キッチンカーは他の飲食店に比べて、自分の好きな場所や時間で販売できる高い柔軟性が特徴です。

そのためキッチンカーでの営業は、自分の時間を柔軟に活用したい人や、少額の開業資金からスタートしてみたいと考える方には、おすすめの開業方法であると言えるでしょう。

本記事では、キッチンカーを開業する4つのメリットや、キッチンカーを開業するまでの流れ6ステップなどについて詳しく解説しています。

後半ではキッチンカーで失敗しがちなポイントや対策についてもお伝えしているので、キッチンカーでの開業を検討している方はぜひ参考にしてください。

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キッチンカーを開業する4つのメリット

キッチンカーでの開業は、一般的な飲食店と異なる点が多くあります。その中でも、営業していく中でメリットとして働くポイントを4つ紹介します。

  • ・開業資金・ランニングコストが安い
  • ・開業までに時間がかからない
  • ・好きな場所・時間で販売できる
  • ・人件費がかからない

開業資金・ランニングコストが安い

キッチンカーを開業する場合は、一般的な店舗とは異なり、店舗購入費や内装費がかかりません。そのため、店舗開業に比べて比較的少ない開業資金でのスタートが可能です。
一般的な飲食店の開業資金は1000万円ほどであるのに対し、キッチンカーの場合は300万円程度に抑えることができます。

またキッチンカーは移動販売を行うため、固定された建物や店舗を借りる必要がありません。賃貸料や建物の維持管理費用が削減できるため、ランニングコストも低く抑えられます。

さらに従業員も少ない傾向にあり、人件費や労働コストも低く抑えられることがあります。

開業までに時間がかからない

キッチンカーでの開業は、煩雑な手続きや準備が比較的少ないため、事業を迅速に始めることが可能です。
一般的な飲食店は開業準備に半年〜1年ほどかかると言われていますが、キッチンカーの場合は3ヶ月ほどで開業が可能です。

一般的な店舗型レストランや飲食店のような建設や設備の整備を待つ必要がないためです。
この素早いスタートは、早く事業に取り掛かりたい人にとっては、非常に魅力的な要素となるでしょう。

好きな場所・時間で販売できる

キッチンカーの最大のメリットは、自分の好きな場所や時間で販売できる柔軟性とも言えます。移動販売の自由度の高さは、営業地域や販売時間を自由に設定できる点にあります。

そのためキッチンカーでの営業は、自分の時間を柔軟に活用したい人や、新しい場所で料理を提供することに興味がある人に向いているでしょう。

人件費がかからない

キッチンカーの運営では、従業員の給与費用を抑えることができます。小規模で運営するため、オーナー自身や家族など、少数の人材で事業を運営することが可能です。
そのため、人件費を抑えながらも効率的にビジネスを展開したいという方には大きなメリットとなるでしょう。

キッチンカーを開業するまでの流れ6ステップ

ここまでは、キッチンカーを開業する4つのメリットをお伝えしましたが、実際に開業するとなると準備を進めていく必要があります。

そこでここからは、キッチンカーを開業するまでの手順に沿って、準備すべきものや資格などについて解説していきます。

  • STEP1:事業計画を作成する
  • STEP2:キッチンカーで販売するメニューを決める
  • STEP3:資金調達をする
  • STEP4:キッチンカーを調達する
  • STEP5:資格・届出の提出
  • STEP6:開業準備を進める・出店場所を探す

STEP1:事業計画を作成する

キッチンカーを開業するにあたり、ビジネスの目標や戦略、収支予測などを含む事業計画を作成します。事業計画は、事業の方向性を定める重要なガイドとなります
事業計画では、キッチンカーのビジョン、目標、販売戦略、予算、収支予測などを詳細に記述します。

例えば、「キッチンカーで提供する特製バーガーメニューの販売数を初年度で月平均500個目指す」といった具体的な目標を立てることが重要です。

STEP2:キッチンカーで販売するメニューを決める

販売する料理やメニューを選定し、ターゲット顧客層や需要に合ったメニューを決めるようにしましょう。

メニューは、顧客の興味を引き、競合店との差別化を図るために重要です。またシンプルなメニューにすることによって、食材の在庫管理や調理プロセスを効率化することもできます。

以下はキッチンカーでの販売で人気のメニューです。

  • ハンバーガー
  • タコス
  • ピザスライス
  • ホットドッグ
  • フライドチキン

キッチンカーの特長や自身の料理スタイルを反映したり、地域の需要に合わせたりすることで、より魅力的な商品名やメニューを考案することができます。

STEP3:資金調達をする

キッチンカーの開業資金は、最初から全額を自分で負担する必要はありません。一般的には自己資金を担保に融資を受けたり、借りるなどして資金を集めます。

具体的にどのように開業資金を集めていけばいいのか、方法を3つ紹介します。

自己資金を貯める

全て自己資金でまかなわなくても良いとお伝えしましたが、一定の金額は必要です。一般的には、開業資金の20〜30%は用意した方がよいと言われています。

自己資金があることで信用が高まり、金融機関や国庫から資金の融資を受けやすくなります。また、融資額も全額よりは少なくて済むため、返済の負担も軽くなります。自己資金を貯めるのは時間と労力がかかりますが、なるべく貯めるようにしておきましょう。

補助金・助成金を活用する

金融機関からの融資は、必要な資金を調達するための一つの重要な手段です。銀行、信用組合、ベンチャーキャピタルなどから、事業規模に合った金融機関を選ぶようにしましょう。

また、融資を受けることで資金を調達できますが、返済が必要となります。

融資申請を受けるためには、正確な情報提供や計画の具体度が重要です。具体的な事業計画書を作成できるように、資金の使途や返済計画を明確にしておく必要があります。
事業計画書の作成時には、ターゲットやエリア、売上収支などを適切に想定して、投資家や銀行なども安心して融資できる内容を記載しましょう。

また、綿密な計画に基づいて作成した事業計画書は、開業後もお店の目標や方向性を指し示してくれる重要なアイテムになります。

金融機関に融資申請をする

地方自治体や商工会議所、経済産業省などから提供される補助金や助成金を活用する方法です。特定の条件を満たすことで、一定額の資金を受け取ることができます。どちらも返済の義務はありません。

現在では、新型コロナウイルスの影響も相まって、飲食店の9割以上の店舗が何らかの給付金・助成金・補助金を利用しているようです。

※引用:飲食店リサーチについて|シンクロ・フード

飲食店が使えるその他給付金について、詳しくは関連記事「飲食店が使える給付金 2023年版|補助金や助成金との違いや事例も紹介」で解説しているのでご参考ください。

これらの方法を駆使して、必要な資金を調達するための戦略を立てましょう。

STEP4:キッチンカーを調達する

事業計画や販売するメニューに適したキッチンカーを購入し、必要に応じて改装を行います。

キッチンカーは、事業の中核となるため、機能性や効率性が重要です。キッチンカーを購入またはレンタルする際には、予算、ニーズ、将来のビジョンを考慮して最適な選択を取るようにしましょう。

メリットデメリット
新車のキッチンカーを業者に依頼・信頼性が高い
・カスタマイズ可能
・メンテナンスや保証が付属
・高価格
・納期が長いことがある
中古キッチンカーを購入・価格が安い
・既に改装・設備が整っていることがある
・幅広い選択肢がある
・摩耗や修理が必要な場合がある
・理想的な条件のものを見つけるのが難しい
キッチンカーをレンタル・初期投資が少ない
・運営や責任が業者に委託される
・長期利用でコストがかさむことがある
・カスタマイズや特注が制限される

また、業者や販売店との十分なコミュニケーションをとり、納得のいく決定を行うことも大切です。

ここからは3つの方法についてひとつずつ解説していきます。

新車のキッチンカーを業者に依頼する

新車のキッチンカーを業者に依頼する際のメリットは、カスタマイズや特注のオプションが可能で、自分の理想に合ったキッチンカーを作ることができる点です。

また、新車で故障が起きにくい上に、メンテナンスや保証が一般的に付いてくるため、万が一の際への安心感があるでしょう。

一方で、デメリットとしては新車価格が高く、初期投資が大きくなることです。また新車を注文する場合、製造や納品に時間がかかることがある場合があるので注意が必要です。

中古キッチンカーを購入する

中古キッチンカーを購入する際のメリットは、新車に比べて価格が手頃で初期投資が抑えられることです。

また、すでに改装や設備が整っているキッチンカーを選べば、即座に営業を開始することもできます。

一方で、使用歴による摩耗や修理が必要な箇所がある可能性がある点や、中古車市場では理想的な条件のものを見つけるのが難しいことがデメリットとして考えられます。

キッチンカーをレンタルする

キッチンカーをレンタルする利点は、初期投資が抑えられるため、リスクを最小限に抑えられることです。
気軽に始めることができるため、レンタル期間中にキッチンカーのニーズを判断し、継続か撤退かの判断ができます。

また、運営を業者に委託することができるため、手間や管理が軽減されることが挙げられます。

一方でデメリットとしては、長期間利用するとレンタル料金が積み重なり、購入に比べてコストがかさむ場合があることや、カスタマイズや特注のオプションが制限されることです。

つまりキッチンカーを購入またはレンタルする際には、予算やニーズを考慮し、各オプションのメリットとデメリットを比較した上で最適な選択を検討することが重要です。

STEP5:資格・届出の提出

飲食店を開業する際、場合によっては特定の資格を取得したり、届出を提出しなければなりません。
万が一資格の取得ができていない時や必要届出が漏れている場合は、法的な問題や信頼性の低下、事業の運営に支障をきたす可能性があります。

要件を満たした設計であるかを確認しながら開業準備を行うようにしましょう。

キッチンカー開業時に必要となる資格は「食品衛生責任者」と「保健所の営業許可」の2つです。

食品衛生責任者

飲食店営業許可証はたこ焼き屋だけでなく、カフェやレストランなど、飲食店を運営する際に必要な許可証です。この許可証は保健所に申請し、立ち会い検査を経て交付されます。

飲食店営業許可の取得には、食品衛生責任者の指定と設備・構造の要件を満たすことが必要です。申請から許可交付まで数週間を要するため、スケジュールに余裕を持たせて申請するようにしましょう。

保健所の営業許可

営業許可は、顧客に対して食品安全性と衛生面での信頼性を示すものです。衛生関連法令や規制に従っていることを意味し、店舗が法令を遵守して営業することを保証しています。

許可を取得することで、顧客が安心して飲食できる環境であることを示すことができるでしょう。

STEP6:開業準備を進める・出店場所を探す

最後にキッチンカーの設備や調理器具の準備を整えます。また、開業に適した出店場所を検討し、集客のための戦略を立てます。
SNSや地域コミュニティへの積極的な参加、イベント出店などを通じて、次の販売場所を探し続けることが大切です。

後述しますが、キッチンカーの開業で失敗しないためには顧客にアピールする販促活動も重要なため、集客も忘れずに行うようにしましょう。

キッチンカーで失敗しがちなポイント

キッチンカーでの開業は、一般的な飲食店と比較しても廃業率がかなり高いのが特徴です。

課題を事前に把握し、対策しておくことが極めて重要です。キッチンカーの廃業率が高い背景には、次のようなポイントが挙げられます。

  • 適切な出店場所が見つからない
  • 原価計算ができていない
  • 集客ができない 
  • オペレーションが整っていない

ここからは上記失敗に陥りがちな要因について、詳細と対策をお伝えします。

適切な出店場所が見つからない

適切な出店場所の選定は、キッチンカーが成功するかどうかに大きな影響を与えます。さらにキッチンカーで廃業に追い込まれる最も多い理由が、出店場所を見つけることが難しい点です。

キッチンカーで常に出店場所を確保するためには、以下のような対策を取ることがおすすめです。

  1. 1.地域のイベントやフェスティバルへ積極的に参加する
  2. 2.地域のコミュニティ団体や企業と提携してイベントに参加する
  3. 3.常設の屋台エリアやフードトラックパークがある地域に拠点を置く
  4. 4.SNSやウェブサイトを活用して最新情報を探す

出店場所を確保しながらも、競合他者との差別化や地域の需要を考え、戦略的な出店場所を見つけることが必要です。

原価計算ができていない

キッチンカー経営者は、料理の原価計算を適切に行うことが重要です。食材の仕入れコスト、調理費、労働費など、すべての費用を正確に把握することが利益を最大化する上で不可欠です。

原価計算の欠如は、利益率の低下や経営の持続に影響を及ぼす可能性があります。また必ず把握しておくべき会計知識に、損益分岐点があります。

損益分岐点とは、売上とコストがちょうど相殺され、利益がゼロになるポイントを指します。言い換えれば、損益分岐点は売上がコストを越える状態であり、それ以上の売上が利益になるといった状態です。

損益分岐点を知ることは、飲食店を営業するために最低限必要な売上金額がわかるということでもあります。これがわかれば、正しい売上目標を立てることができるでしょう。

その他売上を上げるために必要な基礎知識や営業利益の考え方など、会計知識について詳しくは関連記事「飲食店が売り上げをあげるために必要な18の施策 | 基礎知識や事例も紹介」で解説していますので、併せてご覧ください。

集客ができない 

集客活動は、キッチンカー経営をしていく中で、非常に重要な部分です。効果的なマーケティング戦略やSNS活用、イベント参加など、集客方法を十分に検討する必要があります。

また、集客の不足は売上げに直結し、経営を脅かす要因となります。対策としては、以下のようなマーケティング活動を積極的に行うようにしましょう。

より詳しくマーケティング施策や集客対策について知りたい方は、「効果的な集客方法23選!ターゲットや失敗しないポイントも解説」を併せてご覧ください。

またキッチンカーで開業する場合は、どれだけ商品のファンを獲得できるかが重要になります。
そこでおすすめなのが、スタンプカードによる来店促進です。

上記画像からもわかるように、スタンプカードは新規顧客が再来店するためのきっかけにもなります。

スタンプカードの特典が魅力的であるほど他店よりも優位性が高くなり、次回の来店動機も高まります。
新規顧客がその後再来店してくれるようになれば、お店のファンとして貴重な存在となるでしょう。

オペレーションが整っていない

キッチンカーを1人で運営する場合、複数の業務を一人でこなす必要があります。
料理の調理からサービス提供、会計、さらには顧客対応まで、多岐にわたる業務を効率的に遂行するためには、オペレーションの最適化が不可欠です。

オペレーションを整えて業務負担を減らすためには、POSレジの導入を強くおすすめします。

POSレジは、複数の業務を効率的に処理し、運営の円滑化を図るための強力なツールです。注文の受付から会計までを自動化し、時間を節約できます。
また、キャッシュレス決済を受け入れることができ、現金管理の手間を軽減し、安全性を高めることができます。

他にも、POSレジの導入で正確な売上データをリアルタイムで把握できるため、経営判断のサポートにも役立ちます。POSレジの導入を検討している方は別記事「POSレジ入門 | 必要なアイテム・費用や失敗しない選び方を解説」で解説しているので、こちらも併せてご覧ください。

まとめ|キッチンカーの開業は入念な準備が成功のカギ!

今回はキッチンカーでの開業について解説しました。最後に結論となるポイントをまとめます。

キッチンカーを開業する4つのメリット

  1. 開業資金・ランニングコストが安い
  2. 開業までに時間がかからない
  3. 好きな場所・時間で販売できる
  4. 人件費がかからない

キッチンカーを開業するまでの流れ6ステップ

  • STEP1:事業計画を作成する
  • STEP2:キッチンカーで販売するメニューを決める
  • STEP3:資金調達をする
    →自己資金を貯める、補助金・助成金を活用する、金融機関に融資申請をする方法がある
  • STEP4:キッチンカーを調達する
    →予算、ニーズ、将来のビジョンを考慮して最適な選択を取ることが大切
  • STEP5:資格・届出の提出
    →「食品衛生責任者」と「保健所の営業許可」の提出が必要になる
  • STEP6:開業準備を進める・出店場所を探す

キッチンカーで失敗しがちなポイント
→キッチンカーの廃業率はかなり高いため、課題を事前に把握し、対策しておくことが重要

  • 適切な出店場所が見つからない
  • 原価計算ができていない
  • 集客ができない 
  • オペレーションが整っていない
    →一人だと手が回らなくなるため、対策が必要

キッチンカーの1人運営では、効率と正確さが極めて重要です。POSレジの導入により、業務の効率化と顧客サービスの向上を実現し、多忙な状況でも柔軟に対応できる環境を整えることができます。

また廃業率が高い飲食店で営業を続けていくには、開業前の準備で適切な対策を講じることが大切です。

本記事で解説した、キッチンカーで失敗しがちなポイントやその対策は、これからキッチンカーを開業しようと考えている方には大いに役立つのではないでしょうか?

キッチンカーの特徴である自由な働きかたを叶え、たくさんの人に愛されるお店を開業できることを願っています。