がよくなります。

実は顧客にとって注文はストレスをもたらすシーンのひとつでもあります。

トレタがデジタル化について取ったアンケートで、「飲食店で何が面倒か?」という質問では「店員を呼んでの注文」という回答が5割を超える結果が出ました。

また、「望ましい注文方法は?」という回答は全ての項目で「デジタルメニュー」が5割を超え、特に「混雑しているお店」の場合は7割以上もの人が望ましいと回答しています。

(それぞれ引用:「お客さまは飲食店のデジタル化に賛成? それとも反対? 調査結果を紹介」トレタより)

以上の結果からもわかる通り、QRコードでの注文は顧客のストレスを軽減するために有効な方法のひとつなのです。

インバウンド対策として有効

訪日外国人が日本人同様のサービスを受けるための環境を整えていくことを「インバウンド対策」といいます。

コロナ禍を経て訪日外国人の数は急増しており、今後の集客対策の一環としてインバウンド対策にも注目が集まっています。

訪日外国人が日本に来て特に困ることとして挙げられるのは以下の3点です。

  1. 言葉が通じない
  2. インターネット環境が整っていない(Wi-Fi)
  3. 可能な決済手段に対応していない

まずはこれらを解決していくことが重要です。QRコードはこの3点をクリアするひとつの対策でもあり、訪日外国人の集客を目指したい人にとっては有効です。

より詳しくインバウンド対策について知りたい方は「インバウンド対策|効果的な対策と売上UPに繋げる施策を紹介」をご参考ください。

初期費用が安い

QRコード型は、導入に必要なアイテムが少なく済むため、初期費用を安く抑えることができます。

例えば、タブレット型は専用の端末を購入しなければなりませんが、QRコードであれば注文用の端末が不要です。当然、システムの導入やデジタルメニューの登録・設定は必要ですが、それが済めばQRコードを掲載したポップなどを卓上に準備するだけで開始できます。

初期費用を無料としているところも多く、コスト面から見ても導入しやすいサービスと言えるでしょう。

非接触による衛生面向上

注文をQRコードで受付することで、店舗側と顧客側は接触の機会が激減します。同時に会計もキャッシュレスになれば、さらに接触機会を減らすことができ、ウイルス感染の防止にも繋がります。

コロナ禍を経てウイルスの感染に敏感になった人が増えたため、このような衛生面の向上は店舗のイメージアップにも繋がります。

売上をデータ管理できる

QRコードによる注文データは、そのまま蓄積されていくため現金管理と比べても集計業務の負担が軽くなります。また、決済システムや予約管理システムなどと紐づけることで、ポイントの還元やキャンペーン内容の考案などマーケティングにも活用できます。

QRコードのデメリット3選

QRコードにはいい面もあれば、悪い面もあります。導入を検討するために、デメリットについて知っておくことも大切なことです。

QRコードのデメリットは、以下の3つです。

  • QRコードが使えない顧客への対応を考えなければならない
  • 月額費用や決済手数料が発生する
  • システム障害のトラブルリスク

それぞれ解説します。

QRコードが使えない顧客への対応を考えなければならない

前章でもお伝えした通り、QRコードの注文に抵抗感のある人や現金しか持ち歩かない人もいます。そうした人たちへの対応をどうするか、予め考えておかなければなりません。

QRコードが使えない場合、現金での対応が必要となりますので現金をある程度準備しておきましょう。

また「QRコードは使えるけど苦手・わからない」という顧客に対しては、使い方がわかるような環境を整えておく必要があります。具体的には次章の「QRコードをめんどくさいと思う人への対策」で解説します。

月額費用や決済手数料が発生する

QRコードのサービスを導入する場合、端末費用は発生しませんが月額費用や決済手数料など運営していくための料金が発生します。それらの料金はパッと見ると安く見えるかもしれませんが、毎月毎度発生してくる料金なので、長期的な観点で計算をすることが大切です。

中には全て無料で提供しているサービスもありますが、使いやすさや目的に沿った機能がついているかなども確認した方がよいでしょう。

各サービスが提供している無料トライアルなども活用しながら、店舗にとって最適なサービスを選ぶようにしましょう。

システム障害のトラブルリスク

システムを導入している以上、システムトラブルが発生するリスクは背負わなければなりません。そのため、QRコードが使えなくなった場合の対策も考えておいた方がよいでしょう。さらにその対策を予めスタッフ間で共有しておくことで、安心してシステムを運用していけるはずです。

QRコードの注文をめんどくさいと思う人への3つの対策

QRコードの導入で大切なのが、苦手な人やめんどくさいと思う人に対してどのようにケアしていくか、という対策です。

そもそもQRコードの注文をめんどくさいと思う人は、なぜ抵抗感を持っているのでしょうか?株式会社New Innovationsが取った「モバイルオーダーに関するアンケート」の中で、その改善点がいくつか挙げられています。

(引用「モバイルオーダーに関するアンケート」PR TIMES 株式会社New Innovationsプレスリリースより)

中でも注目したいポイントは下記の点です。

  • 会員情報など事前の設定を簡略化してほしい
  • わからないことをすぐ解消できるようにしてほしい
  • 操作を簡単にしてほしい

これらを導入の際にクリアしていくことで、QRコードに抵抗感を持っている人にも使いやすいサービスとして提供していけるようになります。

以上のポイントを踏まえて、ここでお伝えする具体的な対策方法は下記の3つです。

  • 説明書きを卓上に置く
  • 一緒に操作しながら説明する
  • 直接オーダーを取る

それぞれ解説します。

QRコードの説明書を卓上に置く

顧客がQRコードでの注文をスムーズに行えるよう、説明書やポップを卓上に設置しましょう。QRコードがめんどくさいと感じる人にとって、QRコードでの注文とわかった時点でストレスを感じてしまっているかもしれません。

説明書は画像付きにするなど視覚的にわかりやすく記載するとよいでしょう。QRコードの注文は簡単で、便利であることを理解してもらえば次回以降もまた利用してもらえる可能性が高まります。

顧客と一緒に操作する

卓上に説明書などを用意したとしても、それも「めんどくさい」と嫌がられてしまうこともあるかもしれません。その場合は、顧客と一緒に操作しながらQRコードの注文を行ってもらいましょう。

「うーん、マンパワーがかかる…」

そう思われる方がいるかもしれませんがQRコードを導入すれば注文や会計の業務量が削減できるため、浮いた労力や時間をおもてなしに回すことができます。

お客様と一緒にQRコードの操作を確認することで安心感を与えることができ、満足度の向上にも繋がります。

直接オーダーを取る

スマートフォンにQRコードを読み取る機能やアプリが入っていない方や、そもそもスマートフォンではなくガラケーを使用している方も少なからずいます。

そういう場合は、直接オーダーを取るようにしましょう。直接オーダーを取るにあたっては、手書きの注文票の準備と、会計はどのように対応するかを考えておく必要があります。現金の用意も必要になってくるため、管理方法も予め現場スタッフと共有しておきましょう。

セルフオーダー以外に最適な注文方法とは

ここまでQRコードの導入についてさまざまな解説をしてきました。しかし、そもそもQRコードの注文システムが店舗にとって最適な注文方法なのでしょうか?

最適な方法を選択するためには、他の注文方法と比較することも大切です。そこで、最後にQRコード以外に考えられる一般的な注文方法を3つ紹介します。

  • テーブル型オーダー(タブレット)
  • ハンディシステム
  • 手書きの注文票でオーダー受付

それぞれ解説します。

テーブル型オーダー(タブレット)

既に説明しましたが、卓上にある端末で注文するシステムがセルフオーダーのテーブル型です。セルフオーダーのサービスシステムを提供している会社の多くは、テーブル型とQRコード型の両方を用意しています。

どちらがよいか悩む場合は、サービスを提供している会社に問い合わせて聞いてみるとよいでしょう。

ハンディPOSシステム

ハンディPOSシステムは、手で持つことができるハンディターミナルという電子端末を使用して注文を取ります。注文データを厨房と瞬時に共有できるだけでなく、在庫や売上データの管理にも役立ちます。

一般的にPOSレジと一緒に利用するものが多く、総合的な設備が整っているターミナル型のPOSシステムは数万円〜100万程度と高額になります。しかし、最近ではクラウド型のPOSシステムも登場しており、端末費用で10〜15万円程度+月額料金3,000〜1万程度で利用できます。

手書きの注文票でオーダー受付

顧客から直接オーダーを手書きでメモする方法は、昔から飲食店などで親しまれている手法のひとつです。顧客と直接対面で会話できるため、お互いの距離感を詰めながら接客することができます。

ただ、何度も席と厨房を行き来する労力や時間、会計時にレジへ手入力しなければならないなど業務効率は良くありません。

予算的な問題や接客の温かみを大切にしたいという個人店や小規模店舗にとっては、有効な手段といえるでしょう。

まとめ

今回は、QRコードの注文に抵抗感のある人に対してどのような対策を行っていけばよいのかについて解説しました。最後にポイントをまとめます。

第1章 QRコードの導入に対する社会の反応

  • セルフオーダーの経験者は3割弱と少ないが利用に前向きな人は約5割いる
  • 20代〜30代は抵抗感が少なく、50代以上のケアが重要

第2章 セルフオーダーとテーブルオーダーの違い

  • セルフオーダーは顧客がデジタルツールで注文する仕組みの総称
  • セルフオーダーにはQRコード型とタブレット型がある
  • 導入目的や予算によってどちらがよいかを判断すること

第3章 QRコードのメリット6選

  1. 注文・会計業務を効率化できる
  2. 顧客満足度の向上に繋がる
  3. インバウンド対策として有効
  4. 初期費用が安い
  5. 非接触による衛生面向上
  6. 売上をデータ管理できる

第4章 QRコードのデメリット3選

  1. QRコードが使えない顧客への対応を考えなければならない
  2. 月額費用や決済手数料が発生する
  3. システム障害のトラブルリスク

第5章 QRコードの注文をめんどくさいと思う人への3つの対策

  1. 説明書きを卓上に置く
  2. 一緒に操作しながら説明する
  3. 直接オーダーを取る

第6章 セルフオーダー以外に最適な注文方法とは

  • テーブル型オーダー(タブレット)
  • ハンディシステム
  • 手書きのオーダー受付

QRコードはスマートフォンをかざすだけで使える便利なツールです。めんどくさいと思う人も、伝え方次第でその便利性を理解してもらえば前向きに使ってくれるようになるはずです。

また、どうしても使いたくない人に対しては丁寧にケアしていくことが大切です。QRコードはあくまで注文や会計業務を効率化するためのひとつの手法です。顧客のニーズにしっかり応えていくという基本的なことを忘れないようにしましょう。