飲食店にとって、マニュアルは店舗全体のクオリティを保つために使われる教育ツールです。マニュアルを作成しておけばキッチンやホール、その他の業務における教育で活用できます。

しかし、マニュアルの作成にかかる作業量は大きく、その後も更新し続けなければなりません。マニュアルはどの飲食店にとっても必要なものなのでしょうか?

今回は、まず最初にマニュアルが必要かどうかを一緒に考え、必要な場合の作り方、上手に運用していくためのコツなども解説していきます。

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マニュアルが必要な店舗とは

マニュアルは店舗のルールや業務を円滑に行うために必要な知識や情報を記載するもので、店舗全体の品質を保つために重要な役割を持っています。

しかし、マニュアルは役立つアイテムではあるものの、全ての飲食店が作成しているかといえばそうではありません。

マニュアルはどのような飲食店にとって必要なものなのでしょうか?

マニュアルが必要な3つの理由

そもそもマニュアルは飲食店にとってなぜ必要なのでしょうか?理由は3つ考えられます。

  • スタッフを一定レベルまで成長させるため
  • 教育する人によってのブレを防ぐため
  • 店舗のスタイルを浸透させるため

それぞれ解説します。

スタッフを一定レベルまで成長させるため

一般的にマニュアルには業務に必要な基礎的な情報をまとめます。そのため、そのマニュアルを使いながら業務を覚えてもらえば、店舗の業務に必要な知識や情報を身につけることができるでしょう。

教育する人によってのブレを防ぐため

一般的な飲食店の教育はというと、先輩スタッフがOJTで教えるケースが多いのではないでしょうか?

教育担当が1人であれば、教える内容にブレが無く、教わる側も混乱しません。しかし、教える人が複数人いると、人によって教える内容が変わってしまう可能性があります。

スタッフによって言うことが変わってしまうと教わる側はどちらが正しいのかがわからず混乱し、成長スピードに影響が生じます。

また、マニュアルがない環境で働くスタッフは、自分なりのやりやすい方法を見つけ、業務に臨むようになります。これが「先輩によって言うことが変わる」という状況を生んでしまうことにも繋がります。

マニュアルは店舗の基軸となります。その基軸があれば、ブレを生むことなくスタッフを育てることができるはずです。

店舗のスタイルを浸透させるため

マニュアルは店舗の業務における軸を示すものであり、作成することでその店舗が何を大切にしているのかが明確になります。

店舗が大切にしていることをマニュアルを通して示すことで、スタッフは業務内容だけでなく、店舗のスタイルも理解していくでしょう。

マニュアルが必要な飲食店とは?

では実際にマニュアルが必要な飲食店とはどのような店舗なのでしょうか?下記3つのケースを軸に考えてみましょう。

  • 飲食店を複数店舗運営している
  • スキルの個人差を無くし、一定レベルに保ちたい
  • 教育を効率化したい

それぞれ解説します。

飲食店を複数店舗運営している

複数店舗運営している飲食店は、料理やサービスのクオリティが店舗ごとに差が出てしまう危険性があります。その点をカバーするためにマニュアルは有効的なツールとなるでしょう。

2〜3店舗程度の運営であればマニュアルが無くてもオーナーやマネージャー、店長などによって教育の管理ができるかもしれません。しかし、一定以上増えていくと管理者の目が行き届かなくなり、全体のクオリティを保つのが困難になります。

以上のことから、多店舗展開している飲食店は、クオリティの差を生まないためにマニュアルの導入を検討するのも有効的な方法といえます。

スキルの個人差を無くし、一定レベルに保ちたい

1〜2店舗で運営している小規模の飲食店でも、マニュアルが必要となるケースも考えられます。

例えば、1店舗だとしても規模が大きく、スタッフ数が多ければスキル習得の個人差が生まれてくることもあるでしょう。

店舗数に限らず、スタッフによって提供する料理やサービスの品質を落としたくないのであれば、マニュアルの活用もひとつの有効的な手段となります。

教育を効率化したい

新しいスタッフが入社の際にマニュアルを読むことで、ゼロから教えるよりも習得スピードが速くなるだけでなく、教育側の時間や工数も削減することができます。教育時間の効率化は、人件費の削減にも繋がります。

教育を効率的に行いたいのならマニュアルの作成も視野に入れてみましょう。

飲食店に必要な3種類のマニュアル

それでは、具体的に飲食店に必要なマニュアルを3種類紹介します。

  • ホール
  • キッチン
  • 店舗全体業務

それぞれ解説します。

ホールの業務マニュアル

ホールスタッフのメイン業務となるのは、接客です。そのため、マニュアルの内容も主に接客にまつわるものが中心となります。

具体的には、下記のような内容についてまとめると良いでしょう。

  • 接客において店舗が大切にしていること
  • 外見や服装
  • お出迎え・席への案内
  • 案内時の対応
  • 注文の受付方法
  • 料理やドリンク提供の方法
  • バッシングについて
  • 会計の方法
  • 予約受付の方法
  • クレーム対応
  • 店舗内衛生面の管理方法など

言葉遣いやマナーについても記載したくなるところですが、言い回しの表現は多数あり、想定すべきシーンも広範囲に渡ります。言葉遣いやマナー面に関しては書籍もたくさん発売されているほどで、正しい内容を記載しなければ意味がありません。これらをしっかり作ろうとすると、膨大な業務量が必要です。

今までの通常業務で問題が起きるような言葉遣いが無いのであれば、各シーンで教育しながらその場で必要な言い回しやマナーを伝えていく方がスタッフも覚えやすく、現実的といえます。

本格的にマナーについてのマニュアルを作成したい場合は、書籍を参考にしたり、プロの講師に監修してもらうとよいでしょう。

キッチンの業務マニュアル

キッチン業務では、主に下記の項目についてマニュアルを作成します。

  • 服装
  • 仕込みの分量
  • 食材の仕入れ方法・ルール
  • 食材の管理方法
  • 各料理の調理法・レシピ
  • 食器や調理器具の使い方・管理方法
  • 洗い場のルール
  • ゴミの処理方法
  • 衛生面のルールなど

キッチンは衛生面に気をつけながら料理を作り、スピーディに提供することが主な業務です。そのため、レシピや調理工程の習得を重要視するところが多いのではないでしょうか。

レシピは全ての料理でまとめておくことで味のブレを防ぐことができ、覚える側も習得スピードが早まります。調理工程は動画で撮影しておくと、何度も見返すことができるため便利です。

仕入れ先の一覧や、食器や調理器具の管理場所や使い方、ゴミ出しのルールなどもマニュアルとしてまとめておくと新しいスタッフでも間違えたり質問する機会も減ります。それによって教育のスピードや全体の業務効率もアップするでしょう。

衛生面に関しては食中毒のリスクを下げるために最も重要です。衛生管理表なども併せて使いながら、絶対に食中毒を起こさないよう店舗全体で取り組むようにしましょう。

店舗全体業務のマニュアル

店舗全体業務のマニュアルとは、勤怠や現金、鍵の管理など店舗営業にまつわるその他の業務についての内容を指します。

具体的には下記についてまとめておくとよいでしょう。

  • 出退勤の記録方法
  • 鍵の管理
  • 現金の管理
  • 開店・閉店時の開錠・施錠
  • 備品の管理
  • トラブル対応など

店舗力がアップするマニュアルとは

マニュアルは基礎的な内容をまとめたものですが、さらに踏み込んだ内容もまとめておくと店舗力アップに繋がります。

例えば、「おすすめ料理を上手に伝えるトークスクリプト」「取り扱っているドリンクの基礎知識一覧」「料理メニューの特徴一覧」などがあると、店舗全体で知識量が増え、接客力や調理レベル向上が期待できます。スタッフの学習意欲も刺激することができるのでおすすめです。

マニュアル作成&成功に必要な基本の3ステップ

マニュアルは作成して完成ではありません。現場で活用できてこそ成功といえます。

マニュアルを上手に運用していくためにはマニュアルを作成した後も定期的に改善し、更新していくことで少しずつ完成度を上げることが大切です。

それでは、マニュアルの作成から運用して成功するための3ステップを解説していきます。

STEP1:マニュアルを作成する

まずはマニュアルが本当に必要なのかを検討し、目的が明確になったら制作活動に入ります。マニュアルの作成は、業務内容の洗い出しや各ルールの制定など作業量が膨大にあります。

そのため、しっかりとした手順を踏まえながら、担当者も決めて取り組むことをおすすめします。

具体的な作り方の流れについては次章で解説します。

STEP2:実行に移す

マニュアルが完成したら、実際に活用しましょう。

マニュアルは、伝えるだけでは効果がないため、どうやって店舗内に浸透させていくのかを考えていくことが大切です。

その際に役立つポイントやアイデア例を下記にて紹介しますので、参考にしてください。

  • 専門用語を控え、新人スタッフでも理解できるレベルまで落とし込む
  • 合格ラインを設定し、合格してから接客業務に配置する
  • 理解度をテストするチェックシートを用意し、給料の査定対象にする
  • マニュアルにクイズ形式を取り入れ、楽しみながら覚えられるようにする
  • 毎月、クレンリネスを徹底しておこなったスタッフを表彰しプレゼントを渡す

STEP3:定期的な改善をおこなう

画像引用:リクナビNEXTジャーナル|PDCAサイクルの回し方

マニュアルは状況の変化に対応し、質を高めるためには定期的に改善をおこなう必要があります。

マニュアルを改善する上でおすすめなのが、PDCAを回すことです。

PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとったもので、業務改善に役立つフレームワークです。

実施したマニュアルをPDCAに当てはめることで、改善が効率的におこなえます。

改善まで含めて行ってこそ、マニュアルの運用成功と言えるでしょう。そのためマニュアル作成時に、検証期間をどのくらいとるのか、どう改善していくのかもセットで考えることが大切です。

飲食店の基本的なマニュアルの作り方

では次に、飲食店がマニュアルを作る場合、どのように進めていけばいいかを解説します。

大まかな流れとしては下記のように進めます。

  1. 目的を考える
  2. 担当者を決める
  3. 業務内容を洗い出す
  4. 各業務の手順やルールを決める
  5. 手法を決める

それぞれ解説します。

目的を考える

まずはマニュアルを作る目的を明確にしましょう。

マニュアル作成には多くの時間と労力が必要です。「何となく必要だと思うから」と安易な考えで作成してしまうと、誰にも読まれることのない形式的なものができあがり、膨大な時間と労力が無駄になってしまいます。

何のために作るのかが明確になっていれば、内容も実用的なものとなり、教育や品質レベルの保持に役立ってくれるはずです。

担当者を決める

マニュアルは片手間で完成できるほど簡単なものではありません。店舗全体のルールをまとめていく立派な業務の一つです。しっかりと担当者を立てて臨むようにしましょう。

業務内容を洗い出す

目的や担当者が定まったら、現状でどのような業務があるのかを全てリストアップします。業務内容が明確ではないと、何についてのマニュアルを作成していけばいいのかがわからず、作業が思うように進まなくなります。

ホール、キッチン、店舗全体にまつわる業務に分けてそれぞれの業務内容を可視化しましょう。

各業務の手順やルールを決める

業務内容をリストアップしたら、それぞれの手順やルールを定めていきます。1人で決めるのではなく、各部署の責任者やベテランスタッフの意見なども取り入れながらまとめていくと現場の実状に見合った内容で作成できます。

手法を決める(アナログかデジタルか)

最後にどのような形で制作するかを決めて、形にしていきます。

マニュアルは、冊子などのアナログ式もしくは、PC上で確認するデジタル式で制作することができます。

アナログ式で作成すると、いつでもすぐに手元で確認しやすいメリットがありますが、保管場所が必要だったり、修正が大変になるなどのデメリットもあります。印刷コストも発生します。

デジタル式の場合、保管場所に困らず修正や改訂が簡単で印刷コストを削減できますが、スタッフが習得する際にメモが書けなかったり閲覧にPCやスマートフォンが必要などのデメリットもあります。

最近ではマニュアル作成ソフトなども出てきています。それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上でどの手法が最適なのかを判断しましょう。

マニュアル作成と一緒に見直したい飲食店の接客

接客は顧客満足度に大きく関わる要素のひとつです。飲食店に関する調査を行うMS & Consultingが飲食店を選ぶ条件を調査したところ、「スタッフの気配り」「お店の活気雰囲気」「スタッフの笑顔」などが上位を占め、接客の重要性を物語っています。(参考:「コロナ禍でも“選ばれる飲食店”の条件とは?」MS & Consulting HPより)

お客様に楽しんでもらうためには特に下記のような接客態度には注意しなければなりません。

接客の悪い例

  • 早口、声量が小さいなどで声が聞き取れない
  • お客様との会話中、視線をそらしてしまう
  • おどおどして自信のない様子が見て取れる
  • お客様からの質問を「わかりません」で終わらす
  • お客様の要望を即座に否定するなど

マニュアルの作成は業務の見直しにも繋がります。上記のような接客をしないために、そして店舗のファンを増やしていくためにも、マニュアル作成のタイミングで接客を改めて見直してみるのも良いきっかけとなるのではないでしょうか。

より詳しく飲食店の接客について知りたい方は「飲食店の接客|オペレーションの改善で売上を作れる秘訣とは」を併せてご覧ください。

マニュアル完成後に取り組みたい3つのこと

マニュアルが完成して上手に運用できるようになれば、店舗全体のクオリティが保たれ、店舗力も備わっていきます。

その段階までいけば、またさまざまな新たな試みにチャレンジすることができるでしょう。

ここではマニュアル完成後に取り組んでいきたいことを3つ紹介します。

集客

料理や接客などの品質が低い状態であれば、集客をしてもリピートには繋がりません。マニュアルを制作して活用できれば店舗全体のスキルレベルは一定に保たれるはずです。そのときこそ、集客について考えるタイミングだといえます。

飲食店の集客方法は、ポスティングやチラシの配布ビラ配り、SNSの活用やDM送付などさまざま考えられます。ただ、闇雲に興味のある手法で行えばいいというものでもありません。

そもそも顧客層は「非認知層」「認知層」「顕在層」「顧客層」の4つに分けることができます。集客で効果を出すためには、どの層を狙うのかによって適切な手法を選択する必要があります。今の店舗状況で業務量として可能かどうかはもちろん、こうしたターゲットも意識しながら集客方法を考えていきましょう。

より詳しく集客について知りたい方は「飲食店の集客|すぐに実践できる8つのアイディアと売上UPのコツ」を併せてご覧ください。

業務効率化

他にも店舗力が備わってきた時に考えたいのが、業務効率化です。業務効率化が実現することで、勤務時間の短縮や少人数営業の実現、顧客満足度を上げるための施策に取り組むことができます。

中でも特に注目したいのは、デジタルツールを活用したDXです。これまで他業界に比べて遅れを取っていた飲食業界でも少しずつDXに取り組む店舗が増えてきています。

DXとはデジタルツールを活用しながら組織に革命的な変化をもたらす取り組み全般をいいます。

デジタルツールというと大手企業が取り扱うものという印象があるかもしれませんが、そんなことはありません。

最近では1人で営業するような小規模の個人店でも予約管理システムを導入したり、セルフオーダーを活用しているところもあります。運用コストは発生しますが、その分得られる価値がそのコストを上回るのであれば検討の余地はあるといえるでしょう。

飲食店のDXについてより詳しく知りたい方は「飲食店DX成功事例8選|企業がデジタル化に取り組むメリットも紹介」を併せてご覧ください。

無断キャンセル対策

最近、飲食店の無断キャンセルがニュースに取り上げられるなどして注目が高まっています。飲食店にとって無断キャンセルは防ぎたくても防ぎきれない場合も多く、売上に大きなダメージを与える厄介な問題のひとつです。

ただ防ぎきれないからといって「運が悪かった」と諦めてしまっては状況は改善されません。店舗として無断キャンセルに対する対応もマニュアルに組み込んでおきましょう。

無断キャンセルへの対策としては、予めキャンセルポリシーを決めておく、団体客に対しては前日もしくは当日に連絡をする、予約の受付は1ヶ月先迄とする、などが考えられます。

マニュアルに無断キャンセルに対しての対応を組み込むことで、店舗全体として毅然なる対応をしていくという姿勢の表れにもなります。100%防ぐことは困難ですが、少しでも無断キャンセルが防げるような取り組みを行っていくことは大切です。

より詳しく無断キャンセルの対応について知りたい方は「飲食店の無断キャンセル対策入門 | 現状や原因、顧客の声も紹介」を併せてご覧ください。

マニュアルの運用で注意すべき3つのポイント

最後にマニュアルをより有効的なものにしていくために気をつけたい3つのポイントについて解説します。

  • ゆとりを持たせる
  • 頼りすぎない
  • 目的を見失わない

それぞれ解説します。

ゆとりを持たせる

マニュアルを運用する上で、ある程度のゆとりを持つことが大切です。ここでいうゆとりとは、マニュアルに書いてあることが絶対ではないという姿勢を持つことをいいます。

飲食店を運営していると、さまざまな出来事が起こります。そのため、マニュアルに書いてある対応がベストではないときもあるはずです。一番大切なことは、その発生した事象に対して臨機応変に対応することではないでしょうか。マニュアルにこだわりすぎてしまうと、この点が弱くなってしまいます。

スタッフの評価をする際に「マニュアル通りに働いているかどうか」という点を厳しく見すぎてしまうと、マニュアル通りにしか動けないスタッフばかりが育っていきます。マニュアルは、あくまで仕事を覚えるためのツールだということを忘れないようにしましょう。

頼りすぎない

新しいスタッフが入社してきたときにマニュアルを渡して読んでおいてもらえば、仕事を覚えるスピードは早くなります。

ただ、マニュアルに頼りすぎて教育を疎かにしてはいけません。

入社したばかりのスタッフは、さまざまなことに不安を抱えています。教育でマニュアルを渡され「読んでおいて」「大体マニュアルに書いてあるから」と素っ気ない対応をされたら、そのお店で頑張ろうと思うでしょうか?

マニュアルは教育のサポートツールだと認識しておくことが大切です。教育は対面で伝えることを基本とし、何度も読んで覚える必要があるものや確認事項などはマニュアルを活用するようにしましょう。

丁寧な教育があるからこそ「ここで頑張ろう!」と思うもの。教育における大切なことを忘れないようにしましょう。

目的を見失わない

マニュアルを使って教育をすると、当然スタッフはマニュアルに書いてあることを覚えようとします。しかし、マニュアルに気を取られすぎると、覚えることが目的になってしまいがちです。

飲食店の仕事は、美味しい料理や心地よいサービス、空間を提供し、お客様に満足していただくこと。マニュアルを覚えることが目的で働いているのではありません。

教育側は、スタッフがマニュアルに捉われすぎていないか注意しなければなりません。あくまで目線は顧客満足。スタッフが本来の仕事の目的を見失わないように、常に注意して見てあげることも大切です。

まとめ|業務マニュアルを導入し、スタッフのスキルアップを図ろう

飲食店の業務マニュアルについて解説してきました。改めて本記事の結論をまとめてみます。

  • まずはマニュアルが必要なのかどうかを判断すること。マニュアルによってクオリティの維持向上、業務効率化に期待できるが制作には膨大な作業が発生する。
  • マニュアルはホール、キッチン、店舗全体業務の3分野で作成する
  • 運用を成功させるためには①作成②運用③改善の3ステップが大切
  • 制作担当者を決めて各現場の責任者の意見を取り入れながら作ること
  • マニュアルの制作は業務の見直しにも繋がる。積極的に改善していこう
  • マニュアルが完成し店舗力が備わったら集客や業務効率化なども取り組むことができる
  • 「マニュアルが絶対!」にならず、あくまで教育のサポートツールであるという認識を持つように意識すること

業務マニュアルの作成は、短時間で終わるほど簡単なものではありません。日々、膨大な業務をこなしながらマニュアル作成に取り組むのは厳しいという方もおられるでしょう。

しかしマニュアルがあることで、スタッフの教育コストは削減され、お店のサービス品質は安定します。未来への投資のつもりで、マニュアル作成に取り組んでみてはいかがでしょうか。