top

「大きな失敗がないように、着実に開業の準備を進めて成功させたい」
「いつしか自分で仕入れたこだわりの食材を提供できる焼肉屋を開業してみたい」

このように自分で焼肉屋を開業してみたいと考える方は多くいるのではないでしょうか。しかし焼肉屋の開業は競合も多く、近年の倒産件数が増加しているように、リスクが大きい業種とも言えます。

そのため本記事では、焼肉屋を開業する際に必要な準備や、失敗しないためのポイント、事例から学ぶ成功の秘訣を紹介します。

自分で焼肉屋を開業することに興味がある方、検討中の方はご参考ください。

開業のプロが動画で解説!

動画で開業セミナー

飲食店専門の開業プラットフォーム「ミセツク」を運営する株式会社A2TのCOOが「失敗しない開業スケジュールと事業計画書」の作り方を解説します。

今すぐ動画を見る(無料)

開業に必要な準備と手順7ステップ

top

焼肉屋を開業するためには、慎重な計画と準備が不可欠です。

STEP1:戦略設計・事業計画書の作成
STEP2:開業する立地と物件を選ぶ
STEP3:開業資金・運転資金を調達する
STEP4:焼肉屋開業に必要な資格・許可を取得する
STEP5:仕入れ先を決めておく
STEP6:内外装工事をして、設備を設置する
STEP7:開業の最終調整を行う

焼肉業界は激しい競争が繰り広げられています。準備が不十分だと、他の競合店との差別化や独自性を打ち出すことが難しくなります。

また、地域の需要や競合店の強みを把握していないと、マーケットに適したサービスやメニューを提供することが難しく、集客力が低下する可能性があります。

そのためここからは、開業に必要な準備と手順を7つのステップに分けて、ひとつずつ説明します。

STEP1:戦略設計・事業計画書の作成

まずは出店を検討している地域の客層理解・競合店舗の調査をします。

開業する地域の住民構成や需要傾向、ライフスタイルなどを徹底的にリサーチします。 他にも競合店舗の数や提供しているサービス内容、価格帯、顧客評価などを調査します。

これにより、競争状況を理解し、他の店舗との差別化ポイントを見つけ出します。

その上で他店との比較から得た情報を基に、自店の強みや特徴を明確に設計します。
例えば、特製の焼肉ソース、新しい調理法、またはアットホームな雰囲気などが強みとなり得るでしょう。

また、焼肉店にはさまざまなコンセプトがあります。

例えば、高級感のある焼肉、家族向けのアットホームな雰囲気、または大衆向けの手頃な価格の焼肉などが考えられます。

開業する焼肉店のイメージやコンセプトを設計し、それに基づいてメニューを決定していきましょう。

STEP2:開業する立地と物件を選ぶ

焼肉屋の成功において、アクセスしやすい場所や周辺環境は不可欠です。

例えば駅や商業施設の近く、または住宅地域など、ターゲットとなる顧客層に適した場所を選ぶようにしましょう。

また、居抜き物件を選ぶことで、内装や設備などの改装コストを大幅に抑えることができます。なるべく少ない初期費用で焼肉屋を開業したいと考える方は、居抜き物件から探すことをおすすめします。

立地と物件の選定は、集客力の向上や経営の安定に直結するため、他にも開業する地域のニーズと開業したいコンセプトは合致しているかを確認しておくと良いでしょう。

例えばオフィス街であればランチ需要、住宅街であればファミリー向けの立地などが適しています。

STEP3:開業資金・運転資金を調達する

開業方法や立地、店舗によっても大きく変動しますが、焼肉屋開業に必要な資金はおおよそ1,300万~4,000万円程度です。

開業時に必要な資金は初期費用のみだと思われがちです。

しかし開業初期は利益があがらないことも多いため、最低でも3ヶ月以上分の運転資金も併せて準備しておく必要があります。

そこでここでは開業時に準備しておく必要がある以下の内容について、それぞれの目安をお伝えします。

  • 開業資金に必要な額と内訳
  • 運転資金に必要な額と内訳

開業資金に必要な物と費用内訳

以下の表では、焼肉屋の開業において一般的にかかる費用項目と、それぞれの具体例と目安金額を示しています。

費用項目具体例目安金額
物件取得費・賃貸契約の敷金・礼金
・保証金
300~700万円
内装工事費・店舗内装の改修・リフォーム費用
・店舗内の電気、水道、ガスなどの工事費用
700~2,000万円
厨房設備費・焼肉用の焼網、グリル
・調理台やシンクなどの厨房設備の導入費用
300~1,000万円
広告宣伝費・広告宣伝費用
・チラシ、ポスター、看板などの制作費用
20~40万円

運転資金に必要な物と費用内訳

運転資金には食材費も含まれますが、焼肉店の魅力は新鮮で質の高い肉を食べられることです。

つまり食材の仕入れ先の選定と費用バランスが、メニューのクオリティと利益率の維持に繋がります。

季節や需要に応じて仕入れ管理を行い、お客様に満足いただける食材を提供するようにしましょう。

費用項目具体例目安金額
人件費・調理スタッフやホールスタッフの給与
・社会保険料、労働保険料などの労務関連費用
100~220万円
物件賃貸料・月々の店舗賃料30~100万円
食材費・牛肉、豚肉、鶏肉などのメニューに使用する食材の仕入れ費用130~370万円
広告宣伝費・イベント開催時の広告費用
・SNS広告やインフルエンサーマーケティング費用
10~30万円
水道光熱費・電気、ガス、水道の使用料10~30万円


STEP4:焼肉屋開業に必要な資格・許可を取得する

焼肉屋を開業する際、場合によっては特定の資格を取得したり、届出を提出しなければなりません。

万が一資格の取得ができていない時や必要届出が漏れている場合は、法的な問題や信頼性の低下、事業の運営に支障をきたす可能性があります。

要件を満たした設計であるかを確認しながら開業準備を行うようにしましょう。

下記に焼肉屋の開業に必要な資格や届出などをまとめたので、参考にしてください。

STEP5:仕入れ先を決めておく

焼肉屋を開業するにあたり、良質な食材を安定的に調達するためには、信頼できる仕入れ先を決めることが重要です。

焼肉屋では基本的に、卸業者からお肉を買い付けます。卸業者を選ぶ際には、以下の5つのポイントに注意しましょう。

  • 品質と鮮度の保証
    仕入れる食材の品質と鮮度が最も重要です。新鮮で安全な食材を提供することが信頼性の基本です。
  • 価格とコストの透明性
    価格は事業の収支に大きな影響を与えます。卸業者が提供する価格が適正であり、またコスト構造が透明であるかどうかを確認し、予算内で仕入れることができるかを検討しましょう。
  • 納品スケジュールと信頼性
    焼肉店では食材の安定供給が求められます。卸業者が確実な納品スケジュールを守り、信頼性のあるサービスを提供できるかを確認し、急な需要増加にも迅速に対応できるかを見極めましょう。
  • 多様な品揃え
    メニューのバリエーションを豊かにするために、卸業者が多様な食材を提供しているかどうかを確認しましょう。顧客の好みや需要に合わせて選択肢を豊かにすることも大切です。
  • サポートとアフターサービス
    卸業者がサポート体制やアフターサービスを提供しているかどうかも重要な要素です。問題が発生した際に迅速かつ適切に対応してくれるかを確認しましょう。

STEP6:内外装工事をして、設備を設置する

内外装工事と設備の設置は店舗の魅力に関わる重要なステップです。

しかしあくまでも焼肉屋のため、上質な食材の仕入れに費用を回せるよう、コストをなるべく抑えつつも魅力的な空間を作ることを意識しましょう。

初期の投資を抑えるためには、基本的な設備のみに絞り込むことが重要です。

焼肉店に必要なグリルや排気システム、調理台などの基本的な設備を選定し、無駄な設備投資を避けましょう。

内装は焼肉店のコンセプトやテーマに合ったデザインにすると、競合他店との差別化も図りやすくなります。

STEP7:開業の最終調整を行う

開業準備の最終段階ではスタッフの採用を行います。接客は顧客に良い印象を与えることができるため、再来店につながりやすくなります。

リピーターの数が増えると客数を維持することができたり、単価アップが見込めたりなど、店舗にさまざまなプラスの面をもたらしてくれます。

以下画像のような、接客基礎はしっかり固めておくようにしましょう。

また、開店時期に合わせて集客も行います。インターネットを活用して、焼肉店の情報を積極的に発信しましょう。

SNSやウェブサイトを活用して、メニューの写真や店舗の特徴をアピールし、オープンに向けて期待感を高められる内容がおすすめです。

焼肉屋開業で失敗しないための対策と注意点

ここまででは焼肉屋開業で必要な準備をお伝えしてきましたが、必要なものを揃えるだけでは、売り上げを伸ばしていくことは難しいと言えます。

実際に飲食店は他の業種に比べ最も廃業率が高く、開業から3年以内の廃業率は70%、5年で80%、10年では90%以上と言われているほど生き残るのが難しい業種です。

さらに2023年1-8月の「焼肉店」の倒産は16件も発生しており、2023年の倒産数は前年同期間の約3倍にも増えています。

※引用:「焼肉店」倒産動向|プレスリリース

上記結果からもわかるように、焼肉屋で営業を継続していくのは非常に難しいと言えるでしょう。

そのため、開業後に成功し売上を上げるためには、開業前から綿密な計画と対策が必要です。

具体的には、ここから紹介する2つのポイントを意識するようにしましょう。

利益計算をできるようにしておく

焼肉屋の開業で成功するためには、原価計算を適切に行うことが重要です。食材の仕入れコスト、調理費、労働費など、すべての費用を正確に把握することが利益を最大化する上で不可欠です。

原価計算の欠如は、利益率の低下や経営の持続に影響を及ぼす可能性があります。また必ず把握しておくべき会計知識に、損益分岐点があります。

損益分岐点とは、売上とコストがちょうど相殺され、利益がゼロになるポイントを指します。言い換えれば、損益分岐点は売上がコストを越える状態であり、それ以上の売上が利益になるといった状態です。

損益分岐点を知ることは、飲食店を営業するために最低限必要な売上金額がわかるということでもあります。これがわかれば、正しい売上目標を立てることができるでしょう。

その他売上を上げるために必要な基礎知識や営業利益の考え方など、会計知識について詳しくは関連記事「飲食店が売り上げをあげるために必要な18の施策 | 基礎知識や事例も紹介」で解説していますので、併せてご覧ください。

儲かるための工夫を欠かさない

前述の通り焼肉業界は競争が激しいため、儲かるためへの工夫が欠かせません。

また焼肉屋は加工が少なく利益率が低いため、客単価を向上させる工夫が必要です。その一環として、おすすめなのがモバイルオーダーシステムの導入です。

モバイルオーダーを導入することで、顧客の利便性やサービス向上が期待でき、客単価のアップが期待できます。

実際にモバイルオーダーを利用することで以下画像のようなメリットがある他、「平均注文回数が3割増加した」「客単価を7%アップしながら、人件費は30%削減できた」という事例もあります。

そのため、売り上げを伸ばすための施策を検討中の方はモバイルオーダーの導入の検討がおすすめです。

焼肉屋経営の事例からわかる成功のコツは「顧客理解」

焼肉屋の経営で成功するためには、細かな工夫と顧客との強いコミュニケーションが求められます。

常に市場動向を把握し、柔軟かつ効果的な経営戦略を展開することが大切です。

そこで本項では、厳しい焼肉業界の中でも成功している焼肉店として、事例を2つご紹介します。

来店情報の蓄積で信頼関係を強固に|焼肉の名門 天壇 赤坂店

焼肉屋「天壇」では、既存のお客様との信頼関係の構築を重視しており、お客様に合わせたサービスを提供する工夫を行っています。

具体的には顧客台帳を活用して、全従業員がリピーターを把握する仕組みや、2回目の来店者には特別なサービスを提供できる仕組みを構築しました。

これらの施策により、顧客の満足度が向上するだけでなく、コミュニケーションのきっかけとなったり、顧客との信頼関係が強化されリピーターの増加に繋がったりました。

焼肉屋「天壇」の成功事例から見ると、顧客台帳の有効な活用がリピーター獲得の成功に大きく影響したことがわかります。

顧客情報を活用してターゲットを絞った戦略を実行|焼肉 肉の大山

「肉の大山」の成功事例は、新型コロナウイルスの緊急事態宣言下でテイクアウト営業において顧客台帳を活用し、効果的なSMS告知を行いました。

具体的にはトレタを使用して得た顧客情報を活用し、SMSでコアなファンに的確にテイクアウト情報を告知しました。

また、デザートのデータ分析やSMSの効果的な配信タイミングにも注力して、状況に柔軟に対応できたことが成功の鍵だったと話します。

「肉の大山」の成功事例から見ると、顧客台帳を利用した細やかなデータ分析と顧客の嗜好に合わせた戦略が、売上の向上に大きく寄与したことがわかります。

まとめ|焼肉開業は綿密な計画が成功のコツ!

今回は焼肉屋の開業について解説しました。最後に結論となるポイントをまとめます。

開業に必要な準備と手順7ステップ

準備が不十分だと、他の競合店との差別化や独自性を打ち出すことが難しくなるため、入念な準備が必要

  • STEP1:戦略設計・事業計画書の作成

→地域の客層理解・競合店舗の調査をもとにコンセプトを設計する

  • STEP2:開業する立地と物件を選ぶ

→居抜き物件で費用を抑えることが可能

  • STEP3:開業資金・運転資金を調達する
  • STEP4:焼肉屋開業に必要な資格・許可を取得する

→焼肉屋に必要な資格・届出は「食品衛生責任者」「保健所の営業許可」「防火対象物使用届」の3つ

  • STEP5:仕入れ先を決めておく
  • STEP6:内外装工事をして、設備を設置する

→内外装・設置はなるべく抑えて、コストは食材に回すのがおすすめ

  • STEP7:開業の最終調整を行う

→スタッフの育成、集客などを行う

焼肉屋開業で失敗しないための対策と注意点

  • 利益計算をできるようにしておく
  • 儲かるための工夫を欠かさない

→利益率も高くないため、客単価を上げる必要もある

モバイルオーダーの導入がおすすめ

焼肉屋経営の事例からわかる成功のコツは「顧客理解」

  • 来店情報の蓄積で信頼関係を強固に|焼肉の名門 天壇 赤坂店
  • 顧客情報を活用してターゲットを絞った戦略を実行|焼肉 肉の大山

焼肉屋の開業で失敗を避けるためには、利益計算と客単価を高めるための工夫が欠かせません。

また、細かな工夫と顧客との強いコミュニケーションを用いた「顧客理解」が成功への鍵となるでしょう。

そのためには本記事でご紹介した開業までのステップを丁寧に進め、スムーズかつ成功を収めるための土台を築きましょう。

その上で開業後もお客様とのコミュニケーションを大切にし、定期的な改善を行いながら、焼肉店の繁栄を迎えましょう。