飲食店において、看板メニューは集客や売上に直結する非常に重要なアイテムです。
飲食店のなかには、料理の枠を超えて、お店の存在そのものを表しているケースも多々あります。
とはいえ、看板メニューはそう簡単に作れるものではありません。
集客や売上向上への効果を期待するなら、明確な戦略に基づき、お店にあったメニューを考える必要があります。
本記事では、看板メニューがもたらす効果や必要性、成功するためのポイントを具体的に解説します。
また、繁盛店の看板メニューに共通する特徴も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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飲食店における看板メニューの効果
飲食店にとって、看板メニューは他店との差別化に不可欠な要素です。
優れた看板メニューは、料理を超えたお店の象徴として、顧客に特別な印象を与えます。
看板メニューの主な効果は下記の4つです。
- 印象に残りやすくなる
- 自信のある料理の注文率が上がる
- 口コミにつながりやすくなる
- SNSで拡散される可能性が高まる
それぞれ具体的に解説していきます。
印象に残りやすくなる
看板メニューが顧客の心に残る理由の多くは、料理の独自性や特別な味わいによるものです。
例えば、特製のスパイスを使ったカレーや、地元の新鮮な食材を活かした季節限定メニューなど、他店では味わえない独特の料理は、顧客に強い印象を残します。
その結果、お店自体の記憶と共に、そのメニューを求めて再訪する顧客が増える可能性が高まります。
自信のある料理の注文率が上がる
顧客のなかには、「店のイチオシが食べたい」「とりあえず、おすすめにしよう」と考え、看板メニューを注文する方が多数います。
そして、多くの飲食店にとって、看板メニューは、「自信のある料理」のはずです。
自信のある料理は通常、他の料理に比べて品質や完成度が高いため、注文が増えるに従い、お店の評判が上がる可能性があります。
口コミにつながりやすくなる
看板メニューが顧客の期待を上回れば、口コミにつながりやすくなります。
口コミで看板メニューが世間に知れ渡れば、看板メニュー目的の顧客ばかりになることも。
そのような状況になると、お店側は看板メニューに絞った仕込みや調理が可能になるため、効率的な店舗運営がおこなえます。
ただし、良い口コミを期待するなら、料理だけでなくサービスや雰囲気など、店の滞在時間内すべてに一定の満足感を味わってもらう必要があります。
SNSで拡散される可能性が高まる
SNSの普及により、食事の様子を写真や動画で投稿する文化が根付いてきました。
特に話題性のある看板メニューは、InstagramやX(旧Twitter)、TikTokなどのプラットフォームでシェアされやすく、大きな宣伝効果を発揮します。
SNSで拡散されるためには、顧客に想像を超えるインパクトを与えることが重要です。
見た目、味、食材、価格など、大袈裟なほど大胆なメニューがSNSで拡散されやすい傾向があります。
しかし、SNSで拡散され「バズる」と、他店に真似されて独自性が薄れてしまうケースも多いため、注意が必要です。
飲食店のSNS運用に関しての詳細は「飲食店のSNS運用|始め方や成功のコツ、メリットを徹底解説」を併せてご覧ください。
看板メニューの必要性
前章で記述したとおり、看板メニューは、飲食店にとって欠かせない多くのメリットをもたらします。
この章では、看板メニューがなぜ必要なのかについて詳しく解説します。
新規顧客やリピーターの獲得につながる
看板メニューは、新規顧客の好奇心を刺激し、お店を訪れるきっかけを作ります。
また、料理の味わいや体験の満足度が高ければ、顧客は再びその味を求めるため、リピーター獲得に有効です。
一例を挙げると、特定の地域でしか味わえないローカルフードを看板メニューとして提供することで、観光客や地元の人々から注目を集め、繁盛店へと繋がるケースがあります。
このように、看板メニューをうまく利用すれば、顧客の足をお店に向かわせる強力なツールとなるでしょう。
お店のイメージアップとなり好印象を与えてくれる
看板メニューはお店の顔とも言える存在であり、お店全体のイメージを左右する重要な役割を担っています。
品質やオリジナリティが高いメニューは、お店の評判を向上させ、顧客に好印象を与えます。
例えば、環境に配慮したオーガニック素材のみを使用した料理や、伝統的な手法にこだわった料理などは、お店の姿勢やこだわりを顧客に伝え、信頼と評価を得るための効果的な手段です。
また、お店のイメージアップは、口コミやSNSを通じてさらに拡散され、ブランド価値を高める効果も期待できます。
看板メニューで重要な8つのポイント
看板メニューの開発は長期的な成功に直結するため、慎重な計画と戦略的な考えが求められます。
看板メニューを成功へ導くための重要ポイントは下記の8つです。
- 流行を取り入れる
- 王道を追求する
- ストーリー性を考える
- 他店と差別化を図る
- ネーミングは慎重に決める
- 見た目を重視する
- 価格で顧客の興味を引く
- 演出にこだわる
それぞれ個別に解説していきます。
流行を取り入れる
新しい食のトレンドに興味を持つ顧客は一定数います。
したがって、看板メニューに流行を取り入れることは、新規顧客獲得の手段として有効です。
最近ではヘルシーで持続可能な食材への関心が高まっており、一部の店舗では、ビーガン料理やオーガニック食材を使用したメニューが人気を集めています。
看板メニューに流行を取り入れることで、お店をトレンドに敏感な顧客層にアピールし、新しい顧客を引きつけることが可能です。
王道を追求する
一方で、時代を超えて愛される伝統的な料理もまた、看板メニューとして高い価値があります。
ある地域特有の伝統料理を丁寧に再現し、その土地ならではの味を提供することで、地元の住人はもちろん、観光客からも支持されるケースは少なくありません。
王道料理の確かな味わいと真心のこもったサービスは、顧客に安心感を与え、再来店を促します。
ストーリー性を考える
料理にストーリーを加えることで、単なる食事を特別な体験へと変化させることが可能です。
使用している食材の産地や、料理が生まれた背景など、料理にまつわる話は顧客の興味を引き、感情的なつながりを生み出します。
料理のストーリーは、メニューの説明や店内のディスプレイ、SNSなどを通じて伝えると効果的です。
他店と差別化を図る
看板メニューは他店との差別化を図る重要な手段です。
競合店とは異なる独自の料理やサービスを提供することで、お店だけの特別な価値を顧客に提供できます。
伝統的な料理に現代的な科学的要素を加えたり、地元では珍しい外国の料理を専門とするなど、他店にはない独特の魅力が看板メニューには求められます。
ネーミングは慎重に決める
メニューの名前はその料理の第一印象を決定づけ、顧客の興味を引くきっかけとなる重要な要素です。
印象的で覚えやすい名前は、口コミやSNSでの共有を促し、より多くの顧客をお店に引き寄せることができます。
名前に食材の生産者の名前や地域名、食材、調理法などを取り入れることで、インパクトがありながらも、料理の内容がわかるネーミングになります。
見た目を重視する
料理の見た目は、SNSが盛んな現代において非常に重要な要素です。
色鮮やかで芸術的な盛り付けは、写真を通じて瞬く間に拡散され、お店の知名度を高めてくれます。
また、見た目が美しい料理は顧客の期待感を高め、食事の満足度向上に貢献します。
価格で顧客の興味を引く
看板メニューを相場価格より安くしたり、逆に高くすることで、顧客の興味を引きやすくなります。
安くした場合は、利益率が減少するため、オプションでトッピングを用意するなど工夫を凝らし、原価率が上がりすぎないよう注意しましょう。
また、高くした場合は、食材や料理のボリューム、提供方法に特別な価値をもたせるなど、注文することで顧客がステータスを感じるような戦略を練る必要があります。
演出にこだわる
料理の提供方法や食べる際の演出も、看板メニューの魅力を高める重要な要素です。
目の前で調理するパフォーマンスや、特別な器を使った提供方法などは、料理を一層特別なものへと変え、顧客に強い印象を残します。
フランス料理などでは、透明の袋の中に料理を盛り付け、袋の内部に燻製の煙を注入し、顧客が袋を開けると煙とともに燻製の香りが広がるといった仕掛けが人気を博しています。
看板メニューを開発する際の注意点
看板メニューは飲食店の顔とも言え、その成功は店舗の運命を左右することもあります。
この章では、看板メニューを成功させるために特に注意すべき点を詳しく解説します。
コンセプトと合致するものにする
看板メニューは、お店全体のコンセプトや理念と一致している必要があります。
たとえば、地元の新鮮な食材を前面に出したレストランであれば、その地域性を反映したメニューを考えるべきです。
また、健康志向の強いカフェであれば、栄養バランスを考えた料理やオーガニック食材を使用したメニューが好ましいでしょう。
メニューが店のコンセプトから逸脱していると、顧客の混乱を招く可能性があるため注意が必要です。
マーケティングを意識した価格設定にする
看板メニューの価格設定は、慎重におこなう必要があります。
顧客層や地域の市場状況、競合との比較など、さまざまな要素を考慮して決定しましょう。
例えば、若年層をターゲットにしている場合、手頃な価格設定が効果的です。
一方で、高級レストランであれば、高価格でもその価値を感じさせるメニュー構成が求められます。
マーケティングについて詳しくは「繁盛する飲食店マーケティング大全|検討すべき5つの手法と成功事例」を併せてご覧ください。
お客様にわかりやすく訴求する
看板メニューは、メニューブックや店舗内のディスプレイ、オンラインでの紹介など、どの手法においてもわかりやすく訴求する必要があります。
料理の特徴や魅力、なぜそれが看板メニューなのかを明確に伝えるようにしましょう。
料理の見た目や味はもちろん、どのような食材を使用しているのか、どんな調理法によって作られているのかなど、顧客が興味を持つ情報を提供することで、注文につながる可能性が高まります。
看板メニューを開発する際には、これらの点に注意し、お店独自の個性を活かしたメニュー作りを目指しましょう。
顧客に愛されるメニューは、飲食店にとって大きな財産となり得ます。
繁盛店から学ぶ看板メニューの特徴
繁盛店の看板メニューには、成功の秘訣が詰まっています。
この章では、繁盛店の看板メニューが持つ、いくつかの共通の特徴を詳しく見ていきましょう。
見た目にインパクトがある
人々は目で食事をするとよく言われますが、これは非常に的を得た表現です。
繁盛店の看板メニューの多くは、見た目で顧客を惹きつけます。
色鮮やかな食材の組み合わせ、独創的な盛り付け、美しい器など、視覚的なインパクトが強いメニューは、顧客の記憶に残りやすく、SNSでの共有を促します。
シズル感が伝わってくる
料理の「シズル感」とは、目の前で料理がジュージューと音を立てることや、香りがたちこめる様子を指します。
シズル感は食欲を刺激し、食事の期待感を高める効果が見込めます。
石焼ビビンバや鉄板焼きなど、目の前で食材が香ばしく焼けていく様子は顧客の五感を刺激するはずです。
切り方や調理方法にこだわっている
繁盛店の料理には、切り方一つ取っても、他店との差別化が図られています。
例えば、野菜を細かく切り分けることで食感を変えたり、肉を特定の方法で焼くことで最高の味を引き出したりするなど、細部にまでこだわりが見られます。
これらの工夫が、料理の質を高め、顧客に感動と深い印象を与えます。
最適な食べ方を提案している
看板メニューをより楽しむための「最適な食べ方」を提案することも、繁盛店の特徴です。
料理に添えられた説明書きや卓上POP、スタッフからの直接の説明を通じて、料理の魅力を最大限に引き出す食べ方を顧客に伝えます。
これにより、最高の状態を保ったまま顧客に看板メニューを提供できます。
カスタマイズ性が高い
顧客が自分の好みに合わせて料理をカスタマイズできるオプションを提供することも、繁盛店の看板メニューに見られる特徴の一つです。
トッピングの追加や辛さの調整、アレルギー対応など、顧客のニーズに応じたカスタマイズが可能なメニューは、顧客満足度を高め、リピーター増加に効果を発揮します。
まとめ|魅力的な看板メニューで集客を成功させよう
本記事では飲食店の看板メニューについて詳しく解説してきました。改めて内容をまとめていきます。
飲食店における看板メニューの効果
- 印象に残りやすくなる
- 自信のある料理の注文率が上がる
- 口コミにつながりやすくなる
- SNSで拡散される可能性が高まる
看板メニューの必要性
- 新規顧客やリピーターの獲得につながる
- お店のイメージアップになる
看板メニューで重要な8つのポイント
- 流行を取り入れる
- 王道を追求する
- ストーリー性を考える
- 他店と差別化を図る
- ネーミングは慎重に決める
- 見た目を重視する
- 価格で顧客の興味を引く
- 演出にこだわる
看板メニューを開発する際の注意点
- コンセプトと合致するものにする
- マーケティングを意識した価格設定にする
- お客様にわかりやすく訴求する
繁盛店から学ぶ看板メニューの特徴
- 見た目にインパクトがある
- シズル感が伝わってくる
- 切り方や調理方法にこだわっている
- 最適な食べ方を提案している
- カスタマイズ性が高い
看板メニューの成功は、飲食店の集客力と売上に大きな影響を及ぼします。
魅力的な看板メニューを通じて顧客に独特の体験を提供し、記憶に残る店舗を目指しましょう。