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飲食店専門の開業プラットフォーム「ミセツク」を運営する株式会社A2TのCOOが「失敗しない開業スケジュールと事業計画書」の作り方を解説します。

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未経験者がカフェを開業する4つの方法

「未経験じゃカフェ開業なんて無理だよね…」

これからカフェを開業する方の中には、未経験の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

しっかりとステップを踏んでいけば未経験でもカフェは開業できます。ここでは未経験者がカフェを開業する方法を4つ紹介します。

  1. カフェで働いて開業する
  2. フランチャイズに加盟する
  3. カフェスクールに通って開業する
  4. 間借りやポップアップで開業する

カフェで働いて開業する

カフェで働くのは、開業を目指すルートとしては最も堅実な方法です。実際に現場で働くことでカフェの業務全般を経験することができるので、開業後もスムーズに営業に臨めます。

また、必要な機材や備品、賃料の相場などリアルな情報も得ることができるので、経済的な面でも計画を立てやすくなるでしょう。

現在、飲食業界は人手不足なので未経験でも入りやすい状況にありますが、カフェといってもさまざまなコンセプトのカフェがあります。自分のやりたいカフェがどのようなお店なのかが決まっているのなら、それに似たカフェで働くようにしましょう。

ただ、この方法は開業まで時間がかかります。「すぐにでもカフェで開業したい!」という方には不向きな方法といえます。

フランチャイズに加盟する

カフェのフランチャイズに加盟するのも、ひとつの方法です。フランチャイズとは、本部と加盟店が契約をし、本部が開発したメニューやブランド力を使用する対価として加盟料やロイヤリティを支払うというビジネスモデルです。

フランチャイズはメニュー開発やオペレーションが決まっているため、加盟店は営業に注力できるのがメリットです。また、開業前から開業後まで本部のサポートがあるので、未経験者でも安心して開業することができるでしょう。

カフェのフランチャイズは、ホットサンド専門店やエリアに根差した小規模チェーンからコメダ珈琲やPRONTなど大手まで幅広く存在します。

加盟料やロイヤリティはフランチャイズによってさまざまです。加盟する場合は費用としてどのくらいの金額が必要なのか、開業後もどのぐらいの金額を支払うのかをシミュレーションしておくことが大切です。

カフェスクールに通って開業する

カフェスクールでは、カフェの開業に向けて必要な知識を学ぶことができます。

これまでのカフェスクールは珈琲作りを実習で学んだり、座学でビジネス論を学ぶなど就職するための役割を果たしていました。

しかし最近では、知識だけではなく、現場経験もしっかりと積めるカフェスクールも多く誕生しています。主なカリキュラムとしてはカフェの運営に必要な知識はもちろん、インターン生としてカフェの現場で働くことができたり、事業計画を一緒に練ってくれるなど開業を実現するための内容になっています。

高齢者向け専用のコースを設けているカフェスクールもあるなど、若年層から高齢者層まで開業実現に向けて心強い場所といえるでしょう。

間借りやポップアップで開業する

近年、定休日やアイドルタイムを有効活用するために場所をレンタルする飲食店が増えてきました。そうした飲食店のレンタルスペースを利用すれば、間借りして週末だけカフェの営業ができたり、ポップアップとして1日限定のカフェをオープンすることも可能です。

間借り営業やポップアップは、厨房設備や食器、客席などカフェ営業に必要なものが揃っているため、開業費用や運営費用を安く抑えることができます。また、物件を借りるリスクもないため、試験的にカフェを開業してみたいという方にはおすすめな方法です。

レンタルスペースの探し方は、専用のポータルサイトがあるのでそれらを活用して場所を探しましょう。

▼代表的なレンタルスペースのポータルサイト

カフェを開業するまでの流れ

カフェを開業するためには、開業に至るまでのステップも把握しておくとイメージが湧きやすくなり、実現に近づくことができます。

開業までの大まかな流れは下記の通りです。

  • 事業計画を立てる
  • 資金を集める
  • 物件を探す
  • 開業に必要な許可や資格を取得する
  • 開業準備
  • 開業

カフェの開業に向けてすぐに物件探しなどの準備に入りたいところですが、まずはカフェの事業計画を立てましょう。

特に、どのようなお店にしたいのか、コンセプトを明確にすることが大切です。コンセプトが明確にあれば、メニュー開発や店舗の内装などさまざまな面で統一感が出て、顧客に魅力が伝わりやすくなります。

また、開業には当然資金が必要です。どのように開業資金を集めていくかも考えましょう。(開業に必要な資金は次章で解説します。)

事業計画や開業資金の目処がついたら、物件を探します。物件探しはすぐに見つかる場合もあれば、数ヶ月〜1年以上かかることもあります。立地は集客に関わる重要な部分なので、焦らず妥協せずに探し続けましょう。

さらに、カフェの開業には指定の資格や認可が必要です。こちらも時間がかかるため、物件が決まったら早めに取得しておくことをおすすめします。

物件が決まれば、厨房設備やインテリアの施工工事や、備品の購入など営業スタートに向けて準備を進めます。人員が必要であれば採用活動も行い、研修も実施して滞りなく営業できるように備えます。

準備が整ったら、いざ営業スタート!以上が新規でカフェを開業する場合の大まかな流れとなります。

カフェの開業に必要な資金

さて、カフェの開業には、どのくらいの資金が必要なのでしょうか。

これは新築、改装、居抜きなど契約の内容によって金額は大きく異なります。新規開業として一般的な平均額としては600万円~900万円程度と言われています。(参考:「相場がわかる!カフェ開業に必要な初期費用と節約法!」八王子・立川起業支援センターより)

開業費用は、さまざまな面で発生します。具体的には以下の通りです。

  • 物件の契約にまつわる費用
  • 施工費
  • 什器や消耗品などの備品代
  • 採用活動など人件費
  • 宣伝・広告費

それぞれ解説します。

物件の契約にまつわる費用

物件を契約する場合、賃料や保証金などの費用が発生します。これは飲食店の開業に限らず、一般的な住宅の賃貸契約でもあることなので、イメージしやすいのではないでしょうか。

発生する費用は規模や地域にもよりますが家賃の大体8〜13ヶ月分と言われており、開業費用としては大きな割合を占めます。

以下は物件契約時に発生する主な費用項目です。

保証金
契約時に担保として貸主に渡すお金のこと。家賃の滞納などがなければ契約終了時に返金される。
礼金物件を貸してくれる貸主に対してお礼の意味を込めて渡すお金のこと。
仲介手数料
不動産業者を介して契約する際は、その業者に対して手数料が発生する。
前家賃
前もって支払う家賃のこと。一般的には入居する月と翌月分の家賃を併せて支払う。

施工費(厨房・ホール内装)

物件を新規で契約する場合は、厨房機器や内装など飲食店に必要な設備を整備しなければなりません。その施工費も大きな金額が発生します。

店舗全体では電気やガス、水道や空調など営業に最低限必要なインフラ設備の工事が必要です。

厨房には、ガスやコンロなどの調理設備、グリストラップ、食器用洗浄機やシンクなど水場周り。ホールは客席やドリンクカウンターなどの水場周り、お手洗いなどが挙げられます。

施工費は坪単価で比較されることが多く、一般的に1坪30〜100万と大きく異なります。

什器や消耗品などの備品代

カフェの運営では、食器やコーヒーカップなどの店舗什器や、客席の紙ナフキンやコーヒー用のミルクなどさまざまな備品が必要です。予め必要なものをリスト化し、スムーズに購入できるようにしておきましょう。

採用活動費や人件費

スタッフを雇って数人でカフェを運営していく場合、採用活動を行います。採用活動はSNSでの告知や店舗の外観での張り紙など無料で行えるものもありますが、集まらない場合は有料の求人媒体の利用も検討した方がよいでしょう。

媒体の費用は掲載期間と記事の大きさによって異なり、数万円〜数十万円と金額の幅も大きく異なります。ただ、高い料金を支払えば必ず採用できるというものではないため、費用対効果を考えた上で判断するようにしましょう。

採用が成功すれば人件費が発生します。人件費も飲食店の運営費用として大きな割合を占めるコストのひとつです。一般的には食材の原価と併せて6割に抑えるのが望ましいとされています。食材費と人件費についての詳しい解説は「飲食店の人件費率の最適解とは?FLコストの重要性や計算方法を紹介」をご覧ください。

宣伝・広告費

カフェを開業したら、まず顧客にお店の存在を認知してもらうことが大切です。そのために宣伝告知を積極的に行っていきましょう。

宣伝方法としてはSNSやチラシ配り、友人の紹介など無料で行えるものだけでもさまざまな方法があります。一方、有料であれば、SNS広告やインフルエンサーマーケティングなどより多くの人に知ってもらう方法が考えられます。

開店記念キャンペーンや特典のプレゼントなども集客には有効です。自分たちが集めたいターゲット層や立地に合った手法が何なのかを見極めて実践するようにしましょう。

カフェの開業資金の集め方

「数百万円の開業資金なんて、持ってない…」

そう諦めてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、カフェの開業資金は、最初から全額を自分で負担する必要はありません。一般的には自己資金を担保に融資を受けたり、借りるなどして資金を集めます。

具体的にどのように開業資金を集めていけばいいのか、その方法を解説します。

自己資金を貯める

全て自己資金でまかなわなくても良いとお伝えしましたが、一定の金額は必要です。一般的には、開業資金の20〜30%は用意した方がよいと言われています。

自己資金があることで信用が高まり、金融機関や国庫から資金の融資を受けやすくなります。また、融資額も全額よりは少なくて済むため、返済の負担も軽くなります。自己資金を貯めるのは時間と労力がかかりますが、なるべく貯めるようにしておきましょう。

融資を受ける

融資とは、金融機関などが事業に必要な資金を事業者に貸し出すことをいいます。もちろん開業費用の融資を申請することも可能です。

融資を行っている主な機関は下記の通りです。

  • 日本政策金融公庫
  • 金融機関(銀行・信用金庫)
  • 都道府県等自治体の制度融資
  • 信用保証協会の保証付融資

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫とは、国が100%出資して設立された金融機関です。低金利で資金を借りることができ、「新創業融資制度」や「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」など開業者にとって魅力的な融資制度が揃っています。

制度によって条件は異なりますが、中には自己資金が0円でも申請できるものもあります。返済期間は長期間での設定が可能なのでゆとりをもって返済できます。

金融機関(銀行・信用金庫)

銀行や信用金庫も融資機関のひとつです。信頼性は高いですが、審査が非常に厳格なため、誰もが融資を受けられるわけではありません。審査では事業計画書の内容や現在の資産状況などを厳しくチェックされます。信用保証協会の協力が得られれば、審査には通過しやすくなります。

信用保証協会の保証付融資

信用保証協会とは、金融機関からの融資を受ける際にサポートをしてくれる団体で、全国47都道府県で設立されています。信用保証協会が直接融資するわけではありませんが、自治体によっては融資制度を紹介してくれるところもあります。(例:東京信用保証協会「小口零細企業保証制度」など)

地方自治体や金融機関などによる制度融資

制度融資は、地方自治体や民間の金融機関、信用保証協会が連携して立ち上げられた制度です。融資あっせん制度という名称で呼ばれることもあります。上限額は地方自治体によって異なりますが、一般的には数百万円〜数千万円の融資を低利率で受けることができます。

ただ、融資を受けるまでには厳格な審査があり時間もかかるため、開業までゆとりのある人が対象となります。

投資者を探す

直接投資をしてもらえるような投資家を探すのも、ひとつの方法です。周りに投資家の知人がいないという方は、「Founder」のような起業家と投資家を結ぶマッチングサイトを活用するのもよいでしょう。

クラウドファンディングを活用する

クラウドファンディングは新規商品や計画中の事業などを掲載し、支援してくれる人から資金を集めるサービスです。クラウドファンディングの支援者は「面白いモノが欲しい!」「情熱のこもった人を支援したい!」という層が多く、魅力的なカフェだと思ってもらえれば支援者も多く集まるでしょう。

投資家を探す方法と似ているかもしれませんが、クラウドファンディングの場合は、支援者「リターン」といって金額に見合ったお礼をしなければなりません。また、利用手数料として集まった資金の10〜20%程度を運営会社に支払う必要があります。

番外編 | 補助金・助成金を活用する

補助金・助成金は国や地方公共団体などが事業活動に必要な経費の一部を負担してくれる制度です。基本的に返済義務のないものが多く、金額の上限も数千万円のものもあるなど高額なコストもカバーしてくれます。

ただ、あくまで必要経費の補填であるため、費用を負担した後に支払われます。また。申請者全てに支給されるわけではなく、事業計画書などの審査を経て採択者が決定されるという点も注意しましょう。

補助金・助成金についてより詳しく知りたい方は「飲食店が使える給付金 2023年版|補助金や助成金との違いや事例も紹介」を併せてご覧ください。

カフェの開業に必要な資格・許可

カフェを開業するためには以下のような資格や許可が必要です。

  • 食品衛生責任者資格
  • 防火対象物物使用開始届
  • 飲食店営業許可申請

それぞれ解説します。

食品衛生責任者資格

食品衛生責任者資格とは、食品にまつわる衛生面を管理するための国家資格です。飲食店は衛生面に問題があれば食中毒の発生など身体に重大な悪影響を起こす可能性を持つ業態です。安全に運営していくためにも、必ず1人はこの資格取得者を配置しなければなりません。

取得するためには、各都道府県に設立された食品衛生協会が開催している講習を受講します。約1万円で受講可能で、10時〜17時頃に渡って開催されます。修了試験に合格すれば、資格を取得することができます。

防火対象物物使用開始届

新築物件でのカフェ開業や、テナントに入って内装工事を行って開業する場合は、防火対象物使用開始届を消防署に提出しなければなりません。

住所や業態の内容、消防設備や避難経路などを明確にすることで、火災を防ぐことに繋がります。収容人数が30人以上の場合は、さらに防火管理者も必要になるので注意しましょう。

飲食店営業許可申請

飲食店の営業許可は保健所に申請を行います。以前、カフェや喫茶店など本格的な調理を行わない業態は「喫茶店営業許可証」で営業することができましたが、2021年6月に廃止となり、飲食店営業許可証に統一されています。

営業許可を得ていない場合は罰則も設けられているので、必ず取得しましょう。営業許可を得るためには、食品衛生責任者がいなければなりません。書式や条件などは各管轄の保健所によって異なるため、確認するようにしましょう。

カフェの開業に必要なスキル

カフェの業務は多岐に渡ります。開業後、順調に運営していくためにどのようなスキルが求められるのでしょうか?具体的に必要なスキルとして考えられるのは、下記の通りです。

  • 商品の知識・技術
  • 接客力
  • 調理技術
  • 経理
  • 経営
  • マーケティング力
  • チームで各スキルを補う

それぞれ解説します。

商品の知識・技術

カフェのコンセプトにもよりますが、一般的な主役といえばコーヒー。コーヒーは豆の種類や淹れ方によって味わいが大きく変わる商材です。日常的に親しむ人も多いため、より専門的な知識や淹れる技術が求められます。

学習方法は専門書を読んだり、スクールに通うなどが考えられます。コーヒーを例に出しましたが、コーヒーに限らずお店のウリとなる商品に関する知識や技術は修得しておくことが大切です。

接客力

接客はまさにカフェの顔。リピーター作りにも大きく関わっており、売上に大きく影響するスキルといえます。「笑顔で楽しくおもてなしを」と言葉で言うのは簡単ですが、忙しいときや体調のコンディションが悪いときなどは、実践できないときもあるでしょう。

接客力を向上するためには、接客の基礎を身につけるだけでなく、環境面も整えることが大切です。必要に応じてマニュアルの作成も有効です。このような接客力の向上についてより具体的に知りたい方は「飲食店で実施すべき接客力の磨き方!好印象でリピータを獲得する方法」を併せてご覧ください。

調理技術

これまでカフェの魅力といえばリラックスできる環境だったり、美味しいコーヒーが飲める場所というイメージがありましたが、最近は料理にも注力するカフェが多くなってきました。そのため、調理技術も集客に左右する重要な要素です。

高い調理技術があれば美味しい料理を作れることはもちろん、魅力的なメニューを開発するためのアイディアも生まれるようになります。

経理

経理とは、事業にまつわる資金の流れを管理する業務です。カフェの運営をしていくためには店舗全体のお金の流れを把握しなければなりません。そのため、さまざまな経費や日々の売上の計上業務も非常に重要です。

経営

カフェを開業するということは、経営者になるということ。店舗業務だけではなく、ひとつの事業として成立させていくために自ら率先して舵取りを行なっていかなければなりません。

経営を学ぶ場としてはビジネススクールやカフェスクールがありますが、実際は直接現場で実践しながら学ぶという人が多いでしょう。

マーケティング

安定的な集客を実現していくためには、いい商品・いいサービスを提供するだけでは困難です。消費者のニーズは多様化し、さまざまなカフェが誕生し、顧客にとって選択肢が広がっています。そうして競争が激化している中で重要なのが、このマーケティング力です。

マーケティングとは売れるための仕組みづくり全般をいいます。自分たちはどのような顧客に対してどのような価値を提供できるのか、それを実現するためにどのような商品やサービスを生み出していくのかを考え、実践していくことが大切です。

チームで各スキルを補う

ここまで紹介したスキルは、全て1人でまかなう必要はありません。スタッフに仕事として役割分担していくこと。1人でカフェを開業する場合は自らやらなければならないことも増えますが、経理を外注するなど外部の力を活用しましょう。

適材適所を実現していくことも、開業者の重要な役割です。

これからカフェの開業で成功するために重要な3つのポイント

最後に、これからカフェを開業し成功するために何が大切なのかを解説します。ポイントは以下の3つです。

  • ポイント①業務効率をアップして次世代の飲食店を
  • ポイント②テイクアウト・デリバリーを視野に入れる
  • ポイント③”働きたい!”と思ってもらえるお店作り

各ポイントを学ぶ前に、飲食業界を取り巻く状況やトレンドを把握しておくことも大切です。なのでまずは昨今の飲食業界の状況について解説します。

消費者の行動やトレンドを踏まえて戦略を立てよう

厚生労働省の調査によると、喫茶業界は2015年以降微増ながら市場規模を拡大してきたものの、新型コロナの影響で2020年以降に市場規模が大幅に縮小しました。しかし、2022年になると売上高は前年比117%と回復の基調を見せています。

(引用:生活衛生関係営業の生産性向上を図るためのガイドライン・マニュアル(2021年度版)厚生労働省HP)

(引用:「日本フードサービス協会会員社による外食産業市場動向調査令和4年年間結果」)

また、全日本コーヒー協会の統計を見ると、カフェの主軸商品のひとつであるコーヒーへの需要は延びていることがわかります。

(引用:「コーヒー需要動向調査」全日本コーヒー協会)

このグラフを見ると、店舗よりも自宅で楽しむ人が増えているという傾向が見て取れます。この消費者行動の変容も踏まえた上で戦略を立てていく必要があるでしょう。

深刻な人手不足も対策すべき問題のひとつ

いま、飲食店全体で問題視されている人手不足の対策も考えなければなりません。

飲食店はコロナ禍以降、さまざまな業界の中でも人手不足が深刻な状態です。帝国データバンクの調査によると、「現在、人手不足である」と回答した企業は業界平均で51.4%ですが、飲食店は正社員・非正規社員共にその平均値を上回っています。どちらも年々割合が増加しており、特に非正規社員は大幅に悪化して業界トップに君臨しています。

(引用:「人手不足に対する企業の動向調査(2023年7月)」帝国データバンク

カフェでは非正規社員の存在は営業していく上で重要です。非正規社員を上手く配置することで、正社員の業務負担を軽減することができます。これからカフェを開業するのであれば、この点も無視することはできないでしょう。

以上、カフェ業界を取り巻く現況でした。これらを踏まえた上で、カフェの開業で成功していくためのポイントを解説します。

ポイント①業務効率をアップして次世代の飲食店を

カフェの開業を成功させたいのなら、なるべく業務を効率化して従業員や顧客満足度を高めていきましょう。

最近では、飲食店においてDXの重要性が高まっています。DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、デジタルツールなどを導入して業務効率化を行い、組織に新たな価値を生む取り組み全般をいいます。

デジタルツールとは、注文をスマートフォンやタブレットで注文できるセルフオーダーシステムや、予約管理や顧客情報の蓄積が可能な予約管理システムなどが挙げられます。

注意すべきなのは、デジタルツールの導入がゴールではないということです。デジタルツールを導入することで業務効率化を実現し、浮いた時間や労力によって少人数営業の実現や、おもてなしに注力するなど、店舗や顧客にとってプラスαを生み出すのが目的であることを忘れないようにしましょう。

より詳しく飲食店のDXについて知りたい方は「飲食店DX成功事例8選|企業がデジタル化に取り組むメリットも紹介」を併せてご覧ください。

ポイント②テイクアウト・デリバリーを視野に入れる

コーヒーを自宅で楽しむ人が急増していると伝えましたが、以前から飲食業界はコロナ禍以降に7割市場になると言われてきました。今後はイートインだけでなく、店舗以外の場所での売上を獲得していくのもポイントとなります。

その中で、テイクアウトやデリバリーは有効的な手法のひとつです。テイクアウトやデリバリーなら、既存の店舗でメニューを専用の容器に詰めるだけでスタートできます。新たな人件費も必要ありません。

カフェなら珈琲豆やマグカップなど小売販売できる商材も作りやすいです。ただ、自家焙煎したコーヒー豆や挽いたコーヒー豆を販売するときには届出が必要です。このように内容によって届出が必要になる場合もあるので、始める前には保健所に相談しておくと安心してスタートできるでしょう。

より詳しくテイクアウトについて知りたい方は「飲食店テイクアウトを始める6ステップ|成功の秘訣とコロナの影響を解説」を併せてご覧ください。

ポイント③”働きたい!”と思ってもらえるお店作り

人手不足の対策というと「採用活動に注力しよう!」と考えてしまいがちです。それももちろん大切なことですが、まずは人が辞めない環境を整えることが重要です。

スタッフが働きやすい環境でなければ、せっかく採用してもすぐに辞めてしまい、再び採用活動を繰り返すという負のループに陥ります。

給与や休日などの待遇面の改善や、失敗してもカバーし合えるようなポジティブなチームの雰囲気作りなど、スタッフに「ここで働きたい」と思ってもらえるような環境整備も怠らないようにしましょう。

より詳しく飲食店の人手不足について知りたい方は「飲食店が人手不足に陥る8つの理由|厳しい現状と効果的な解決策とは」を併せてご覧ください。

まとめ

今回は、カフェの開業について解説しました。最後にポイントをまとめます。

1章 未経験者がカフェを開業する4つの方法

  1. カフェで働いて開業する
  2. フランチャイズに加盟する
  3. カフェスクールに通って開業する
  4. 間借りやポップアップで開業する

2章 カフェを開業するまでの流れ

  • 事業計画を立てる
  • 資金を集める
  • 物件を探す
  • 開業に必要な許可や資格を取得する
  • 開業準備
  • 開業

3章 カフェの開業に必要な資金

  • 一般的には平均600万〜900万円程度が必要
  • 以下のような費用が発生する

 物件の契約にまつわる費用

 施工費

 什器や消耗品などの備品代

 採用活動など人件費

 宣伝・広告費

4章 カフェの開業資金の集め方

  • 自己資金を貯める
  • 日本政策金融公庫などから融資を受ける
  • 直接投資してくれる人を探す
  • クラウドファンディングを活用する
  • 補助金や助成金を活用する

5章 カフェの開業に必要な資格・許可

  • 必須の資格や許可

 食品衛生責任者資格

 防火対象物物使用開始届

 飲食店営業許可申請

  • 他にも場合によって必要な資格や許可がある

6章 カフェの開業に必要なスキル

  • 商品の知識・技術
  • 接客力
  • 調理技術
  • 経理
  • 経営
  • マーケティング力
  • 適材適所で各スキルを補完していくことが大切

7章 これからカフェの開業で成功するために重要な3つのポイント

  • ポイント①業務効率をアップして次世代の飲食店を
  • ポイント②テイクアウト・デリバリーを視野に入れる
  • ポイント③”働きたい!”と思ってもらえるお店作り

カフェは人々を癒したり、交流を育む貴重な場所です。開業して成功するのは簡単なことではないかもしれませんが、素敵なカフェ作りを実現し、多くのお客様と出会える場所となることを願っております。