新型コロナウイルスの影響で、未だ多くの飲食店は来客数の減少や売上低下に頭を悩ませています。
これらの経営問題を解決する方法として、マーケティングの考え方や手法を取り入れるお店が増えてきました。

実は普段行っているSNS等による情報発信や販売促進、ビラ配りなどはマーケティング活動の一環に該当するため、「マーケティングは必要ない」と考えている店でも、意図せず取り組んでいるケースもあります。

本記事では飲食店におけるマーケティングの必要性や実際にすべきこと、具体的な手法を解説します。

売上につながる集客を実現するために必要なこととは?

お店の売上に大きく影響する”集客”は、やみくもにおこなってもコストや時間だけがかかり、期待する効果を得ることが難しい場合があります。

集客で大切なことは「ターゲット顧客を明確にすること」です。

今回は飲食店のオーナー監修の元、売上につながる効果的な集客方法をまとめた資料を用意しました。集客がいまいちうまくいかない、もっと効果を発揮したい、という方はぜひ読んでみてください。

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なぜ飲食店にマーケティングが必要なのか

そもそも、なぜ飲食店にマーケティングが必要なのでしょうか。本章ではまずマーケティングの必要性から詳しく触れていきます。

マーケティングとは

マーケティングの定義は広義であることから一般的にはどのような意味で使われているのか改めておさらいをしていきたいと思います。

マーケティング(marketing)とは、企業活動における「売れる仕組みの構築」に関する活動の総称である。市場と顧客の需要を明確にし、それに基づき商品を作り、商品の存在を広く知らせつつ需要を喚起し、そして顧客の需要を満たし、最終的に自社の利益にも繋げる、といった一連の戦略的な企業活動の総体である。
引用:weblio辞書|マーケティング

つまり飲食店に置き換えて考えると、市場調査行った上での商品(料理・サービス)作成、集客、CRMを行い利益を出す仕組みづくりがマーケティングの定義といえます。

CRMとは

CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の略で「顧客関係管理」とも呼ばれ、顧客と親密になりリピーターやファンになってもらうための活動のことです。

ただし上記の定義は、新しい事業やプロジェクトを始めるときに用いることが多いため、既存の飲食店では集客や販促と組み合わせて店舗が繁盛する仕組みを作ることをCRMと呼ぶケースが多いでしょう。

また、最近ではCRMは単純に考え方のみを指すのではなく、CRMを一括で行えるデジタルツールのことも含め、まとめてCRMと呼ばれることも多くなっています。

CRMは具体的にはどのような活動になるのか?

それでは、上記のようなCRMを飲食店の活動に当てはめると、実際どのような行動が結びついているのかを表形式で見ていきましょう。

店舗での活動CRMに当てはめると
お客さまの情報をノートに保存する顧客情報の一元管理
お客さまとの会話で仲を深める顧客との良好な関係構築顧客の嗜好や傾向の把握
いつも来てくれるお客さまに特別に一品をサービスする顧客との良好な関係構築顧客満足度の向上
多く来店が見込める曜日や時間帯を調査する顧客情報の分析
顧客ニーズの把握
市場調査
新しいメニューやお得な情報を一斉配信する顧客の囲い込み
リピーターの獲得

上記のような具体例がCRMの活動といえます。デジタルツールを活用すれば顧客に関する情報を一元管理してマーケティング手法の構築を効率的に行うことができるため、余裕のある店舗はぜひ活用を検討してみるとよいでしょう。

CRMを覚え、効果的に使うことができれば、マーケティングが成功するきっかけにも十分なり得ます。CRMについて詳しく知りたい方は「飲食店の顧客管理(CRM)とは?システム導入のメリットまで解説」で解説しているため、併せてご覧ください。

料理の味やサービスだけで生き残るのは困難だからこそマーケティングは必須

ここまでマーケティングの基礎について見てきましたが、結論として、料理の味やサービスだけで生き残るのが飲食店は難しくなってきたため、マーケティングが必要だといえます。

新型コロナウイルスの影響もあり、美味しい料理や質のよいサービスを提供すれば「繁盛店」になるという法則は崩れつつあります。テイクアウトやフードデリバリーといった食事の方法やお店の選択肢が増えたためです。そこでマーケティングが必要になってくるわけです。

とはいえ売上をあげることだけに注力し、やみくもに新しいメニューを考えたり、クーポンを配布したりするなどは非効率ですし、マーケティングとは言えません。
重要なのは、お客様のニーズを理解したうえで、売れるための仕組みを検討することです。

そしてこうした考え方や取り組みこそがマーケティングと言えるのです。

飲食店がすべきマーケティングを具体的に解説

具体的にすべきことと言っても、特別なことを考えなければいけないわけではありません。
よりお客様を知ること、そしてそのうえでお客様が求めるものを提供すれば良いのです。

まずマーケティングを行うにあたって顧客層の把握が必要であるため、有名なマーケティングファネルに触れてから具体的な方法に入っていきます。

飲食店におけるユーザー層

飲食店にとってのユーザー層を分類してみましょう。マーケティングでは、自身のお店のことを知っているか、また知っている度合はどのくらいかなど、それぞれに最適な方法でアプローチすることが重要です。

狙いたいターゲットによって訴求方法が違い、効果も異なるため、手法を間違えないように注意しましょう。飲食店のマーケティングにおけるユーザー層は以下の4つに分けられます。

  • 非認知層:店舗の存在を知らない、あるいは関心が低い
  • 潜在層:店舗は知らないが同じジャンルの店舗や料理に対して関心が高い
  • 顕在層:店舗は知っていて興味はあるが、まだ利用したことはない
  • 顧客層:既に店舗を利用したことがある

それでは、なにを具体的に行えばお店の売上を伸ばせるのかを、以下のステップで考えていきます。

  1. お店の状態を知る
  2. お客様を知る
  3. 分析結果をもとに戦略を練る

ステップ1. お店の状態を知る

まずはお店の状態を改めて見直しましょう。
立地・客層・人気のメニュー・常連客の来店頻度など、いわゆるお店の特徴を分析します。

立地一つにおいても、「住宅街にある」だけでなく、「住宅街にあり、近くには小学校がある」といった、ある程度分かる範囲で周りの環境も見直してみるとヒントがあるかもしれません。

モデルケースとして、以下のお店を設定してみます。

業態立地客層人気メニュー常連客の来店頻度その他の特徴
カフェ(ランチのみ営業)郊外の住宅地30代〜50代の女性中心(主婦層)おばんざいプレート月に1〜2回程度徒歩圏内に世界遺産や大きな公園がある

ステップ2. お客様を知る

お店に来てくれるお客様はどのような人が多いのか?を知りましょう。
大まかな感覚だけではなく改めて数字などデータで確認することがおすすめです。

例えば、

  • 予約情報(日別・月別・時間帯別・曜日別・何日前に予約しているかなど)
  • 来店回数(常連が多いのか、新規のお客様が多いのか)
  • コース・料理の注文数(どのようなコースメニュー・料理が人気なのか、単価はいくらくらいか)

といった情報が分析できるといいでしょう。

予約情報来店回数コース・料理の注文数
・平日はほとんど予約が入らない・土日祝日は前日や当日に1〜3件ほど入ることが多い・常連客は平日に多い・土日祝日は観光目的のお客様とお子様連れのお客様が多い・1,500円のランチセットが人気で来客の約8割が注文する・残りの2割は3500円のコースとアラカルト(1,300円ほど)が半々ほど

マーケティングには顧客管理(CRM)は必須

こうした分析を行うにあたっては、日頃から「お客様のことをどれだけ見ているか」が重要になります。顧客管理は集客をするにあたっては必須の第一ステップなのです。

例えば、顧客管理(CRM)とは店舗と従業員、お客様との関係を一元化して把握することを指しますが、このCRM=Customer Relationship Managementのツールを使い、今よりもはるかに効率的に顧客管理ができるようにすることが可能になります。

CRMを使うメリットとしては「顧客管理が圧倒的にラクになる」「お客様の求めているものが分かる」「顧客満足度がアップする」の3つが挙げられます。さらに詳しく知りたい方は関連記事「飲食店の顧客管理(CRM)とは?システム導入のメリットまで解説」をご覧ください。

ステップ3. 分析結果をもとに戦略を練る

お店・お客様について分析できたら、実際の情報をもとに売上を伸ばすための戦略を考えます。

例えば、上記のモデルケースの場合、

  • 立地は郊外の住宅街
  • 近くに世界遺産や大きな公園がある
  • お客様の層は30代〜50代の女性、とくに主婦層が比較的目立つ
  • ただ、平日のお昼はほぼ主婦層、土日祝日は観光客やお子様連れがメインなど時間帯によって客層が異なる
  • 1,500円のランチセット(メインはおばんざいプレート)が注文の8割を占めている

といった特徴が見えた場合、

  • 平日のランチで来店する主婦層に、次回以降の割引クーポンの配布をする
  • 近くの観光施設にチラシを設置させてもらう
  • 近くの公園で食べられるような軽食テイクアウトを用意する
  • コース料理を注文してくれたお客様にオリジナルの近隣マップをプレゼントする

などが検討できるでしょう。

ここで重要なのは、すべてのお客様に対してなにかをしよう!というよりも、ある程度見立てができたら対象をしぼった施策を検討することです。
マーケティングは日々戦略を練って実行し、検証してまた実行の繰り返しです。地味に感じやすいものですが、少しずつ取り組んでいくことがお店の売上アップにつながります。

また今回紹介したやり方以外にもSTP分析や5P分析など、マーケティングに役立つフレームワークがいくつかあります。
より厚みのある戦略の立案や分析を行う場合は、これらのフレームワークを活用すると良いでしょう。

飲食店のデジタルマーケティング手法5選

ここでは飲食店がおこなう代表的なマーケティング手法を5つ紹介します。

  • ホームページ
  • MEO
  • SNS
  • 動画配信
  • グルメサイト

ホームページ

ホームページはお店の基本情報に加え、最新情報やイベント情報、ブロク記事など多くの情報を発信できる場です。
拡散性はあまり期待できませんが、SNSなどに比べてお客様からの信頼度は高いため、正しい情報はホームページから得ようと考える方も一定数います。

例えば、企業からの問い合わせや旅行ツアーでの利用など、大きな取引に関わるケースでは公式のホームーページからの連絡が一般的です。

またブログにSEOを施せばGoogleなどの検索エンジンで上位表示を狙うことも可能です。
SEOとはSearch Engine Optimizationの略で、日本語に訳すと「検索エンジン最適化」を意味し、検索エンジンで上位表示させるための施策を指します。

SEOは成果につながるまでに時間がかかるのが難点ですが、外注することもできるためお店に合ったスタイルで取り組めるのも利点の一つです。

SEOで新規の顧客を獲得し、ホームページ内に用意した自作の予約フォームへ誘導できれば、手間と費用をかけずに顧客情報が蓄積できるといった、コストパフォーマンスに秀でた戦略が可能になるでしょう。

MEO

MEOとはMap Engine Optimizationの略で、日本語に訳すと「マップ検索エンジン最適化」を意味します。
主にGoogle マップでの検索結果を上位表示させることを目的に行う、さまざまな施策を指すマーケティング用語です。
さきほど解説した「SEOのGoogle マップ版」と考えるとわかりやすいでしょう。

数年前までは飲食店をWebで探すために「フレンチ 新宿」や「お好み焼き 大阪」などキーワードで検索すると、検索上位にグルメサイトが表示されたため、そのグルメサイト内でさらに検索する方法が一般的でした。
しかし近ごろはGoogle マップの検索結果が検索上位に表示される傾向がみられるようになったことから、新規顧客の獲得に向けてMEOに力をいれる飲食店が増えています。

MEOに取り組むにはまず無料で利用できる「Google ビジネスプロフィール(旧Google マイビジネス)」に登録しましょう。

Google ビジネスプロフィールには主に以下の情報を入力します。

  • お店の名前
  • 住所
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • ホームページアドレス
  • 営業時間
  • 定休日
  • 店舗の外観や内観、料理の画像
  • お店のジャンル
  • 支払い方法(カード決済、電子マネー等)

そのほかお店の特徴やこだわりなど、さまざまな入力項目が用意されています。
できるだけ細部まで入力したほうがMEO対策に有効と言われていますので、可能な限り情報を入力しましょう。

またGoogle ビジネスプロフィールには、お客様からの口コミが投稿されるシステムになっており、書き込まれた口コミに対して返信することはMEO対策における重要な要素の一つです。
口コミの内容を精査し、適切な返答を心がけましょう。

口コミの返信内容はすべてのユーザーに公開されるため、口コミを参考に来店を決める方も大勢います。
たとえ悪い口コミでも意見を書いてくれた相手に感謝しつつ、ネガティブ表現を避けながら誠実に返信することが大切です。

MEOについて詳しくは関連記事「飲食店のMEO対策とは?集客するための3つのコツを丁寧に解説」で解説しているため、併せてご覧ください。

SNS

引用:総務省|令和2年通信利用動向調査の結果

上記の表はインターネット利用者の中でSNSの利用者を年齢別に示したものです。
令和元年と令和2年のデータを比較すると、すべての年齢層で増加していることがわかります。

このようにSNSは利用者が多く今後も利用者は増え続けることが予想されるうえ、拡散性も高いことから新規集客やリピーター獲得には欠かせない存在といえます。
とはいえTwitter、Instagram、Facebook、LINEなど、SNSも多種多様に存在するためどこからはじめたら良いのか困惑するかもしれません。

どのSNSに取り組むか迷っている場合は、ターゲットの年齢層によって決めると良いでしょう。
SNSは年齢層によって利用する割合が異なるため、お店のターゲット層にあったSNSを活用すると効果的に運用できるからです。

また複数の年齢層にアプローチしたい場合は、SNSを使い分けるのも有効な手段と言えます。

以下の表はSNSごとの年代別利用率です。

引用:令和4年8月 総務省情報通信政策研究所|令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書

SNSは利用者が多く拡散性も高いため、複数のSNSを運用するに越したことはありません。
しかしユーザーに関心を持ち続けてもらうには、1日1回を目安として頻繁な更新が必要になるため、手が回らない場合は1つのSNSに集中し、一点突破を目指したほうが良いでしょう。

SNSの種類特徴主なターゲット層
Twitter・短いテキスト(140文字)
・画像や動画も投稿可能・拡散力が高い
・10代〜30代のユーザーが多い
すべてのターゲット層
Facebook・テキスト(長文可能)・画像や動画も投稿可能・実名登録・ビジネス利用が多い・拡散力はそれほど高くない・20代〜40代のユーザーが多い・潜在層・顕在層・顧客層
Instagram・画像・動画投稿・拡散力はそれほど高くない・画像や動画は料理と相性が良い・ユーザーの消費行動は活発・10代〜30代のユーザーが多い・潜在層・顕在層・顧客層
LINE公式アカウント(LINE)・メッセージ配信・チャット・音声通話・自動返信機能・LINEは日本で一番利用されている(アクティブユーザーが多い)・10代〜60代、すべての年代で利用されている・顕在層・顧客層
You Tube・動画・拡散力は低い・多くの情報量を動画で伝えられる・複数回も見てもらえる可能性もある・10代〜60代、すべての年代で利用されている・潜在層・顕在層・顧客層
Tik Tok・ショート動画・テキスト・拡散力は低い・直感的に操作できるため気軽に投稿できる・10代〜20代のユーザーが多い・潜在層・顕在層・顧客層

飲食店が行うべきSNS施策の具体的なやり方については関連記事「飲食店の集客アイディア8つ!売上アップのコツや集客ツールを紹介」で解説しているため、併せてご覧ください。

動画配信

スマートフォンの性能向上や通信環境のインフラが整ったことにより、動画投稿のハードルは大きく下がりました。
スマートフォンの動画編集アプリも発達し、PCがなくてもすぐに投稿できる気軽さもあり、個人で動画投稿する人が急増しています。

視聴者側も、インターネット利用者の中での動画系SNSの利用率は、You Tube 87.9%・Tik Tok 25.1%・ニコニコ動画 15.25%など動画コンテンツを頻繁に利用しています。

以下の表は動画系メディアの1日平均利用時間を年代別に「休日」と「平日」に分けてデータ化されたものです。

引用:令和4年8月 総務省情報通信政策研究所|令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書

全年代の平均で平日が217.9分、休日は260.8分もの時間を動画コンテンツの視聴に費やしていることがわかります。
これらのデータから、インターネットを利用しているユーザーの多くは、Web上の動画コンテンツを受け入れ、楽しんでいることが推測されます。

飲食店に関わる動画も多くのユーザーに視聴されており、とくにお店のヒストリーを交えながら仕込みや営業中の風景を撮影する動画は、数万回〜100万回以上の再生回数を叩き出す人気番組となることが多いです。
それだけお店に込められた想いや、スタッフの仕事内容に対して興味をもつユーザーが多いことの表れでしょう。
動画コンテンツは新規集客向けのマーケティングと言えますが、リピーター客の来店頻度を上げる効果も見込めます。

ユーザーが飲食店の動画に求めているのは主に「お店を始めた経緯」や「どのような材料から、どのような工程を経て料理が仕上がるのか」、「人気メニューのレシピと作り方」などです。

動画を撮影する時間がない場合は、数十秒〜数分のショート動画がおすすめです。Tik Tokをはじめ短時間で気軽に視聴できるショート動画は現在トレンドになりつつあります。
スタッフとの会話や、普段の調理風景を切り取ったショート動画を頻繁に投稿すれば問い合わせや来店数の増える可能性が高くなるでしょう。

※You Tube・Tik Tok・ニコニコ動画など動画メインのSNSはテキストや画像メインのSNSと趣が異なるため、今回は分けて解説しています。

グルメサイト

ぐるなびや食べログ、ホットペッパーグルメなどのグルメサイトは、新規集客に高い効果を発揮します。
とくに上位プランを契約すれば、グルメサイト内の検索で上位表示されたり、目立つ場所にお店の情報を配置されたりするなど利用者の目に留まやすくなるため、即効性に優れた集客が可能になります。

しかし月額で約1万円〜数十万円の基本料金や、予約ごとに送客費用が発生することが多いため、グルメサイトに頼った集客はコスト的に負荷が重くなります。
グルメサイトだけでなく、ホームページやSNSなど集客コストの低い手法もあわせて取り組むことが重要と言えるでしょう。

飲食店のアナログなマーケティング手法5選

デジタルを使ったマーケティング手法は便利ですが、これとは反対に、店舗によってはアナログでマーケティング施策を打った方が良い場合もあります。

飲食店が活用できるアナログなマーケティング手法の具体例は以下の5つです。

  • 店頭でのチラシ配り
  • 近隣の会社や住宅へポスティング
  • ディスプレイ看板やのぼりを設置
  • 既存客へのダイレクトメール
  • 飲食系雑誌の出版社へ「プレスリリース」を打つ

店頭などでのチラシ配り

1つ目の手法は店舗の入口や、時には最寄り駅前など人通りが多い場所に立ってチラシ配りをすることです。チラシは特に新しい飲食店の開拓に興味関心を持っていない人であっても何となくで受け取ってもらいやすいため、幅広いターゲット層に有効であるといえます。

チラシのデザインが優れていたり、またチラシを受け取った人だけ受け取れるクーポンなど特典がついていたりすると、より集客を見込めるでしょう。

チラシにはクーポンを一緒に挟むと効果的

チラシを配る際、ただやみくもに笑顔と挨拶を意識して「お願いしまーす!」と言っているだけではほとんど意味はありません。道行く人が飲食店を求めて歩いていることは数少ないため、チラシに付加価値をつけることが必要になってきます。

例えば、チラシの中に「初来店でドリンク1杯無料」や「お好きなメニューどれでも100円引き」などといったお得な特典となるクーポンを記載しておくのはいかがでしょうか。チラシを配る際にクーポンが記載されていることをアピールしておけば、チラシを貰ってくれる人が増えるでしょう。

クーポンの施策効果を高めるためには「次回の来店時に使用できるようにする」「有効期限を設定する」「お友達紹介の特典を付ける」「メールアドレスなど個人情報を記入してもらう」の4つがあります。詳しく知りたい方は関連記事「飲食店のクーポン施策で客離れを防ぐ!利用率アップの方法も解説」をご覧ください。

近隣の会社や住宅へポスティング

店舗周辺の会社や住宅へのポスティングもチラシ配り同様、すべてのターゲット層に有効な、即効性に優れた集客方法です。

ただし、投げ込みチラシはそのまま読まれずに捨てられてしまうことも多いため、質よりも量を求める方が成功しやすい傾向にあるといえます。このため、忘年会やクリスマス、おせちといった季節ごとに合わせた内容のデザインを用意して投げ込むとより効果的です。

ディスプレイ看板やのぼりを設置

メニューを書いた黒板や写真のボードなど「ディスプレイ看板」や「のぼり」は、道路を歩いている人に目につくため、幅広いターゲット層に効果的です。

ただし注意しておきたいのは、飲食店を探す目的で通っている人でないと効果がない点です。さらに飲食店を探していてもあまり目を引くようなデザインでなかったり、店舗の良さがアピールできていなかったりすると集客の難易度は高いといえます。

既存客へのダイレクトメール

ダイレクトメールは昔から長く使われてきたアナログなマーケティング手法の代表例です。既存のお客様一人ひとりに宛てた内容のメールを送ることで、ロイヤリティの向上や再来店の確率の向上を期待できます。

ダイレクトメールを作る際には、それほど数が大量でなければ手書きで行うか、あるいは手書き風のフォントを使ったデザインがおすすめです。手書きの文字には人の手による温かみを感じられるため、より効果が高いです。

飲食系雑誌の出版社へ「プレスリリース」を打つ

プレスリリースとは、お店のサービスや商品などの情報を世間に向けて発表する、全てのターゲット層へ有効な集客手段です。

新しくオープンする場合、店舗の公式サイトやSNSでは効果がない可能性が高いため、飲食系雑誌の出版社に売り込みを行います。

既にオープンして長い店舗であればなかなか難しいですが、新オープンやリニューアルといった話題性があれば取り上げてもらえる確率は高くなるため、新しい経営者の方におすすめの手法といえます。

アナログなマーケティング手法だけではなく、飲食店の集客全般についてさらに詳しく知りたい方は「飲食店の集客アイディア8つ!売上アップのコツや集客ツールを紹介」を併せてご覧ください。

飲食店のマーケティング成功例

「トレタ」のサービスを活用したマーケティングの成功例を紹介します。

SMSを活用し緊急事態宣言下にテイクアウトで予想以上の売上を達成|焼肉 肉の大山

肉の大山さんは、緊急事態宣言をうけて2020年4月~5月末頃まで店舗での営業を休業し、その間にお弁当や「お家で大山」と名付けたお肉のセットなどのテイクアウトを始められました。
その際、「テイクアウトの情報を誰にお届けしたら喜んでもらえるか」を検討した末、コアなファンに向けて「トレタ」のSMS(ショートメッセージサービス)で告知を送ることにされたそうです。

課題

・SMSを送るのにもコストがかかるため、反応が見込めるお客様を絞る必要があった

・告知のSMSを迷惑と受け取られないようにする必要があった

施策

・「トレタ」の顧客情報の中から来店回数やお住まいの地域、性別などの情報を吟味し、近隣の常連客を中心にSMSを送信した

・SMSを送る前に「何かお得な情報があった場合、告知させていただいていいですか」とあらかじめ許可を取っておいた

・SMSの内容はシンプルな文章で簡潔に用件のみの記載し、すぐに電話をかけられるようにした

結果

・2日間でSMSを150件送ったところ48件と、送信した数の約3割ものお客様がテイクアウトを利用した

・その後もテイクアウトは順調でお店を開けていた前年の同月より売上が向上した

URLhttps://toreta.in/case/2020-11-30/2509/

「トレタスタンプ」の活用で客層拡大の目標を達成|しら河 浄心本店

名古屋名物「ひつまぶし」をメイン商材とするしら河さん。以前から印字式のポイントカード施策を行っていたものの課題もあり、客層を広げるという目標もあった中、「トレタスタンプ」がその解決策としてうまく機能したそうです。

課題

・お客様へのお知らせがほぼ郵送DMのため、顧客情報を活かしきれていない

・ポイントカードの作成にかかるコストの負担が大きい

施策

・「トレタスタンプ」の機能を活用し、LINE公式アカウントから顧客に向けて情報を発信した

・紙のポイントカードから「トレタスタンプ」へ移行した

結果

・1カ月で1万人以上の方に登録していただいた

・「トレタスタンプ」で抽選施策を取り入れた結果、来店数に対するスタンプ率が5%から25%程度まで向上した

・ポイントカードをデジタル化したため、ポイントカードの作成コストがかからなくなった

URLhttps://toreta.in/case/2022-07-26/2653/

リピーターが喜ぶサービスを用意し常連客で賑わうお店に|天壇 赤坂店

個室を中心としたビジネスパーソンの憩いの場である天壇(赤坂店)さん。エントランスに水が流れているなど凝った内装は、接待利用のお客様に喜んでいただけるよう配慮がなされています。個室は全部で14席で、奥の宴会場も、宴会が入らないときは仕切りを作って半個室のような形で使われており、さまざまなシチュエーションへの対応が可能です。

課題

・常連客づくりの施策として、2回目の来店時に次の来店を促す施策を講じているがお客様の来店回数を把握するのが難しく、顧客管理に手間がかかる

施策

「トレタ」で顧客管理を行い、お客様の来店回数や特徴などをスタッフ全員がタブレットで確認できるようにした

結果

・お客様の来店回数を正確に把握できるようになった

・週3回ほどしか勤務していないアルバイトスタッフでも常連客のことがわかるようになった

・顧客情報からお客様の注文歴や好みを確認し、話しかけることでお店とお客様の関係が自然に密になっていきリピートへつながった

URLhttps://toreta.in/case/2015-09-01/2404/

デジタルツールの導入には補助金・助成金の活用を検討する

ここまでデジタルツールの重要性を説明してきましたが、飲食店の経営者にとっての本音は「そんなツールを導入できるコストはない」ではないでしょうか。「コスト削減」という課題は、飲食業界の課題においても常に上位を走っています。

そこで、活用を検討したいのが行政から行われている給付金・助成金制度です。行政は飲食店があらゆるツールの導入を補助するのに「小規模事業者持続化補助金」「事業再構築補助金」「IT導入補助金」などを用意しています。

関連記事「飲食店経営に使える給付金・補助金・助成金をわかりやすく解説」をご覧ください。

まとめ|飲食店はマーケティングで集客力がアップする

飲食店のマーケティングについて解説してきました。改めて本記事の結論をまとめてみます。

なぜ飲食店にマーケティングが必要なのか

  • 新規顧客の獲得やリピーターの来店数を増やし売上も伸ばすため
  • 売上を向上させるために「お店」と「お客様」の特色を深く理解し、お客様が求める料理やサービスを提供することが大切

そもそもマーケティングとは

  • お客様が「来店する(売れる)仕組みの構築」に関する活動全般をマーケティングと呼ぶ
  • 既存の飲食店は新規集客と常連客づくりに関する施策をマーケティングと呼ぶことが多い
  • 新規集客獲得と同じかそれ以上に、リピーターやファンづくりはマーケティングにおいて重要

飲食店がすべきマーケティングとは

  • お店の状態を知る
  • お客様を知る
  • 分析結果をもとに戦略を練る

飲食店のマーケティング手法5選

  • ホームページ
  • MEO
  • SNS
  • 動画配信
  • グルメサイト

飲食店のマーケティングへ取り組む際にお役に立ててください。