無断キャンセルやドタキャンに悩まされている飲食店は少なくありません。実際に、被害総額は年間2000億円とも言われており、団体客のキャンセルによって損益を被っている飲食店の様子は、さまざまなニュースでも報道されているのが現状です。
この無断キャンセルに対して、飲食店はどのような対策をしていけば良いのでしょうか?
今回は無断キャンセルをテーマに飲食業界における無断キャンセルの現状や、なぜ無断キャンセルが発生するのか、そして具体的な8つの対策などをまとめてご紹介します。
飲食店の無断キャンセルについてさまざまな観点で理解することで、よりよい対策も打てるようになるはずです。今後の対策にご参考ください。
トレタ予約台帳
無断キャンセルが発生する5つの原因
切実な飲食店の無断キャンセル問題。2018年に発表された「No Show 飲食店における無断キャンセルの対策ガイドライン」によるとその被害総額は2000億円にものぼるとも言われています。
ニュースでも無断キャンセルに関する報道は多数見受けられます。2023年以降では2月に京都の京料理店のコースを意図的に無断キャンセルした男が逮捕にまで至った事件が話題になりました。
京都・祇園のふぐコース13人分を無断キャンセル、自称インストラクターの男「忘れていただけ」(引用:読売新聞オンライン)
飲食店にとって無断キャンセルはさまざまな悪影響を及ぼします。
なぜこのような無断キャンセルが発生してしまうのでしょうか?原因として考えられるのは以下の5点です。
- 予約に対する意識が軽い
- キャンセル料の支払いを避けるため
- そもそもキャンセルポリシーが設定されていない
- 顧客が予約を忘れてしまう
- 店舗と連絡が取れなかった
それぞれ解説します。
原因①予約に対する意識が軽い
今、飲食店を予約する方法はさまざまな手段があります。かつては電話での受付が主流でしたが、最近ではインターネットやアプリなどスマートフォンから簡単に予約することができます。
そのせいか、顧客側の予約に対する意識が軽くなっていることが原因のひとつと考えられます。
例えば、食事会の幹事になって考えてみましょう。
幹事は食事会を実現するために複数の飲食店をピックアップします。そして確実に席を確保するために”とりあえず複数店舗”予約をするという幹事もいるでしょう。しかし、行けるお店は一つです。会場を確定したあと、その他店舗の予約をキャンセルし忘れてしまうというケースはよく起こりやすい事象です。
一般的に飲食店の予約時に必要な情報は氏名と連絡先のみです。飲食店側からは携帯やメールなどにしか連絡することができず、無断キャンセルが発生しても相手が電話やメールに出なければそれ以上追いかけることができません。
無断キャンセルする人にとっても個人を特定されないことで安心感が生まれ「連絡しなくてもいいか」と予約が軽く見られてしまっていることも考えられます。
原因②キャンセル料の支払いを避けるため
予約時にキャンセルポリシーを設けている飲食店は少なくありません。キャンセルポリシーとは、顧客がキャンセルをした場合にコース料金の全額や半額など店舗が決めた割合を負担してもらうという店舗独自の規定です。
キャンセルポリシーは、飲食店側にとってキャンセルによる売上減少を担保する役割がありますが、逆に無断キャンセルを助長させてしまう側面も持っています。
例えば、顧客の立場になって考えてみましょう。
顧客がキャンセルしなければならないとき、連絡をしたらキャンセル料金を支払わなければなりません。それを避けるために顧客が「連絡しない・行かない」という選択肢を選ぶことは十分にあり得ます。
キャンセルポリシーは、以上のようなケースも踏まえた上で設定する必要があります。
原因③そもそもキャンセルポリシーが設定されていない
先の項目と矛盾しますが、キャンセルポリシーを設定していない場合でも無断キャンセルの発生を促してしまう場合があります。
キャンセルポリシーがあると「キャンセルしたらお店に負担をかけてしまう」と認識してもらうことができ、顧客は予約に対する一定の重みを感じます。
しかし、キャンセルポリシーが特になければ罰則もなく、キャンセルに対する罪悪感や抵抗感が薄まり、結果的に無断キャンセルに繋がる可能性が高まります。
原因④顧客が予約を忘れてしまう
無断キャンセルは全てに悪意があるわけではありません。例えば予約当日、顧客が予約を忘れているというケースもあります。特に、予約をしたのが1ヶ月以上前など長期間空いている場合、顧客も予約を忘れやすくなるため要注意です。
原因⑤店舗と連絡が取れなかった
顧客が予約をキャンセルしようと電話やメールをしたものの、店舗と連絡がつかないまま当日を迎えてしまうと、結果的に無断キャンセルとなります。
これは当然顧客には非がなく店舗側の責任であり、あってはならないことです。店舗側は顧客が常に連絡のつきやすい仕組みを構築しなければなりません。
飲食店が被る無断キャンセル3大被害
では、無断キャンセルによって実際に飲食店にはどのような被害が発生するのでしょうか?
考えられる被害は以下の3つです。
- 食材費
- 人件費や光熱費などの固定費
- 予約で席を埋めていたことによる機会損失
それぞれ解説します。
被害①食材費
コースの予約を無断キャンセルされると、用意していたコース×人数分の食材が無駄になります。席だけの予約だとしても、予約人数を見越した上でその日の食材などを準備しているため、期限によっては当日捨てざるを得ないものも出てくるでしょう。
このように、予約である程度見越していた売上がゼロになるのと同時に、仕入れた食材費用が全て無駄になるため、利益にも大きな悪影響を及ぼします。
被害②人件費や水光熱費などの固定費
予約の人数が大きければ大きいほど、準備にかかる時間や業務量は増えます。そこには当然、人件費や水光熱費などの固定費がかかっています。
無断キャンセルが発生すると、これらが全て水の泡となります。そして結果的に利益に悪影響が及ぶだけでなく、スタッフの心理面にも「せっかく準備したのに…」と大きなストレスがかかるでしょう。
ちなみに人件費を考える上では食材費との比率を考えるのも重要です。より詳しく知りたい方は「飲食店の人件費率の最適解とは?FLコストの重要性や計算方法を紹介」を併せてご覧ください。
被害③予約で席を埋めていたことによる機会損失
無断キャンセルは顧客から連絡がこない限り、予約時間を過ぎても席を確保し続けなければなりません。
「もしかしたら時間を間違えているのかもしれない」
「もしかしたらスマートフォンが使えないのかもしれない」
「急なトラブルがあって遅れているのかもしれない」
顧客が来店しない理由はさまざま考えられます。
そのため、もし他の顧客から予約の問い合わせがあっても受け付けることができず、席はぽっかりと空いたままになります。
無断キャンセルによる空席は、店舗側にとっても新規顧客にとっても大きな機会損失になります。
対策前に学ぶ①ノーショーとドタキャンの違い
無断キャンセルとドタキャンは一緒の意味としてとらわれがちですが、実は明確な違いがあります。
無断キャンセルはNo Show(ノーショー)とも言われ、その意味は顧客が店舗側に連絡を一切せずにキャンセルすることをいいます。
一方でドタキャンは、直前のキャンセル全般を指しますが店舗には連絡をした上でのキャンセルとなります。
どちらとも飲食店側からすればキャンセルに変わりはありませんが、意味を混同すると対応を間違えてしまう危険もあります。
顧客が予約をキャンセルするとき、さまざまな理由があります。「家族が倒れた」「急な仕事が入ってしまった」「事故に合った」など、不測の事態に見舞われ、やむなくキャンセルせざるを得ない状況かもしれません。
そうしたキャンセルに対しても、全て無断キャンセル同様に厳しい対応をとってしまうと「折角連絡したのに嫌な対応をされた…」と感じて2度と来てくれなくなってしまうかもしれません。
無断キャンセルとドタキャンの違いをしっかり認識しておくことで、適切な対応を取れるようになります。この認識を店舗全体で共有することも大切です。
対策前に学ぶ②無断キャンセルは法的に犯罪?
予約は、飲食店と顧客の間で交わされる契約のようなもの。それが無断で破られた上、損失を被った場合、法的な罰則は発生するのでしょうか?
ここでは、無断キャンセルを受けたときに料金の請求が可能なのかどうかを解説します。
債務不履行や不法行為による損害賠償の請求が可能
飲食店が無断キャンセルを受けた場合、民事上に置いて損害賠償の請求が可能です。
損害賠償は下記の二つの行為が発生した際に請求できます。
債務不履行 | 契約内容の通りに遂行しないこと |
不法行為 | 契約の有無に関わらず、相手方に法を犯すような迷惑を与えること |
飲食店の予約は、口頭ではあるものの社会的に立派な契約と見なされます。それを無断でキャンセルするのは、債務不履行や不法行為にあたると考えられ、損害賠償の請求も適切な対応として認められているのが現状です。
悪質な無断キャンセルの場合は偽計業務妨害の疑いも
さらに意図的で極めて悪質な無断キャンセルに対しては、刑事上の偽計業務妨害での請求が可能です。
偽計業務妨害罪に問われると、無断キャンセルをした人に対して3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。実際、意図的に系列の複数店舗に団体予約をし無断キャンセルをした男性が悪質と判断され、逮捕された事件もありました。
参考:居酒屋団体予約 無断キャンセル17人分、容疑の59歳逮捕
このように、無断キャンセルに対しては法的に責任を問うことができます。
損賠賠償を請求する飲食店は少ないのが現状
ただ、実際に損害賠償や偽計業務妨害として訴える飲食店は多くありません。訴訟を起こすためには相応の労力と時間、費用が必要であり、その手間によって通常営業に支障をきたしてしまう恐れから泣き寝入りする店舗が多いのが現状です。
無断キャンセルに対する現実的な対応としては、無断キャンセルが発生しないような対策を予め立てておくことが大切といえるでしょう。
対策前に学ぶ③無断キャンセルに対する顧客のホンネ
具体的な無断キャンセルの対策を確認する前に、キャンセルに対して顧客がどのような意識をもっているのか、一緒に確認してみましょう。無断キャンセルをする理由について知ることで、対策もより効果的なものが考えられるようになります。
トレタのアンケートによれば、予約のキャンセルを連絡しなかったことがある人は13%で、10人のうち1人が無断キャンセルの経験があることがわかります。
引用:「できていますか?予約キャンセル対策 アンケート調査結果も紹介」トレタHPより
少ないと思われるかもしれませんが、その1人が団体客の予約キャンセルであれば、飲食店に与える影響は大きなものとなります。
次に「なぜ無断キャンセルをしたのか?」という設問を見てみると、意外なことに「忘れていた」という理由が大半を占めています。また、さらに注意すべき回答としては「連絡する必要がない」「特に理由はなかった」などキャンセルに対する意識の低さも垣間見えます。
引用:「できていますか?予約キャンセル対策 アンケート調査結果も紹介」トレタHPより
「予約を忘れてしまう」「キャンセルに対する意識の低さ」この2つの原因に対する対策は立てることができます。
また、他の回答にある「忙しくて連絡できない」「キャンセルするのが気まずい」「電話代がもったいない」なども、対策の余地はありそうです。
飲食店がやるべき無断キャンセル対策8選
それでは無断キャンセルに対する具体的な対策を8つ紹介します。
- 電話やメール、LINEなどで事前の確認をする
- 予約の受付を1ヶ月先までにする
- キャンセルポリシーを決めて告知する
- 顧客が連絡を取りやすい環境の整備
- 事前決済や預かり金(デポジット制度)の導入を検討
- キャンセル料回収や補償のサービスを活用する
- 上手なSNS運用で無断キャンセルの損益をカバーする
- 予約管理システムの導入で顧客管理を効率的に行う
すぐに始められるものもありますので、無断キャンセルに悩まされている方はぜひ実践してみてください。
では、それぞれ解説します。
対策①電話やメール、LINEなどで事前の確認をする
予約忘れによる無断キャンセルを防ぐために、顧客に対して前もって連絡をしましょう。「通常業務で忙しくてなかなかできない…」という方は、全ての予約客に対して連絡するのではなく、複数名〜団体客に限定して行えば時間も必要最低限で行えます。
特に、LINEでの連絡はメールやSMSよりも日常的に見る機会が多いツールとなるため効果的です。LINE公式アカウントから直接連絡するのもよいですが、自動で通知してくれるサービスを活用すればより効率的にリマインドが可能です。
トレタのサービスでもある「LINE通知連携」では、1週間前や前日、当日に確認のLINEを自動で通知するため、顧客が予約を忘れるということがなくなります。
参考:トレタ活用ガイド「LINE通知連携」を使って自動で予約通知!友だち登録を増やそう
予約前のリマインドは顧客の予約を思い出させるためだけでなく、飲食店にとっても効果的です。数日前からリマインドの連絡をしているのに当日までに音信不通であれば、無断キャンセルの可能性が高まるからです。
無断キャンセルを防ぐことはできないかもしれませんが、無断キャンセルになった場合どうリカバリーするかを前もって考えておくことができます。
対策②予約の受付を1ヶ月先までにする
予約忘れの対策は、予約の受付期間を制限するのも有効です。例えば、予約は1ヶ月先までとしておくことで、予約から来店までの期間が短くなり、予約を忘れることも防げるでしょう。
飲食店にとっても予約管理の負担が軽減されます。
対策③キャンセルポリシーを決めて告知する
キャンセルポリシーをまだ定めていないのであれば、決めておきましょう。顧客の中にはトレタのアンケートにもあったように、予約に対する意識が低い人もいます。キャンセルポリシーを設定することで、予約の大切さを理解してもらうことができます。
ただ、キャンセルポリシーが厳しすぎるとキャンセル料の支払いを恐れるあまり、無断キャンセルに繋がる可能性もあります。一定の寛容さも必要であることを念頭に起きながら、内容を決めましょう。
対策④顧客が連絡を取りやすい環境の整備
飲食店と連絡がつかずにキャンセルになってしまうというケースは、信用問題にも繋がりますので必ず防がなければなりません。
簡単ですぐにできる対策としては、連絡の窓口を増やすこと。電話、HPのメール、SNSのDMを解放するなどして連絡可能な手段を増やせば顧客はひとつの方法で繋がらなくても別の方法で店舗側とコンタクトを取ることができます。
電話のみの対応になってしまう場合は、留守番電話の設定や確実に対応できる時間を公表しておくなど可能な範囲で繋がるための努力をしましょう。留守番電話は出勤時に必ずチェックするなど確認漏れが起きないような工夫も必要です。
対策⑤事前決済や預かり金(デポジット制度)の導入を検討
予約時の事前決済や一時的な預かり金の制度を設けることも無断キャンセル対策として有効です。まだそれほど一般的ではありませんが店舗へ行く前に一定額の支払いがあれば、顧客は半ば強制的にお店へ行かなければならなくなり、無断キャンセルしづらくなります。
ただ、この仕組みがあると、予約への抵抗感も生まれ、集客に影響を及ぼす可能性もあります。無断キャンセルが多発し、店舗にとって重大な問題となったときに検討するようにしましょう。
対策⑥キャンセル料回収や補償のサービスを活用する
近年、キャンセル料の回収サービスや、ぐるなびなどグルメサイトが無断キャンセルによって回収できないコース料金を補填するサービスなどが増えてきています。
トレタでは予約者によるノーショーや直前キャンセルが発生した際、自動で請求・回収業務をおこなうことができるサービス「Payn」との協業をスタートしています。指定のフォームからの予約者による無断キャンセルやドタキャンが発生した際、飲食店側が請求金額をフォームへ入力すると自動的に予約者へ通知が届くというものです。
支払いもそのフォーム内で完結するため、直接的な連絡や手続きは行うことなくキャンセル代を回収することができます。(参考:「トレタ×Payn 飲食店における無断キャンセル (ノーショー)対策に向けて協業を開始。キャンセル料金回収をサポートし、飲食店経営のリスクを軽減)
損害賠償の請求は、労力や費用がかかるためなかなか踏み出せない面がありますが、代行によって手間をかけずにキャンセル料金分を回収・補填できるのであれば、検討する余地はあるのではないでしょうか。
対策⑦上手なSNS運用で無断キャンセルの損益をカバーする
以前、無断キャンセルが発生した飲食店が「食材を捨てるのがもったいないのでお安くします」とTwitterで呼びかけ、多くの予約が入り損失を防いだケースが話題になりました。
こうしてSNSを上手に運用すれば、無断キャンセルなど突発的に起きたトラブルの対応にも役立ちます。
ただ、SNSは立ち上げたら更新を継続しなければなりません。店舗にとってSNSをよりよいものにしていくためには、まず目的を明確にすること、そしてターゲットを決め、どのSNSが最適なのかを判断することが大切です。その上で戦略を練り、運用後も分析・改善をしていきましょう。
飲食店のSNSについてより詳しく知りたい方は「飲食店がSNS運用を成功させるためには目的の明確化と戦略が重要」を併せてご覧ください。
対策⑧予約管理システムの導入で顧客管理の効率化を
無断キャンセルを防ぐためにリマインドメールが効果的だとお伝えしましたが、当然メールを送信する業務負担が発生します。この点を効率化させるために効果的なのが、予約管理システムの導入です。
予約管理システムは、WEB上などからの予約を受けた際、顧客情報が自動的に記録されます。今まで電話で対応してきた飲食店であれば、電話対応や手書きで記録する手間を省くことができます。また、当日の予約客に一斉に連絡することも可能なため、無断キャンセル対策にも繋がります。
導入にはコストが発生し、スタッフが慣れるまでの時間も必要となる点も含めて検討しなければなりませんが、操作性に優れたサービスもあります。まだ導入したことがない方は、予約管理システムがどのようなサービスなのかをまずは調べてみてはいかがでしょうか。
より詳しく予約管理システムについて知りたい方は「飲食店に合う予約管理システムとは?選び方や3つの成功事例を紹介」を併せてご覧ください。
インバウンドでも高まる無断キャンセル対策
2023年以降、コロナ禍も収束していき、海外から来日する観光客が急増しています。飲食業界ではインバウンド対策の重要性が叫ばれている中で、訪日外国人による無断キャンセルに悩まされている飲食店は少なくありません。
訪日外国人は日本語を話せない人がほとんどで、やむなき理由でキャンセルしたくてもその方法がわからなければ放置してしまうこともあるでしょう。
対策としてHPなどWEB上でキャンセルポリシーを掲載し、日本語と併せて外国語でも表記しておくとよいでしょう。100%防止は難しいかもしれませんが、特に観光地の飲食店には必要な対策のひとつといえます。
訪日外国人にとって安心して過ごせる環境であればキャンセルされる可能性も低くなるかもしれません。充実したインバウンド対策を行うこともまた無断キャンセル対策のひとつとなります。
より詳しくインバウンド対策について知りたい方は「飲食店が行うべきインバウンド対策|コロナ後の課題や対策を解説」を併せてご覧ください。
無断キャンセルに負けない魅力的なお店作りを
もし無断キャンセルが頻発するのなら、もしかしたら現状のお店自体にも何か問題があるのかもしれません。
また、無断キャンセルが発生しても、しっかりと集客できる魅力的なお店作りが実現できていれば、被害は少なくて済むでしょう。
そこで最後に、魅力的なお店作りに必要なことを2点に絞って解説いたします。
- 繁盛店をめざすために重要なこと
- リピーターを掴むために最も大切な接客力
繁盛店をめざすために重要なこと
一般的に飲食店の売上の80%は、20%にあたる上位顧客(常連客)によって生み出されていると言われます。これはマーケティングなどでよく使われるパレートの法則によるものですが、それぐらい常連客の存在が飲食店の売上には重要であることを物語っています。
常連客を増やしていくためにはさまざまな対策が考えられますが、今後はDXへの取り組みがポイントになるでしょう。
DXはデジタルツールを導入することで組織にポジティブな革命を起こしていくことをいいます。業務効率化によってスタッフの負担が軽減されれば、その分おもてなしや新メニューの開発など本来注力していくべき部分に注力していくことができます。
もちろん、DXに取り組めば簡単に繁盛店になれるわけではありません。利益を獲得していくためには、さまざまな面で総合的に取り組んでいくことが大切です。
繁盛店をめざすために必要なことについてより詳しく知りたい方は「繁盛する飲食店に学ぶ常連客を増やすコツ | DX事例など最新施策も」も併せてご覧ください。
リピーターを掴むために最も大切な接客力
人気の飲食店といえば料理が注目されがちですが、顧客が飲食店をリピートする要因として上位に挙げられるのは「スタッフの気配り」「お店の活気雰囲気」「スタッフの笑顔」など接客に関するものが多いのが実状です。(参考:「コロナ禍でも“選ばれる飲食店”の条件とは?」MS & Consulting HP)
接客力を磨くためには、まずは基礎を身につけること。そして接客しやすい環境の整備や雰囲気作りが重要です。
接客力を磨くことは、魅力的なお店作りに繋がります。丁寧でおもいやりのある接客は、無断キャンセルの対応にも役立ちますので、これを機会に店舗の接客を見直してみてはいかがでしょうか?
より詳しく接客力の向上について知りたい方は、「飲食店の接客|オペレーションの改善で売上を作れる秘訣とは」を併せてご覧ください。
まとめ
今回は近年問題視されている飲食店の無断キャンセルについて解説しました。最後にそれぞれ大切なポイントをまとめます。
▼無断キャンセルが起きる5つの原因
- 予約方法が多様化し簡単に予約が取れる
- キャンセル料を支払いたくない
- キャンセルポリシーがない
- 予約を忘れる
- 店舗と連絡がつかない
▼飲食店が被る無断キャンセル3大被害
- 食材費
- 人件費や水光熱費などの固定費
- 席確保による機会損失
▼飲食店がやるべき無断キャンセル対策8選
- 電話やメール、LINEなどで事前の確認をする
- キャンセルポリシーを決めて告知する
- 予約の受付を1ヶ月先までにする
- 顧客が連絡を取りやすい環境の整備
- 事前決済や預かり金(デポジット制度)の導入を検討
- キャンセル料回収や補償のサービスを活用する
- 上手なSNS運用が無断キャンセルの損益をカバーする
- 予約管理システムの導入で顧客管理の効率化を
▼無断キャンセルに負けない魅力的なお店作り
- 繁盛店になるためにDXの取り組みを検討しよう
- リピーターを掴むために接客力を磨こう
▶️ノーショーとドタキャンの違いを知ることで適切な対応が取れる
▶️無断キャンセルは請求できるが現実的ではない。キャンセル料回収サービスの利用や事前の予防対策を施しておくことが重要
▶️訪日外国人に対しても無断キャンセル対策の必要性が高まっている
無断キャンセルを100%防ぐのは難しいでしょう。ただ、発生する可能性を低くしていくことは、対策次第で可能です。
無断キャンセルが発生してしまった場合にもどのような方法でリカバリーをしていくかも合わせて考えておけば、被害を最小限に抑えられます。
少しでも無断キャンセルによる被害を抑えるためには、対策と対応を考えておくことが大切です。